<ここまでの話>
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話> から <第46話>までのリンク」
【第3部】
「<第47話>月面着陸・・」
「<第48話>敵か味方か?」
「<第49話>アロー市自衛軍」
「<第50話>大丈夫だよね・・」
「<第51話>フォン・ブラウンへ・・」
「<第52話>セカンド・ルナ」
「<第53話>スパイ容疑・・」
「<第54話>特務の内容・・」
「<第55話>情報戦・・」
「<第56話>妄想と現実・・」
「<第57話>再会?!・・」
「<第58話>違和感・・」
「<第59話>ムサイ級ワルキューレ」
「<第60話>カマかけちゃおうよ♪」
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「・・・ キング一尉にさ・・ 訓練宙域の変更を伝えるの・・
というか・・ 訓練宙域までは想定航路の変更はなしでも良いのだけど、その地点での訓練は
きな臭さを感じる訳だから、訓練はもっと先のL4に近い宙域にする・・ってのはどう?
『地球連邦軍側の都合だから、ごめんね!』って でも、宙では常に状況は変化する!
とか・・ 新しい訓練内容を適当にぶち込めば、グルじゃなければ、速攻で乗ってくる筈!
でも、グルだったら、必要以上に計画宙域での訓練に固執するはずでしょ?
僚機が敵か味方か、不明だなんて、精神衛生上よくないもん お肌だって荒れちゃうし!!
とりま・・ カマかけちゃおうよ!!」
「チコ・・ お前、良い子だな♪ 奴らがグルだと、確かに嫌だな、確かめるか?」
「・・・ はい! 良い子で~す♪ やっちゃいましょうよ!」
「・・・ そうだね、やっても良いかもね♪ 内容は任せるよっワサビィ!」
「じゃ・・ ちょいと考えるか?」
「・・・ まぁ、疑われる内容でなければ、なんだって良い訳なんだから、ワサビィなら得意でしょ?」
「おいおい・・ そんなに褒めるなよ・・
実は、皆が思っているほど得意ではないんだぞ・・ 得意だったら、もっと沢山のおねえちゃんに♪・・」
「・・・ 確かにね♪ こんな時に、あの艦長達が居てくれたら・・」
「そうだよな、マメハ大佐(戦隊長)とタゴサ艦長・・
あのコンビだったら悪知恵も働くから即効だろうね♪」
「・・・ そんなに褒めちゃうと・・ 今頃2人で大きなくしゃみをしてるんじゃ♪」
・・・
<サイドストーリー(SS-2)「パブリク突撃艇!」>
ちょうどその頃、
第21独立戦隊であるグリフィンとヒポグリフは、ワッケイン司令が率いる連邦軍第3艦隊と合流し、
ワサビィ達が居る月から384,400kmも離れた、ラグランジュ5(L5)サイド4(ムーア)の残骸宙域を
第3艦隊と共にゆっくりと進行していた。
ワサビィ達がターゲットポイントとしている、L4 サイド6(リーア)とは、真逆の宙域になる・・
地球と月とラグランジュ5(L5)の3点を結ぶと、大きな正三角形になるわけだが
ラグランジュ4(L4)は逆方向での正三角形の頂点に位置する・・
だから月までの距離は、地球と月の距離とほぼ同じ距離だと考えれば解りやすい。
ちなみに、連邦軍の主力艦隊のティアンム提督(中将)率いる第2連合艦隊は、先行する第3艦隊と
同じラグランジュ5(L5)の、もう1つのサイドであるサイド1(ザーン)の残骸を盾にしひっそりと集結していた。
サイド1宙域には、今回のチェンバロ作戦のファーストターゲットである、
ジオン公国軍宇宙攻撃軍の拠点、宇宙要塞ソロモンが鎮座している。
そんな近い場所に主力の第2連合艦隊を気づかれず集結させるために、第3艦隊は囮となった。
幾度も姿を現しながらサイド1に近づいていく航路を取る・・ わざわざ遠回りになるサイド4の残骸宙域を
経由する理由もそこにあった。あくまでも囮であることが見破られないよう・・ それだけが理由だ。
サイド1もサイド4も、この戦争が開始された1週間戦争で大打撃を受けたコロニー群であり、
コロニーの残骸が浮揚する危険な宙域ではあったが、逆にコロニー残骸が艦隊の動きを隠す効果があった。
残骸は互いの質量で引き寄せ合い、幾つかの岩礁となってソロモン要塞の周りで浮遊している。
その一番大きな残骸の集まりが「マクナマラ岩礁」であり、第3艦隊はサイド4の残骸宙域から飛出し
その姿をソロモンにさらしながら、サイド1のマクナマラ岩礁に向かっていくことになる・・
ソロモンを攻防すると考えた場合、どの分析者も口を揃えて言った・・
軍事作戦上一番適しているのがマクナマラ岩礁であると・・ それはジオン軍も理解していた内容でもある。
第3艦隊が、そのように言われているマクナマラ岩礁に向かう事で、第3艦隊が本隊であると錯覚を起させる
ジオン軍が勘違いした事は当然の結果でもあり、連邦軍の思惑のまま事が進んでいった。
その結果、ジオン軍はをマクナマラ岩礁とソロモンとの中間宙域に幾本かの防衛線を引き
一番の激戦区になると考えていた・・ そんな場所が、我ら第21独立戦隊の戦場になる訳だが・・・
このような理由から、ソロモンに駐留するジオン公国軍宇宙攻撃軍は、連邦軍の主力である第2連合艦隊の動きを
察知することができず、既に接近を発見し捕捉していた、ワッケイン司令率いる第3艦隊だけを注意していた・・
ミノフスキー粒子の散布が無ければ、このような作戦は不可能でもある訳だが、逆に考えると、ジオン軍は
ソロモン要塞に対し、難攻不落であるとの絶対の信頼があった事が伺える・・
そのような驕りも作用し、発見していた第3艦隊だけ程度の戦力だけでは、ソロモンを堕とすには
戦力不足であると分析していたのだが、ジオン公国軍宇宙攻撃軍司令のドズル・ザビ中将は、
どこかで第3艦隊は囮である・・ との可能性を感じていたと言う、
政治家ではない軍人ドズルの野生の勘だったのかもしれない・・
結果として囮の第3艦隊の動きに惑わされたソロモン駐留ジオン公国軍宇宙攻撃軍は、
完全に連邦軍の主力である第2連合艦隊の動きをロストしていた・・
その時、第2連合艦隊はマクナマラ岩礁とは全く逆の位置に浮遊していた幾つかの中規模な残骸の陰に集結し、
ちゃくちゃくと新兵器「ソーラ・レイ」の準備を開始していたのだ・・
・・・
さて・・、我らグリフィン戦隊だが・・
まさにソロモン海戦(掃討戦)の準備に大忙しのてんやわんやの状態になっていた・・
そんなグリフィン艦内での、マメハ戦隊長だが・・
「へぇっっくしょん!! もぉ・・最っ低ねっ!・・ 風邪でも引いたのかしら?
それともどこかの誰かさんが私の事を噂でもしているの? ほんとくっそ忙しいのにぃ!!」
「戦隊長、そりゃグリフィン戦隊クルーの全員が、文句の一つも言いたい状況でしょう・・
この2~3日・・ ちょいとハードでしたから・・ だから、いい噂ではないでしょうね♪」
「そうねクロヒッツ・・
きっと悪口よ! そんな事を言う奴って、へっぽこ某艦長とか、逃亡中の種馬あたりかしら?
もう・・ 忙しいのにぃ・・ うっ・・ へぇっ・・ へぇっくしょん!」
「大丈夫ですか? で・・ワサビィ・・ いや、マスミン大尉との連絡は?」
「ないわ・・ ターゲットが特定できたって連絡が最後ね・・
あちらはあちらで、アロー市軍の旦那が怪しくってね・・ 少々厄介な状態になっている訳・・
こっちも忙しいのに・・ これ以上ややこしくなったら、こちらの作戦に支障がでそうよ・・
だからマスミンにね『勝手にやっちゃっていいわよ~♪』って言ってやったわ
でも、その忙しさも、今日で終わりよ! 絶対にこの作戦は成功させなくっちゃね!」
「そうですね・・ でも、戦隊の戦力不足が気になりますね・・」
「クロヒッツ・・ やはりMS隊は一つにまとめるべきかしら・・ 」
「戦隊長・・ そろそろタゴサ艦長が来られますので、中佐のご意見もご参考になれば・・
あっ・・ 来られたみたいです・・」
「くしょん!!・・ もう、グリフィンについてから、くしゃみばっか・・
きっとマメが、私の悪口でも言っているのよ、きっとそうだわ!」
「艦長・・ 戦隊長が居られますよ・・ もっと小さなお声で・・」
「うるさいわね! マサップ! これは地声なの!」
「あらぁ? 何を痴話喧嘩しているのかしら?」
「何?って あなた!ちゃんとお掃除しているの? グリフィンに着いた途端、くしゃみが連発よ!」
「はぁ? お掃除ぃ? お掃除できないあんたに言われたくないわよ!」
「ほんと、うるさいわね! ヒポグリフはマサップがお掃除してくれるから良いの!」
「まぁまぁ・・ 戦隊長もタゴサ艦長も、お二人とも今、くしゃみをされていましたよね♪
くしゃみまでシンクロされるとは、仲が良い証拠では?」
(2人で同時に)「うるさいわよ! クロヒッツ!!」
「ほら・・ シンクロしているわ♪ というか、お二人が同時にくしゃみとなると・・
やっぱり、どこかの誰かさんが、楽しげに噂でもしているのかもしれませんね♪」
「ん? 誰かさんって・・ やっぱ諸悪の根源・・ くそワサビィの事よね?
チェンバロ作戦開始(ソロモン掃討戦)までには帰ってくるはずだったのに・・
ほんと、役に立たない奴!」
「そうよっ!・・ 彼のせいで、グリフィンとヒポグリフを護衛するMSパイロットが不足で、
2艦を分けて作戦行動ができないのよね!」
「それよ! タゴ・・ 私はMS小隊を1つの隊にして、2艦をまとめて護衛させる方が
良いように思えるの・・」
「でも・・ そうしたら、グリフィンもかなり前線まで突出する形になるけど・・
ヒポグリフが突出し、ヒポグリフの回収能力でパブリク突撃艇を1艇でも多く回収する・・
グリフィンは後方から、ビーム砲などでヒポグリフを援護する位置に着き、
ヒポグリフが万一の事態に遭遇しても、MSやパブリク突撃艇が帰艦できる母艦として
機能させる作戦よね・・」
「そうよ・・
確かに最初はそのような作戦だったけど、グリフィンを守備する予定だった第3小隊は
ボールがたった1機・・ これではパイロットへの負荷も高く、護衛は不可能だわ・・
だから・・って事で、第2小隊をグリフィンの守備に回すと、今度はヒポグリフの護衛を
第1小隊だけで守るしかない訳で・・
今回の掃討戦はかなりの長時間になる筈・・ 4度から5度ぐらい、推進剤や弾薬の補充、
そして核融合炉の冷却を行わないと、ジムも使えなくなる事は承知の事実!
やはり2個小隊相当の戦力ををヒポグリフ護衛に配置しないと、ヒポグリフが落とされると思うの・・」
「つまり・・ マメが言いたいのは・・ 結局グリフィンをボール1機で守る事は出来ないから、
危険だけどヒポグリフの位置まで、グリフィンを突出させる・・って事よね?
でも、防衛ラインを下げ艦が突出となると、十分な戦闘エリアの確保が難しく、
防衛ラインを越えてくるジオン軍が想像以上に多くなると想定できないかしら?」
「解ってるわよ・・ でもね・・
グリフィンも突出するしか、方法が浮かばないって訳!
やっぱりYUKIKAZEのビーム砲の存在は大きかったわね・・
丸腰ヒポグリフだけど、YUKIKAZEが居ると移動ビーム砲台を搭載した艦になる理屈だけど・・
今回の作戦ではパブリク突撃艇には、かなり無茶な指令が出ているわ・・
そんな彼らを1人でも多く回収しないと・・ それが私たちの使命よね?
矛盾するよね~・・ ジムで作った防衛ラインを押し上げると、突撃艇の帰艦率があがるので
本来なら押し上げるのがセオリーだけど・・ 防衛ラインを突破された場合、ジムが艦まで
戻らないと艦を守れない・・ ヒポグリフとグリフィンが沈んじゃったら、突撃艇の
回収もできなくなるから、絶対に艦を沈めてはダメ・・ 」
「そうよね・・
でも、ジオンのザクやガトル戦闘機とか、確実に数機が防衛ラインを突破してくるわ・・
クラスター弾頭のミサイルは、グリフィンの8発と、ジムB装備のバズーカ用があるだけ・・
無線誘導機雷はミノフスキー粒子の散布で使い物にならないし・・
一斉に来られ取りつかれたら、CIWS制御のガトリング砲だけでは心許ない訳・・
やっぱり、MSで護衛してもらわないと・・」
「でしょ? でも・・ だからと言って防衛ラインを下げるのは、かなり勇気がいる事よね・・」
「マメがそこまでの覚悟なら・・ 突撃艇にはもう少し頑張ってもらって・・
MS小隊は1つにまとめ、防衛ラインを引き下げ、グリフィンとヒポグリフを護衛する・・
これしかないわね・・ でも、マメ!・・ 絶対に約束して!
ヒポグリフが前よ、そしてジオンに取りつかれたら・・
グリフィンは全速で後退する事! それだけは守ってね! それが私の使命だから!」
「タゴ・・ あんた・・」
「じゃ・・ マサップ! 今の話は理解できたわね? MS隊への命令事項をまとめ、
ブリーフィングを準備して! で・・パブリクの艇長も集めてね♪」
「了解です♪ 艦長!
オペレーター! ヒポグリフの艦内放送にもつなげ!」
「ラジャ! マサップ中尉、ヒポグリフにつなぎました! どうぞ!」
「アテーンション! 副艦長のマサップです。
パブリク突撃艇の艇長に告ぐ、イチサンマルマルよりブリーフィングを開始します。
全艇長は、グリフィンに移動しブリーフィングに参加せよ! 以上。
グリフィンMS中隊に告ぐ、イチサンマルマルから開始の突撃艇々長ブリーフィングに
全員参加せよ!
繰り返す・・ パブリク突撃艇の艇長に告ぐ・・・・」
グリフィン戦隊は、パブリク級の突撃艇を1個中隊(15艇)預かっていた。
そもそも、突撃艇は艦艇に属し、航続力もあることから単独行動も可能であり、
1艇で1小隊扱いとされていたが(艇長が小隊長扱い)時代の流れや今回の作戦の内容から、
宇宙戦闘機と同様な戦術を応用する事が決定し「5艇で1小隊」と定義され参加していた・・
パブリク級の前身である、ガボット級突撃艇では乗員が4~5人であり、
人事面や命令系統としても、1艇毎に艇長を頂点とした小隊として組織登録されていたが、
改装されたパブリク突撃艇では、最低乗員2名での運用が可能になっていることもあり、
軍部も宇宙戦闘機構成と同様に考える事が可能だと判断された背景もある・・
一年戦争前は宇宙を自由に飛び回る、駆逐艦的存在でもあった突撃艇は、汎用度の高さと
航続力や攻撃力からも、宇宙軍の花形でもあり、志願兵達の人気でもあった。
ちなみに突撃艇は艇番号で認識されているが、艇長の権限で、自由に艇に呼称を付ける事を
許されていたのも、花形であった時代の名残でもある。
しかし、一年戦争が勃発し、ジオン軍が新兵器であるモビルスーツを戦場に登場させた事から、
軌道が直線的な突撃艇は、ザクなどのモビルスーツに対抗することが出来ず、
月面都市のアロー市にあった、マスドライバー攻撃作戦以来、第一線から退いていた。
そのため、乗組員達のモチベーションも低下していたのだが、
今回の作戦での「5艇で1小隊」扱いは降格とも同意と捉えられ、更に追い打ちとなっていた。
そんな中での今回の作戦内容である・・ そのような感情を持った突撃艇の乗組員の30名を、
グリフィン隊が預かったのだ・・
現在の花形であるモビルスーツ隊との間に、いざこざが生まれるのも仕方がない事かもしれない・・
各突撃艇の艇長は15人、3つの小隊に分かれているが、その3小隊をまとめている中隊長として、
1人の古参大尉が居た。彼の名は、クラウドと言う・・
あとの艇長は、2人の小隊長である中尉を除き、全員少尉・・ 一年戦争前は、突撃艇の艇長は
少佐か大尉・・ しかし、1年戦争初期の1週間戦争で、在籍突撃艇の9割を損失した連邦軍には
ベテランの艇長も数少なく、ここにも人材不足を感じさせた・・
少尉と言っても、できる人材はMS隊に編入され、そこそこできる人材はボールやサラミス級など
艦艇の士官に配置され、突撃艇の艇長にアサインされた人材は、士官学校は出たものの、
若干いわくつきの面々が配置されている事も、中隊長として隊をまとめるクラウド大尉には、
屈辱でもあり、その恨みはMS隊に向けられてもいた・・
ようは、MS隊の中隊長であるワサビィ大尉が不在のなか、ヒロ中尉が中隊長代行として
MS隊をまとめていたのであるが、その素行などが鼻についた訳であるが・・
そんな背景まで理解できるようなヒロ中尉ではない・・ 事ある毎に、ヒロ中尉に対し
批判し、嫌がらせをするクラウド大尉に対し、毎回その挑発に乗ってしまい、非常に精神状態も
悪い状況に陥ってもいた・・
それに危惧したマメハ戦隊長は、ヒポグリフに全突撃艇15艇を集め、MS隊を全員グリフィンに
移動させることで、そのいざこざが発生しないように配慮していたのだが・・
・・・
「いよいよ決戦なのね~ つーか、クラウドの野郎・・ 会いたくねーな・・」
「ヒロ中尉・・ 今日は押さえてくださいよ、大事な決戦の前です・・ 怪我でもしたら・・」
「クマちゃん・・ そんなこたぁ解っちゃいるんだけどね・・ 気が重いや・・」
「そろそろ、時間ですね、先ほどの着艦シーケンスから、もうパブリクの艇長たちは到着していると
思いますよ・・ 時間に遅れると、また・・」
「わ~った、わ~った・・ ほんとクマちゃんは大人だから・・」
「ワサビィ大尉だったら、きっと流しちゃいますよね・・ そういう方だと思います・・
中尉も気にせず聞き流されたら・・」
「悪いね・・ 俺は隊長とは違うんでね・・ つか、隊長は今頃何をしてるのかなぁ・・」
「ちらっと小耳に挟みましたが、この混乱に乗じて、ジオン軍がコロニーを核攻撃するとか・・
それを阻止するのが特務なんだそうです・・」
「へぇ・・ 俺も噂は聞いたけど、本来はグリフィン隊で特務に着く予定だったんだよね・・
でも、ソロモン掃討戦と時期が重なっちゃって事だけど・・ 考えれば矛盾があるよね~」
「どのような?」
「そだね・・ 連邦軍が仕掛ける混乱の中・・ だったら、最初からグリフィン隊は
特務に参加不可能だったんじゃ・・ ってね・・」
「それは・・ いや・・ でもですよ、グリフィンが最初から特務に着けないのなら、
マスミン特務大尉の乗艦は無かったのでは?」
「ん? そっか・・ クマちゃん賢い! そだね・・ 計画が変わったって事かぁ・・」
「そうですよ! 良い知らせもありましたから!」
「オーリン准尉とチコちゃんだよね♪ リンちゃんも無事って、ほんとに良かった・・
まさか月に降りていたとは・・」
「そうですよ♪、その吉報が届いてから、中尉は以前の中尉に戻られました、
クラウド大尉と最初に会われた時は、精神的にも少々中尉も落ち込まれていましたから・・
だから、今日はもう大丈夫ですよ♪」
「だよね♪ ちょっと大人になった俺様を、奴らに見せつけちゃおうかな♪」
「中尉♪ その調子でお願いいたします。」
そんな雑談を交わしながら、ヒロ中尉とクマ軍曹はブリーフィングルームに入った・・
案の定、パブリク突撃艇の15人の艇長たちは、既に静かに着座していたが、
いつものように、ミィ少尉を中心としたMSパイロット達のグダグダ話で盛り上がっていた。
そんなやりとりを、眉間にしわを寄せて睨んでいる一人・・ クラウド大尉が
今、ブリーフィングルームに入ってきたヒロ中尉に口火を切る・・
「おいおい・・ 今頃来たのか? さすがモビルスーツ隊の中隊長代行さまは偉いねぇ・・
部下たちの統制もできてないのに、最後にご登場ですか?」
ヒロ中尉の顔が変わる・・
「中尉・・ ここは押さえて・・」
「解ってるよクマちゃん・・ ありがとね♪
はっ! 申し訳ありません、クラウド大尉殿っ!
私の統制力が無いため、部下たちが騒ぎまして・・
私が責任を持って、粛清いたしますので、お許しくださいっ!
尚、その粛清を行うに際し、どのようなご迷惑を誰が行ったのかをお知らせ頂きたく・・」
「ああ!迷惑なんだよ! 決戦前なのに遠足にでも行くのか?・・
ちゃらちゃらしやがって・・ うるさいって事だ! うちの奴らは、みんな気合が入ってんだ!
貴様らの軟弱な精神がうちの部下達に伝線したら迷惑なんだ・・って事が解らないのかぁ?
まぁ、この若造の中隊長代行さまなら、それも無理がないかぁ・・」
「ヒロ中尉! 押さえて!」
「ん?軍曹ごときに意見を言われる中隊長代行さまって・・ 立派だよなぁ♪
この隊長だから、部下もそうなるか・・
パイロット記章を付けていると偉いと錯覚してやがる・・ クズの癖に・・」
「大尉殿・・ 私の事を言うのは構いませんが・・ ・・・ ・・・」
「何? 聞こえないが?」
「ぶ・・ 部下を侮辱するなっ!」
と、言うが早いか、ヒロ中尉がクラウド大尉に殴り掛かる・・
挑発してきたクラウド大尉は、計算済みなのか、軽くいなしヒロ中尉の胸ぐらを掴んだ!
「ア・テ~ンション!!」
海兵隊の掛け声とともに、ドアが開き、
マメハ戦隊長、タゴサ中佐、クロヒッツ少佐、マサップ中尉が入ってくる・・
「ほんとに、困った人たちね・・ 一体何をしているのかしら?」
「はっ! リクリエーションでありますっ!」
「まぁ・・ そうなの? 体力が余りまくっている様ね・・
それじゃあ、タゴサ中佐のお部屋掃除でもお願いしようかしら・・ ♪」
「そ・・ それは・・ 便所掃除の方がまだましっすっ!」
「こらっ! ヒロ中尉! 私のお部屋がお便所より汚いって言うの?」
「肯定でありますっ♪」
殺伐とした空気が、一瞬で和んでしまう・・ これがグリフィン戦隊のカラーなのかもしれない・・
ただ、クラウド大尉には、それも気に食わない一つの要因でもある・・
戦隊長などグリフィン戦隊全体にも、文句を言いたいのだろうが、さすがに大佐に対しては、
暴言を吐くこともできず、結果としてヒロ中尉に絡んできている事は一目瞭然でもあった・・
憮然とした態度でため息をつき、席についたクラウド大尉に向かって、マメハ戦隊長が話しかける・・
「クラウド大尉・・ 今回の作戦の重要度はご存じよね?
そろそろ、スイッチを切り替えましょう・・ 明日も皆が顔を合わせられるよう、
戦隊全員のベクトルを、今回の作戦遂行に向けてほしいの・・ 解るわね?・・」
続けてヒロ中尉に顔を向け・・
「ヒロ中尉・・ 今日は突撃艇中隊の事は関係ないからぁ~ とか言わず、しっかりと聞くように・・
同じ作戦に参加する仲間の事を、少しは理解しましょう・・ 良いこと?
じゃ、ブリーフィングを開始するわね!」
マメハ戦隊長が今回の作戦について、パブリク突撃艇の装備から説明を始めた・・
「今回パブリク突撃艇に装備されている、大型ミサイルだけど・・ ヒロ・・ 弾頭は何か知ってる?」
「ん? 弾頭って・・ まさか核じゃねぇだろ?・・」
「そうね、核は南極条約で禁止されているわね・・ クラウド大尉・・ 正解を・・」
「ああ・・ ビーム攪乱剤だ・・ ミノフスキー力学を応用した新兵器さ・・」
「ありがとう大尉・・ そのビーム攪乱剤だけど、どうして必要なのか解る? ミィ少尉?」
「えっ・・ わたしぃ? えっとぉ・・ ビームが攪乱されるって事だから・・ そっかぁ!
ソロモンの大型ビーム砲台からのビーム攻撃を避けるためですかぁ?」
「正解! 我々第3艦隊は、ソロモン前面に姿を露わに出し、進撃する計画なの・・
ジオンも真正面から来るとは思ってない訳で・・
その理由は、要塞化しているソロモンのビーム砲台があるから・・まさかと思うわね
でも、そのビーム砲を無力化できると、我が艦隊はソロモンに向かう事が出来るのね・・」
「戦隊長! 質問です!!」
「何? ユカ少尉?」
「我々第3艦隊だけなんですか? ティアンム提督の第2連合艦隊も一緒なのでは?」
続く・・・
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