確かに、中山間部を多く抱える新潟県にとっては重要課題。
それに対し、私の答えは少々クールすぎたかもしれない。
しかし、重要なのは、自立支援、つまり、「弱者救済福祉政策」から、「動機付け政策」への転換。市場原理とセーフティネットの併用。自治と補完の原則。
つまり、中山間地での、集落民の気づきと発見支援がメインなのだろう。
しかし、参加できない住民も多い。行政対応としては、「参加できる地域環境とはどの様なものかの模索が」重要となろう。それを私は昔から広場のあるまちづくりと言って来た。
これからは、多くの人々が、地域コミュニティの様々な活動に参加したくなる地域とはどのような地域か?が模索されなければならないだろう。
以下、私の新潟県庁の方への解答。
人口減少社会になるという事を前提として物事を考えようというのがこの間の、一般論としてあろうかと思います。
ただ、今のご質問は、そういった中でも地域間格差があるじゃないか、新潟やあるいは新潟の中でも都市と山間部とでは、地域間格差があるし、それから関東圏と東北あるいは北陸等々の地域格差がある。これが、人口減少スピードにかなりオーバードライブをかけて、悪いところはより悪く、あるいはよいところはよくというそういったような格差を生まないかという意識が根底にあるのかもしれません。
あるいは行政として、そういった人口が減ることに対して歯止めをかけられるような政策があるのかどうかという、そういった前向きなご意見だったのかもしれません。
もしそのようなものとして受け取ると、私はこれからの人口減少社会の中で、行政が何らかの形で人口減少に歯止めをかけるということは、かなり難しいという気がしております。
それは、高度経済成長時代につくられてきた社会構造を根本的に転換できるかどうかにかかっているのかもしれないと思っています。
といいますのは、例えば新潟1つとってみたとしても、新潟県というのは、江戸時代にはものすごく富裕な地域だったわけです。ですから、新潟の銀行が北海道へ行って、北海道開拓のための資金も人材もほとんどが北陸筋の人たちが提供したのをはじめ、太平洋地帯にもそうしたシフトが行われた。その富のシフトは、明治政府によって行われたわけですけれども、それで太平洋側がどんどん発展してきたという、こういった政策があったんだろうと思うんですが、
これからは、地域のことは地域で考える、その地域圏の中で自立的な生活ができるかどうかということが、1つのかぎになってくるんだろうと思うんです。
そうなってくると、それをどういうレベルの中で考えるのか、東北一円の中で考えるのか、新潟県という中で考えるのか、あるいは上越市という中で考えるのかということなんですが、私は、これには2つの考え方があろうかというふうに思うんです。
1つは、先ほど出てきた生活圏という考え方です。地方中心都市10万人から1時間圏内にどれだけ人々が住むか、その生活圏の中での住みやすさというふうなものが、一体どういう要素によってつくられているのか、その住みやすさを政策化する際に、ここに地方公共団体が出ていく条件というのはいっぱいあるだろうと思うんですが、私は、基本はコミュニティーだと思うんです。その中での地域振興というふうに考えた場合には、やはりその地域に住んでいる人の気づきと発見の助長だと思うんです。これは、外部から何かをやりなさいと刺激を加えるんではなくて、中にいる人たちがこういった形でやると非常に楽しいねという、日常をいかに豊かにするかという姿勢がないと、その地域はやっぱり過疎はどんどん進んでいくということになるんだろうと思うんです。そういった政策が、果たして今後できるのかどうか。これは農水省の中山間地の直接支払方式なんかは、集落をベースとした中山間地の老人等々も含めた人たちの発見、気づき、これをベースにした農業振興を図りましょうということで、ある程度成功しているところもあるんですが、しかし、抜本的な解決にはなっていない。
つまり、地域の人々が自発性でコミュニティに参加できる社会というのは一体どういった社会なのか、そのためには何が必要なのかを、皆で考えないといけない。これはもはや理性を超えた形で感じないといけない時代になったと思っています。
先ほど、私はアルベールビルの話をしましたが、ヨーロッパの農村の中で、そういったことがあることがお互いを支えあって、一人一人孤立したのではなくて、お互い一緒にやれば何とかなるという雰囲気がやっぱりあるわけです。新潟の場合にも、私は、そういった条件というのは幾らでもつくれるんだろうと思うんです。それを生活圏の中での条件整備といったらいいんでしょうか。
それから、もう1つは、やっぱり国際的な対応というのも考えなきゃいけない。じゃあ、東北地方の国際的ゲートウェーはどこにするの、やっぱりこれは仙台だよとか、北陸地方はどこなんだろう、新潟でいいじゃないとか、北海道は札幌だとか、こういった生活圏とは別のグローバル対応の国際的なゲートウェーやそのシステムというのも、またこれつくらなきゃいけないわけだと思います。その辺の重点をどこに置くのかというふうなことをしないと、やはり都会にあこがれ、あるいはあこがれるところへ移っていくというふうなことになってしまうんだろうと思うんです。特に、これからの社会は、老齢化、高齢化しますから、高齢社会ですね、もう中山間地は三、四十パーセント、新潟だったら四、五十パーセントいっているかもしれませんね。そうしたところの生活に対する政策をやれるかどうか、これは財政依存ではできないんだろうと思うんです。パートナーシップ型の、住民と行政とがパートナーシップをとりながら、果たして市場化を含めながら、さらには指定管理者制度なんかも含めながら構築していくということができるかどうか、それが1つの課題のような気がするんです。
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