今日の一貫

WTO決裂日本農業が打って出る好機 8月4日 朝日新聞

8月4日の朝日新聞、
ブログに掲載したら、、との意見が二つあった。
本来HPに掲載すべきなのだが、どうにもHP、手が着かない。
担当してくれていた学生が卒業して、もうかれこれ4年になる。
この間全てブログ頼り。
やがてはPDFファイルにしたいのだが、、、。

さて朝日新聞 2008年(平成20年)8月4日 月曜日

WTO決裂日本農業が打って出る好機
おおいずみかずぬき‘
大泉一書宮城大数授(農業経営学)

スイスのジュネ「プで開かれていた世界貿易機関(WTO)多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が、中国・インドと米国の対立で決裂した。
わが国の主張が原因ではなかったとはいえ、ラウンドの交渉スタンスは今のままでいいのか、見直しが問われよう。
わが国は、海外からの農産物輸入を阻止するため高関税にこだわり、高い関税を課すことができる重要品目の比率を高めようとした。
しかし、その代償として、コメの最低輸入義務(ミニマムアクセス)が増える。
もし妥結していれば、国内で生産調整しているのに、海外から100万㌧以上のコメが入ってくることになった。
決裂は、今後を考えるには良い機会かもしれない。
     □ □ □
わが国はこの最低輸入義務に無関心だ。
というよりコメの高関税を守るためには「仕方がない」と考えている。
しかし、高関税を守ろうとして交渉しても、実現は不可能に近い。
なぜ、難しい選択をして、ダメージの大きい輸入義務を増やそうとするのだろうか。
重要品目の数も含め、WTO交渉のスタンスを検証し直すよりほかにない。
だが日本の交渉姿勢はすべて、コメを高値に維持するという内向きの政策によってねじ曲げられてきた。
戦後日本の農政は一貫して内向きだった高額関税で海外からのコメを閉め出し、国際水準の何倍もするコメ価格の維持を至上命題としてきた。
その間、横々なコメの可髄性が失われてきた。食生活の変化と割高な米価のために、コメの消費量が減ってしまった。
減反という生産調整を強いられた農家のやる気は揖なわれ、稲作技術も停滞した。
稲作の停滞を米価の低迷に求める人もいる。農業は衰退産業だからという人もいる。規模が小さいからという人もいる。
しかし、本当にそうなのか。オランダやデンマークトの農業が自立し、輸出産業にもなっているのはなぜだろうか。
農家の耕作面積が小さくても、価格が低下しても、農林水産業を成長産業としている国は少なくない。
日本もそんな道を選択し、輸出も射程に入れた戦略的成長産業にすべきだと考える。
もし、農業を成長産業にできれば、わが国の地域経済は大いに括性化する。
農業技術も発展し、農業技術立国として国際貢献も可能になる。
突破口は、不足に転じ始めた国際コメ市場に参入することではないか。
かつて世界のコメ流通畳は2500万㌧あった。
それが、菓韓国が増えたために約半分に縮小した。
今後、・中国やインドで農業の後退と食糧消費の増加が見込まれ、流通量は減少傾向が続くと予測されている。
この市場をターゲットに、戦略的なコメの生産拡大と様々なコメビジネスを考えてはどうか。
  □ □ □
考えられる方法は三つある。第一は、バリエーションを持ったコメの増産だ。
日本で主に作っているのは短粒種の「ジャポニカ」だが、国際市場の大半を占めるのは長粒種の「インディカ」だ。
インディカや味の良さを追求したコメなどの増産が、海外に打って出るには不可欠になる。
また飼料米の普及やパンなどへの可能性が広がるコメ粉を使った商品開発も重要だ。
第二は、世界各地で日本の技術と日本人による農業生産を普及・拡大することだ。
「メード・バイ・ジャパニーズ」と名づければ、日太人がコントロールする食糧生産が世界に広がる。
第三は、世界をリードするコメ先物市場の創設だ。
穀物相場が米国シカゴで決まるように、コメ価格を決めるのは日本だと訴える力が欲しい。
コメ増産に転じるのだから、生産調盤は当然、農家の自主的なものに変える。
コストにしても、国際水準と大きく変わらない水準まで引き下げるのは、そう難しくはない。
生産者が受け取るコメの価格は平均1㌔250円程度だが、大規模農家のコストは約100円(物財費)だ。
輸入米の価格は130円前後だから、十分に競争力はある。
エサ米となると、l㌔30円前後に下げる必要があるが、これも決して不可能ではない。
わが国のコメの収畳は10㌃当たり500㌔台しかないが、今から40年も前に既に700㌔を達成していたところもある。
現在の技術をもってするならば、1500㌔程度の目標は可髄なのではないか。これならコストは3分の1の30円台まで下がる。
タイ米などと競争できる水準だ。
特区制度を利用して、やれるところからやってみたらいい。
これは決して現実味のない話ではない。
農業は衰退産業だと思い込まされているだけなのだ。
そこから早く抜け出し、日本の農業が成長産業・輸出産業として、世界の農業先進国と肩を並べる日が来ることを望んでいる。
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