今日の一貫

農協理事研修会で諮問会議EPA・農業ワーキング第1次報告の話をする

農協に評判が悪い、諮問会議EPA・農業ワーキングの第1次報告の話をせよとの仰せあり。

諮問会議、日本農業新聞が、自民党と、民主党の政策の性格をふり分けるのに、踏み絵に使っている。
自民党は諮問会議を押さえるが、民主党小沢党首は好意的といった形。
しかし、それは実態と違うだろう。
諮問会議を利用しているのはむしろ自民党だからだ。利用しきれないところに、小泉さんと安倍さんの違いがあるが、、、

それはともかく、それだけに全中が目の敵にしている諮問会議が本当は何を考えているのか、本音を聞きたいという農協が全国各地にある。いろいろお呼びがかかるが、なかなか伺えないところも多い。

今日は、北海道岩見沢に行って来た。
空知地区。
北海道の稲作地帯だ。
半分はタマネギやブロッコリーーなどの野菜。
15時30分からの講演。
以下レジメを載せておこう。

「EPA戦略と農業の体質強化」

1,わが国の貿易政策 WTOとEPA戦略
  WTOの状況、
  FTA・EPAの状況とこれらの相違
  わが国のスタンス

2,経済財政諮問会議のEPA・農業ワーキングの設置
基本認識および1次報告書の内容
①WTO,EPAについて、わが国はせめて米国、EUに。攻めの交渉。
②国境措置について
③農業改革関する議論

3,日本農業新聞 農政ウオッチ
・現場無視の作業部会→食料自給率
・神経とがらす自民党→農林族の出番
・強者の論理前面に→大規模農家偏重

4,農水省の見解
・期限や数値目標は設定するな
・WTO交渉に影響を与えるので関税率・消費者が負担してるコスト等を書くな
・コメの生産調整をやめるような提言は大問題

5,貿易自由化のわが国農業への影響
1)日豪FTAの影響
2)国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響について(07・2・26農水省)
(国内農業生産額 約3兆6千億円の減少。食料自給率40%から12%へ)
(担い手としては2015年にはMax42万経営を想定)

6,構造改革の方向性と目標設定のあり方(2・26農水省試算をベースにして)
1)構造改革の目標設定
構造改革目標を考える際、農水省試算で注目したいのは減少額ではなく、4兆9千億円残るという推計。(我が国では90年から05年までの間におよそ3兆円の産出額の減少が見られた。(11.5兆円が8.5兆円へ)これは「構造改革の遅れ」による減少額と考えられる。今後も、国境措置のあるなしにかかわらず構造改革の遅れによって3兆円強の産出額減少の可能性がある。)

農水省の8年後の担い手構造は総計42万経営。4兆9千億の8割を42万経営で担うとすれば、(933万円/1経営)となる。(1167万円/1経営)

構造改革によって、40万経営の産出額を(2000万/1経営)に高めると、全産出額は8兆円、それが8割のシェアーだとすると国全体では9兆円強の産出額になる。産出額はもとより、食料自給率も、はたまた国内総生産も、就業機会もいずれも向上することになる。

目標=課題:40万経営体の生産額2倍化戦略。
農水省は、国境措置を撤廃することによって3,6兆円減少すると試算しているが、我が国では国境措置のあるなしにかかわらず、3兆円の産出額減少の可能性がある。
とすれば、40万経営の産出額2倍化戦略は、農水省政策にとっては否が応でも取らなければならない必須の構造改革課題とならざるを得ない。これが国内農業の体質強化の基本的課題と位置づけられるべき(また17年の「基本計画」には、こうした「プロジェクトX」が見えない。有効需要創造策から、供給力向上策への転換が必要。)

戦略目標が見えない中で、マクロの試算をミクロ、あるいは経営戦略構築の試算につなぐためには)、政策は、農業における創造性の発揮を阻害してきた要因をことごとく見直す必要がある。換言すれば、過去において非常に知的であった農民が戦後の保護政策の中で、極端に萎え、若者の参加しない産業になってしまったのはなぜかを明確にする作業が必要だし、かなり大胆な政策が必要。

(具体的な構造改革の手法)
7,65歳以上が58%という担い手構造で競争力強化が可能か?
1)担い手が上記のようでは不可能と考えるのが普通の感覚、これを可能にする政策が必要だが、、、
「時既に遅し」の感がなくもないが、上記政策(「市場原理の浸透による創意工夫する経営者の育成」、供給力向上策)にドライブをかけ、それをかなり大胆に実行する必要がある。そのためには、経営者育成策を「主」にし、他の施策(需給調整政策等)を完全に「従」にする体系が必要(過剰対策も必要か)。
2)担い手対策
①現在の農業者のエンカレッジ
経営展開を有利にする政策、資産保護・所有保護的な政策の転換、ノウハウ・創意工夫の実現条件の整備、市場原理・顧客志向農業の推進、→集落同調圧力の排除(地域に縛りをかけ推進する行政手法の廃止)、トライアンドエラーの容認
②農業以外からの参入を期待せざるを得なくなった
受け入れ経営の整備、経営の継承の整備、社会価値としての経営、→「経営の定義、概念」を農業独自の世界から普通の世界に、そのための農地問題との整合性の整備

8,成功モデルの一般化とそのための施策(可能性ありとする根拠)
・機関車農家が走れば、客車農家も産出額を伸ばす(六星生産組合、千葉県の奇跡)
・新たな仕組み、新たなビジネスモデルを作れば生産額は上がる(上勝、甘楽富岡)
・周辺のビジネスチャンスを生かせば生産額は上がる(和郷園、浜松エンタメ)
・女性起業の増加(顧客をみれば国内市場の可能性はある)
・農業参入の増加(NPO、市民農園、ワーキングホリディ等)
・中国での開発輸入が可能で、日本ではできない(made by Japanese)
(日本の農業ノウハウは国際水準)
 
9,顧客指向の農業の実現、経営者の参入を認める政策の早期実現が構造改革のスピードを速める
・市場原理の浸透、
・創意工夫できる条件の整備
・創意工夫できる農業経営者を育成できる条件の整備
・上記を実現するための阻害要因(ノウハウ・知識、資金、労働力、農地、経営者、技術)

10、新たなビジネスモデルの構築
家族経営・融合産業・食産業クラスター

(いろいろな意見の紹介)
11,EPAの戦略的構築が日本経済、ひいては地域経済の活性化につながるとする意見。

12,国境措置が消費者の負担コストを上げていることを重視すべきとする意見

13,食料自給率の向上策は問題とする意見

14,韓国のFTA締結状況
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