今日の一貫

農商工連携について

「農商工連携」とは実に良い言葉を使ったものだ。
そのせいか、一般化し、浸透しはじめている。

これまで、「6次産業化」とか「食産業クラスター」とか、「食農連携」などといった言葉が、使われてきたが、いずれも定着しずらいことばだった。

この何年間か、大学で「食農事業論」を講義してきて、これらのワーディングの悪さに気付いていた。
何とか定着する言語がないか探し、たどり着いた言葉が「融合産業」。

たとえば、運輸業や宿泊業、外食産業、出版業など、産業分類表にある様々な産業が、一つの産業に束ねられて「観光業」を形成しているように、複数の産業の融合体。
しかし肝心の観光業は産業分類表にはない新しい分野。
これからの経済は、業界の境界領域を取り払い、新たな産業を作り付加価値を高めていくこと。つまり業界融合を目的意識的に作っていく必要がある。

食品産業もしかりで「融合産業化」はこれからの地域経済活性化の手法。
融合産業の特徴は、「ショッピングセンターができて商店街がつぶれる」といった「勝ち負け」構造ではなく、参加者がそれぞれの立場で前向きになりみんなが良くなる「ウイン・ウイン」の構造を作れること。
それぞれの業界の規律を守る内向きの構造ではなく、創造性の発揮が相互を結びつけ、新たな世界を作る。他産業のノウハウを生かせる関係づくりだ。

それを、甘利さん「農商工」連携と言った。
農水省発ではなく、経済産業省発というのが良い。ネーミングも良い。
「農工商」ではなく、「農商工」の順番も良いのではないか。士農工商とは違う。
このプロジェクトの推進が、官僚ペースになってしまったら、それこそ、「士農工商」になってしまう。
誰がイニシアチブを取るかが最も大事。

初発は、07年11月6日経済産業省
このプロジェクト、公になったのが経済財政諮問会議での甘利発言。これ11月8日。
それから3週間後の11月30日にやっと農水省が農商工連携への取り組みを公表。

これまでの様々な事業を「農商工連携」仕立てに編成替えをした。
また中小企業庁が、12月22日に同様の体制を整備。

極めつけは、昨日のこのブログに書いたように福田首相の169国会での施政方針演説で、福田政権の課題にしたこと。

ただ、この課題それほど簡単ではない。課題は農商工のマッチング問題。
それには食品メーカーの力量が高くないと、、

地方食品メーカーの集積力は弱い。商品開発の可能性も弱い。
異業種が農業に参入してもノウハウが少ない、等々課題も多い。

農は規制改革が必要。
実際に農業をやる人が農家か、農家でないかといった話しにやがては行く。
社会に開かれた農業を作る必要あり。
それがないとマッチングも机上の空論に。

建設業者の参入も課題。

ただこの課題地域活性化の手法と言うこと。
商業・流通業界や大手食品業界は、既に大再編期に入っている。
キリンはホールディングスを作ってメルシャン・協和発酵を子会社化、加ト吉は、JTと日清食品に買収され、味の素も様々な動きを見せている。
M&Aの世界だ。

商業流通は、もっと激しい。デパート、GMS、コンビニ、等々、これらの動きをもっと考えておく必要もあるが、、、
国分の扱いアイテム取引企業の多さなども、、、
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