♪ サークル・ゲーム / バフィー・セントメリー：1967年作

「いちご白書をもう一度」が出たことで、次の曲に進むのに複数の選択肢があり、迷ったのですが、ここはオーソドックスに映画『いちご白書』の主題歌「サークル・ゲーム」に決めました。

 

いちご白書

1960年代後半にアメリカの名門コロンビア大学で実際に起こった学生紛争を記したノンフィクション本を基に作られた作品が映画『いちご白書』でした。 当時のアメリカは、ベトナム戦争の泥沼に嵌っていた時期で、反戦というスローガンの元に各地でデモが発生するなど、社会が不安定な状況で、これはアメリカに限ったことではありませんが、大学でも、1960年代半ば頃から1970年代の半ば頃までの10年間は学生運動という形で荒れていた時期に当たります。　日本でも1969年の東大安田講堂占拠事件が起きるなど、多くの大学で学生運動が起きました。　僕は幸か不幸かその時期から外れてましたので、のんびりと平和裡に学生生活を送る事が出来ました。　まだまだ社会の問題など分からない子供でしたが、安保反対というのが何たるかは知らないまでも、安田講堂占拠の事はニュースで流れていたのをはっきりと記憶してます。　東大入試が中止になり、東大には全く手の届かない人は「これで東大を諦めなきゃならなくなった」と冗談を言いながら笑っていましたが、東大を目指していた人はどんな気持ちで、この事件を見ていたのでしょうか？　

 

Give Peace A Chance

話を『いちご白書』に戻しましょう･･･主役はボート部に所属する、学生運動には無縁の平凡な学生が、学生運動をしている女学生に一目惚れ、彼女とお近づきになりたくて、集会にも積極的に参加するようになります。　これって、自分では気づかないまま大事に巻き込まれてしまうというお決まりのパターンですよね！(^O^)･･･この映画のハイライトは、講堂を占拠する学生が輪になって、ジョン・レノンの「Give Peace A Chance」を大合唱する場面でした。　大学側は強制排除の決定を下し、催涙弾が撃ち込まれ、主人公カップルは、警官にボコボコにされ、無理矢理引きずり出されてしまう。　安田講堂占拠もそうでしたが、結局は強制排除という、「やっぱりな」という結果になってしまいます。

 

ジョニ・ミッチェルの作品

ノンフィクションを基にしたフィクションなので、ハイライトの場面で歌われたジョン・レノンの曲も実際には歌われたわけではありません。　それもその筈、この出来事は1968年の事で、ジョンの曲は翌年の1969年にシングル発売されたのだから、当然と言えば当然・・・ 映画の冒頭で使われた主題歌の「サークル・ゲーム」も歌詞の内容が、子供でもなく、かといって大人ともいえない学生達に重なり合う部分があり、一見、この映画の為に書き下ろされた様に感じますが、実際は映画の封切られた3年前の1967年にカナダ出身のフォークシンガー、ジョニ・ミッチェルによって書かれており、複数のアーティストによってレコーディングされていました。

 

ニール・ヤングへのアンサーソングだった！

作者のジョニ・ミッチェルは、この曲を同じカナダ出身のニール・ヤングの「シュガー・マウンテン」という曲のアンサーソングとして1967年に書き上げました。　当時、ヤングが所属していたバンドは20歳になったら脱退せねばならぬという約束事があり、ヤングは「シュガー・マウンテン」という曲の中で“失われた青春に対する嘆き”を歌に込めていました。　これを聴いたミッチェルは、もう自分達には、“荒廃した未来しかないのか？”と反発心から、ヤングの為に、また自分自身の為に、希望をもたらす曲として「サークル・ゲーム」を書き上げました。

 

日本では大ヒット！

この曲は複数の人がレコーディングしましたが、1970年に封切られた映画『いちご白書』の主題歌として、バフィー・セントメリーのバージョンが取り上げられ、シングル盤がリリースされました。　アメリカでは映画そのものがヒットしなかったので、シングル・ヒットとはならなかったものの、日本では映画が好評だった為にオリコンの最高位が11位とヒットを記録。　この曲は映画の冒頭で流れました。

 

The Circle Game - Buffy Sainte-Marie

 

ジョニ・ミッチェルがこの曲をレコーディングしたのは1970年の事ですから、セルフカバーということになります。　馴染みやすさという点ではバフィー・セントメリーの方に分がありますが、僕はジョニー・ミッチェルの方が好きかな・・・彼女は歌が上手いですね♪

The Circle Game - Joni Mitchell