ドラマネ倶楽部の理念は、「一緒にやれば、もっとできる!」 

目標を具体化する

事業の定義は、目標に翻訳しなければならない。

そのままではせっかくの定義も、決して実現されることのない洞察、よき意図、よき警告に終わる。

ここにいう目標とは、第一に、「われわれの事業は何か。何になるか。何でなければならないか」という問いから導きだされる具体的な目標である。

抽象的であってはならない。

目標とは、使命を実現するための公約であり、成果を評価するための基準である。

いいかえるならば、目標とは、事業にとって基本戦略そのものである。

第二に、目標は行動のためのものである。

仕事のターゲットと割り当てにそのままつながるべきものである。

仕事と成果にとって、基準となり、動機づけとなるものである。

第三に、目標は、資源と行動を集中させるためのものである。

事業活動のなかから重要なものを区別し、人、物、金という主たる資源の集中を可能にするものである。

したがって、それは網羅的ではなく、めりはりのあるべきものである。

第四に、目標は一つではなく、複数たるべきものである。

ところが最近の「目標によるマネジメント」をめぐる議論は、正しい目標を一つ求めている。

しかしそのような目標は、錬金のための賢者の石のように益がないだけでなく、害をなし、人を誤り導く。

つまるところ、マネジメント(成果をあげるために構築された仕組を運用する)とは、多様なニーズをバランスさせることである。

そのためには、目標は複数でなければならない。

第五に、目標は、事業の成否に関わる領域すべてについて必要なものである。

目標の内容は組織によって違う。

しかし目標を設定すべき領域は、あらゆる組織に共通している。

なぜならば、事業の成否を決める要素は、いかなる組織でも同じだからである。

企業はまず、顧客を創造しなければならない。

したがって、マーケティングの目標が必要である。

企業はイノベーションを行わなければならない。

さもなければ、陳腐化する。

イノベーションの目標が必要である。

さらに企業は、経済学のいわゆる生産の3要素、すなわち人的資源、資金、物的資源を必要とする。

したがって、それらのものの補給、利用、開発についての目標が必要である。

企業が生き残るためには、それらの資源の生産性を向上させていかなければならない。

したがって、生産性についての目標が必要である。

さらに、企業は社会のなかに存在する以上、社会的な責任を果たさなければならない。

少なくとも、自らが社会に与える影響について責任を果たさなければならない。

したがって、社会的責任についての目標が必要である。

そして最後に、利益をあげなければならない。

さもなければ、いかなる目標も達成できない。

あらゆる目標が何らかの活動を必要とし、したがってコストを必要とする。

それらのコストは利益によって賄われる。

しかも、あらゆる活動がリスクを伴う。

それらのリスクをカバーするための利益を必要とする。

利益自体は目標ではない。

しかしそれは、企業それぞれの戦略、ニーズ、リスクに応じて設定すべき必要条件である。

したがって、目標は8つの領域において必要とされる。

すなわち、マーケティングの目標、イノベーションのの目標、人的資源の目標、資金の目標、物的資源の目標、生産性の目標、社会的責任の目標、必要条件としての利益の目標である。

目標は絶対のものではない。

方向づけである。

拘束ではない。

献身である。

未来を決めるものではない。

未来をつくるべく資源を動員するための道具である。

 

:チェンジ・リーダーの条件 p39

 

目標は、未来をつくるべく資源を動員するための道具である。

真摯に目標に向かう年にしたい。

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