今日の一貫

すかいらーく 横川さん

横川社長、ざっくばらんで、好きな経営者だ。

上場を取りやめ、MBOに踏み切ったが、どうやら、金融端と外食産業との業界差が出たようだ。

この業界、横川さんから誰かに社長交代したとしても、はたして業績向上するかは疑問。
ファミリーレストランという業態は既に過去のものになったのでははないか?
必要のは、この業界の業態転換なのだが、新たな方向が見えてるとも思えない。
さらに、資材高が追い打ちをかけている。
金融業のような右から左へと計算通りにはいかないのだろう。(13日)

(以下19日)
この間日経ビジネスと日経新聞に、インタビュー記事が出ている。
やはり経営者だ、淡水魚と海水魚とは同じ水ではいきられなかったと表現。
これを契機にMBOのあり方が変わってくるかも知れない。


以下引用19日
すかいらーく、創業家の挫折――日本のMBO、変える契機に(経営の視点)
2008/08/18, 日本経済新聞 朝刊, 9ページ, , 1242文字

 所要時間はわずか八分。すかいらーくの横川竟(きわむ)前社長が議決権の九割以上を握るファンド株主に解任された臨時株主総会はあっさりと終わった。
 同社がMBO(経営陣が参加する買収)を決めた二〇〇六年、世界はカネ余りの状況にあり、投資ファンドが日本でMBOの勧誘に奔走した。だが実際にMBOが始まると短期の利益を追求するファンドとうまく折り合えず、挫折感を味わう経営者が多かった。横川氏もその一人だった。
 「すかいらーくはそもそもMBOだったのか」との疑問を向ける専門家もいる。横川氏ら一族は二割近かった持ち分をMBOで三%まで売却。多額の売却益を手にしており、「守るべきもの」はあまり残っていなかったともいえる。経営陣が自ら資金を投じてリスクを負うMBO本来のイメージには遠い。
 同じ二〇〇六年にMBOを実施、東芝子会社から独立した半導体向け素材の大手、旧東芝セラミックス(現コバレントマテリアル)は対照的だ。香山晋社長自身の同社への出資比率は一%に満たないものの「退職金の数倍にあたる金額」を工面しての投資はサラリーマンだった同氏にとって多大なリスクを背負っての賭けとなった。
 同社はそれまで長く赤字が続き、東芝も見放しかけていた。巨大企業の子会社というぬるま湯的環境に見切りをつけ、香山氏が自らリスクを負ったのは、一時は社長の座を争ったこともある古巣の東芝を「見返してやろうという気持ちも正直あった」という。また、自ら半導体事業に長く携わった経験から「親から独立し、自由に投資したら成長が可能とわかっていた」とも指摘する。
 MBOから二年。組んだファンドに聞いてみると香山氏の評判はまずまずだ。収益やキャッシュフローなど、当初約束した数字が景気減速下の今もあまりぶれていないのが大きい。
 もっとも再上場を実現するまで香山氏は「背後に感じる」というファンド株主の無言の圧力と戦い続ける緊張の日々が続くことになる。ファンドは投資先企業のキャッシュフローなどを定期診断しており、何かあれば職を解かれる可能性もある。香山氏にそれを問うと「そうならない自信がある」と切り返した。
 日本でのMBOは創業家の経営者らによる「すかいらーく型」が中心。株式上場を廃止したり、親会社から独立したりすることで経営者に長期的な視点に立った改革を担わせるという本来の目的と裏腹に、実際には敵対的な買収を防ぎたいといった理由で進められたMBOも少なくなかったようだ。MBO時の株式買収価格についても、既存株主から「不当に安い」といった不満が噴き出したりした。
 M&A(合併・買収)の先進国、米国では経営者がMBOを表明すると「身売り宣言」と受け取られ、様々な買収提案が寄せられる。甘いMBO計画だと他からの買収提案に負けてしまう恐れもある。そんなリスクを乗り越えるからこそMBOを担う経営者も真剣になる。すかいらーくのドタバタ劇がまだ草創期の日本のMBOを変える契機になると期待したい。
(編集委員 中山淳史)


時流超流・トレンド-すかいらーく前社長、MBOから解任までの舞台裏を激白 「同じ水では生きられなかった」
2008/08/18, 日経ビジネス, 6~7ページ, 有, 3151文字

 経営者失格――。外食大手すかいらーくは8月12日の夕方、臨時株主総会を開き、横川竟氏(70歳)の社長職を解いた。国内最大のMBO(経営陣が参加する企業買収)を活用した経営再建として注目を集めてきたが、業績回復のメドが立たない中、大株主である投資会社が見切りをつけた格好だ。今回の動きが表面化して以来、公の場から姿を消していた横川氏が本誌の独占インタビューに応じ、電撃解任までの2年間を語った。
 改革途中だったのに中途半端で辞めざるを得ないのは非常に残念です。(投資会社と外食企業は)淡水魚と海水魚くらい住むところが違ったんだと、僕は最近思うんですよ。どっちも生きられないんです。全く価値観が違う。しかし、業績が悪かったという点で、私は約束を破った。これは事実です。
思惑のズレは当初から
 一度は引退した創業4兄弟から横川氏が社長に復帰したのは2006年3月。その後、7月に野村プリンシパル・ファイナンスと英投資ファンドCVCキャピタルパートナーズに横川氏ら経営陣が加わり、MBOで上場を廃止した。野村など投資会社連合は97%の議決権を握り、経営改革を通じて、3年後の2009年中にも再上場を果たすシナリオを想定。だが、MBO発表の会見時から横川氏は「再建には3~5年の時間がかかる」と主張していた。
 最初、投資会社や銀行はものすごく強気の事業計画を持ってきました。MBO翌年から利益が急回復し、2009年にはこれまで達成したことのないような高い利益を出す内容。多額の資金を集めるため、誰もがノーと言えない数字を作ったんです。
 創業者の1人としてMBOのアイデアを出したのは僕です。2006年に発表したのも僕。でも、計画自体は(着任前の)伊東(康孝・元社長)体制時に作っているから、絡んでいない。
 だから、計画を見た時、「こんなことができるならMBOをする必要なんかない。今の流れを変えるには5年はいるよ」と言って、契約書へのサインを拒否した。そうしたら、「4つの会社の100人が徹夜で作った計画をあなたは拒否するのか」と言われて。事業計画に関わっていたウチの社員も「そのあたりは向こう(投資会社2社など)も理解しているから」と言う。それで、「そうか、分かった」とサインをした。社員を信用したからです。でも、確認しなかった僕が悪い。
 資本の論理で投資資金の早期回収を目指す投資会社側と、市場の目にさらされずじっくり改革に取り組もうと考えた横川氏。思惑の違いは2007年12月期までの2期連続の大幅な最終赤字が引き金となって表面化した。
 投資会社2社は「横川さんは最初に合意した細かいリストラ計画をきちんと進めてくれなかったし、会社にもあまりいなかった。純現金収支の実績も計画と数百億円違う」と憤る。和食業態「夢庵」のある店長も「MBOの後も特段変わったことはなかった。店内の細かい改善計画が増えたのは今年になってからだ」と証言する。
 人がいるじゃないですか。人を無視してこの商売は成り立ちません。店舗を閉めろといっても、契約を切るにはオーナーのところへ行って了解を取らなくてはいけない。店舗の労働時間を削減するにも、「はい、君はいらない、君もいらない」というわけにはいかない。商売を知らない人の発言です。
 だいたい、一番の書き入れ時である7~8月にこんな事件を起こすなんてめちゃくちゃです。いったい何をしているのか。
 それに、僕は(2003年の引退後、すかいらーくには)いなかったじゃないですか。もともと「ジョナサン」の(社長を20年以上務めた)人間です。落下傘で降りていますから、(再建の指揮を執ろうとしても部下の)名前と顔と実績が一致しない。苦労は承知でした。でも、誰に何をやらせるかを見極めているうちに時間が経っちゃった。
MBO参加にそれぞれの事情
 ここまでこじれた根底には、当事者たちがそれぞれの論理を優先させたこともある。
 すかいらーくの場合は、横川家の資産管理会社が抱えていた借金の存在がMBOのきっかけの1つだったと指摘する声が少なくない。返済原資を確保するために、創業家がすかいらーく株の売却を検討したという。また、銀行団はMBOを通じて横川家やすかいらーくとの取引関係を温存することを狙い、野村グループも主幹事証券として日本最大のMBOに関わるメンツにこだわった。
 僕が話をして契約した人はCVCも野村も銀行もいなくなりました。(契約をした当事者で)残っているのは僕1人だけです。MBOは日本の経済界に定着するのか。これからやる方たちには僕と同じような嫌な思いをさせたくない。すかいらーくに戻ってからこんな声になっちゃって。今は歌も歌えない。
 かすれ声の横川氏はインタビュー中、ずっと、のど飴を口にしていた。一族創業の地である「ひばりが丘団地」にちなみ、1970年、誕生したすかいらーく(英語でひばりの意味)。外食産業の一時代を築いたひばりはかつてのさえずりを取り戻すことができるのか。再び羽ばたこうとする前途には強い逆風が吹く。
(小瀧 麻理子、鈴木 裕美)
横川氏に現場の疲弊を問うと「その話はやめよう。つらい」とつぶやいた
すかいらーくのMBOの構図
現場は疲弊、新体制でも再建は多難
 「回復の兆しはある。でも、現場はボロボロ。このままじゃ倒れる人が出ますよ」。中華業態「バーミヤン」の関東地方のある店長はため息をつく。
 横川氏を解任しても、再建への道のりは厳しい。迷走のしわ寄せが最もきつく出ているのは現場だ。
 横川氏は昨秋、組織と人事を刷新し、業績回復の足を引っ張ってきたバーミヤンに、今回すかいらーく新社長に就いた谷真氏(56歳)を送り込んだ。谷氏はパフェなどの新メニューを導入、生産性向上のために難易度が高かった調理法を簡略化するなど、次々と改革を実行してきた。
 成果は徐々に表れ、店長たちは業績の底入れを感じ始めてはいる。しかし、たかが1品、メニューにパフェを追加するだけでも、作業場や冷蔵庫の確保などで現場は混乱する。調理法を変えれば、アルバイトに教える手間もかかる。
 改革では、従来の地区長職を廃止して、全員を店長に“降格”。一部の店長が地域全体を統括する役割を兼務する仕組みも導入された。だが、兼務になっても昇給はほとんどないという。
 「先が見えない。頑張っても頑張っても、仕事が増えるだけ。このまま昇給がなければ、現場は崩壊する。でも、会社もMBOに伴う銀行借り入れの利払いがあり、少しでも切り詰めないと赤字が続く。それを知っているから、誰も何も言えない」(前出の店長)
 銀行団や投資会社にも確固たる展望があるわけではない。
 想定以上の業績悪化に伴い、MBOに伴って発生した巨額の債務が重くのしかかっている。現在の借入金は約2000億円と、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の約8倍の水準で高止まりしている。遅れているリストラ費用も捻出しなければならない。銀行団からは少しでも早く、利子や元本の返済を進めてほしいという声が高まっており、「合計で500億円前後の新しい資金の導入が不可避」という見方が出てきているようだ。
 だが、野村などの投資会社は1株利益の大幅な希薄化につながる他者の出資には消極的だ。野村自身、サブプライムローン関連で巨額の損失を計上しており、出資分をこれ以上棄損することは避けたい。
 関係者の足並みが再び乱れれば、再建はますます遠ざかる。その結果、MBO時に株式を購入した社員1640人を含む外食の現場が犠牲になるとすれば、本末転倒と言わざるを得ない。
2期連続で大幅赤字を計上
すかいらーくの連結業績の推移
業績回復の足を引っ張ったバーミヤン
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