Johnny’s Dazed And Confused Days

〜ジョニーのぼんやりと混乱した日々〜

♪アイ・アム・ザ・ウォーラス / ザ・ビートルズ:1967年作

2023年11月30日 07時00分00秒 | 『Magical Mystery Tour』
Dilemma ジレンマ
自分の思い通りにしたい二つの事柄のうち,一方を思い通りにすると他の一方が必然的に不都合な結果になるという苦しい立場。


そのカリスマ性から、他のアーティストに圧倒的な支持を得ていたジョン・レノン。 しかし、ビートルズ後期の彼の作品は、シングルのA面曲から外されることが多くなりました。

今日ご紹介する曲も、同業のアーティスから「ビートルズの最高傑作」と賞賛される事が多い名曲の名曲・・・
しかし、やはり、この曲もB面でした。


【 Single Data 】
リリース:1967年11月24日(英国)、11月27日(米国)、12月25日(日本)
チャート:(A面)英国1位、Billboard 1位、オリコン15位


プロも認める名曲中の名曲
今日ご紹介する曲は、イギリスで1967年12月26日に放映されたTV映画『Magical Mystery Tour』の中で使われた「I Am The Walrus」です。 ジョンはこの曲に絶対的な自信を持っているようで、「ウォーラスは何年経っても飽きることがない」といったようなことをインタビューで答えてもいました。

“コラージュ”して前衛アート、
それを“オマージュ”して新たな作品を・・・

始まりから終わりまで、曲全体がサイケ感に満ち溢れており、更に、途中、ブレイクしてからのゆったりとした倦怠感が漂う雰囲気、そして最後の最後にラジオから流れて来るような部分がコラージュされるなど、まさに当時流行った“サイケデリック・ミュージックの集大成”と云ってもいい作品がこの「アイ・アム・ザ・ウォーラス」です。

この曲はポールやジョージにも大きな影響及び衝撃を与え、多くの後続バンドもカヴァー、あるいはオマージュした作品を発表するなど、この曲の他に与えたインパクトの大きさは計り知れないものがあります。
この曲を初めて聴いた時は「奇妙な曲だなあ~でも、カッコいい!」とぐらいしか思いませんでしたが、何年にも渡って聴くに及び、ジョンの“飽きることが無い曲”という発言をすごく理解できるようになりました。

まさに、ジョンの名曲中の名曲といえるでしょう❗️

しかし、B面・・・

その時代を象徴するような「Revolution」などの名曲を出してもA面にならない!
後にジョンがヨーコに「俺はいつもB面」と愚痴をこぼす訳ですが、この誰しも認める名曲「I Am The Walrus」が、B面として扱われた日から、ジョンのジレンマが始まったのかも知れませんね。

奇跡のコラボ
僕は思うのです、ジョンがこういった斬新な曲を自由奔放に発表出来たのも、ポールが“表ビートルズ”をしっかり守って行けるだけの名曲を次々と書き上げてくれたからこそなのだと・・・
表看板を守る天才と、裏看板でバンドとしての先進性を引き出す天才~まさに奇跡のコラボですね!
 【 Album Data 】
リリース:1967年11月27日(米国)、1968年12月5日(日本)、1976年10月29日(英国)
チャート:Billboard 1位、オリコン27位(1987年盤)、英国31位(1976年)


童謡からヒント
母親の姉にあたるミミ叔母さんに育てられたジョン・レノンが、母親のいない寂しさを紛らわす為、『マザー・グース』『不思議の国のアリス』などの童謡を熟読し、自分の身を“空想の世界”に埋没したことは充分想像できます。 

この曲、豚が空を飛んだり、卵男が登場したりと、何だか意味不明の事柄が多過ぎます。
しかし、これはこの曲の詞の中にある他の言葉から、“童謡からの引用”であることが分ります。

たとえば、『不思議の国のアリス』を書いたルイス・キャロルの作品に『セイウチと大工』という詩があり、その中で“うわさ話だけでも忙しい身さ 海が熱いとか 豚が飛んだとか”という一文があります。 もうお分かりの方もいらっしゃると思いますが、この童謡の中でも、“豚が空を飛んでる”んですよね!

更に、「アイ・アム・ザ・ウォーラス」の詞の中に“ハンプティー・ダンプティー”という固有名詞が出て来ますが、これは『マザー・グース』に登場するキャラクターのひとつで、擬人化された卵の姿で親しまれているそうです~"Egg Man"ってことですね!

これからもこの曲の難解な詞も、決して意味のない言葉を羅列したわけでなく、孤独だった幼少期に空想の世界に導いてくれた童謡を歌詞の中に盛り込んだ事が分ります。

ジョン・レノンの天才的な芸術性を見せつけた曲がこの「I Am The Walrus」といっていいんじゃないかな?


アイ・アム・ザ・ウォーラス / ザ・ビートルズ
僕は彼で
君が彼なら
君は僕で
僕らはみんな一緒
あの走りっぷりを見てごらん
銃から逃げてく豚さんみたいに
飛んでゆくのを見てごらん
まったく涙が出てくるよ

コーンフレークに腰掛けて
バンが来るのを待っている
ロンドン市議会Tシャツで
うんざりしきった火曜日に
うんざり顔の困り者
僕はエッグマン むこうはハンプティー
僕はセイウチ ググーグ・ジュ

僕らのおまわりさん 可愛いおまわりさん
みんな並んで座ってる
飛んでゆくのを見てごらん
空飛ぶルーシーみたいにさ
あの走りっぷりを見てごらん
泣けるよ まったく泣けてくる
まったく涙がでてくるよ

死んだ犬のおめめから 滴り落ちるは
黄色い膿のカスタード
クラブ・ロッカーののしり女
ポルノの尼さん
あきれるほどの困り者
すぐに下着もポイとする
僕はハンプティー むこうはダンプティー
僕はセイウチ ググーグ・ジュ

英国風のお庭に座って お日様来るのを待っている
もしもお日様来ないなら
英国風の雨の中 肌はすっかり小麦色
僕はハンプティー むこうはダンプティー
僕はセイウチ ググーグ・ジュ ググーグ・ジュ

咳き込んでるのは愛煙家 エキスパートのテキスパート 
ジョーカーも 陰でニヤリとしたり顔
ほくそ笑みをば見てごらん
豚小屋の豚さんみたいな
インチキ臭さを見てごらん
まったく涙が出てくるよ

エッフェル塔をよじ登る セモリナ小麦のまイワシ君
ハレ・クリシュナを歌うのは よちよち歩きのペンギン君
エドガー・アラン・ポーなるを
蹴とばしたのはいい見もの
僕はエッグマン むこうはハンプティー・ダンプティー
僕はセイウチ ググーグ・ジュ・・・







4 コメント

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Unknown (meiban-matome)
2023-11-30 17:14:07
こんばんは。

I Am The Walrusはビートルズの曲で一番好きです。
ポップだけど前衛的で、脳を揺さぶってくるような感じがたまらなく好きです。

お酒飲みながらこの曲やAll You Need Is Love聴くと、とても気持ち良くてクセになっちゃいます。
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Unknown (ikenaijoni)
2023-11-30 20:23:12
@meiban-matome さんへ

今晩は🌃
初めて聴いたのが思春期の美少年だった頃で(笑)、当然、理解できない曲でしたが、今ではジョンの言う「飽きない曲」というのがよく理解出来ます。
ビートルズが聴きたくなった時、真っ先に頭に過ぎるのがこの曲です。
同業のアーティストから、絶賛される曲というのがよく分かります。
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Unknown (yoko-2-1)
2023-12-01 04:52:06
おはようございます。
「童謡からのヒント」のお話、特に、楽しかったです。
ルイス・キャロルの『セイウチと大工』からとは思いもしませんでしたし、ジョン・レノンは本当にすごいなあ、と思いました。
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Unknown (ikenaijoni)
2023-12-01 08:37:16
@yoko-2-1 さんへ

おはようございます☀
ジョンの詞については諸説あって、どれが正しいという事はないんですよね。
彼自身も、ひとつの難解な言葉を入れることによって、評論家がどう解釈するか楽しむ事があったそうです。
僕自身は世に出ている曲の歌詞は、受け取る人それぞれ違っていいと思ってます。
勿論、勝手な思い込みで『作者への攻撃の材料としない』という条件が入ってますけどね!
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