今日の一貫

ブログの可能性  個の時代は知的構想社会 

ブログで「今日の一貫」を書き始めて先月で1年になる今日で一年

自分で書くのは全くいとわないが、書くことで、ブログの世界に知らず知らず入っていった。今では、結構なブロガーとなっている。
そこで気づいたのだが、もしかしてこのブログ、社会への影響力があるのではないか、ということ。
「当たり前だよ」という声と、「所詮おたくの言説さ」と両方の意声が聞こえてくるが、私は、「もしかして………」の方。

当初は、日記帳代わり、あるいはメモ代わりと思っていたのだが、日記とは違った現象が自分の内部に起きてきた。

誰か読むかもしれない、という事を意識して書いてしまう。
こんな事が半年ほど続くと、だんだん気が重くなってくる。
ためらうようになった。
しかし、ブログというツール、それだけではないことに気づきはじめた。
双方向なのだ。

トラックバックやコメントという機能に気づく。
私はまだあまりうまく使えない。が、書いたものに、いろいろな人からのコメントやトラックバックがついてくる。
最初は、「誰かが見るのだから、あり得ること」、ぐらいの気楽な気持ちで、見ていたが、そのうち、トラックバック先を芋蔓式に読むようになった。

読んで驚いた。
結構知的好奇心をくすぐる。
一言で言えば、レベルが高い。
中には、新聞記事を貼り付けただけのものも多いが、新聞記事を読むより、はるかに役に立つ個人的見解がある。RSSなどという機能を知ったのも先月である。

個の時代は、言論の世界でもそれに対応した仕組みが大事。
言論の世界ほど「個人の考え」が重視されなければならないはず。
しかし、言論界には、オピニオンリーダーや論壇などがあって、人々に啓蒙的知を流していた。言論のプロがいたのだ。

私などは論壇にあこがれ、10年ぐらい前までは、ずいぶんと難しい本を必死に読んでいたものである。
あの難解さは、おたくっぽくて、結構はまっていたものだ。
「論壇」は、他人事のように、国家や社会の有り様を評論していればそれで良かったのだろう。大衆の対局に位置づけられ確固とした居場所があった。
それを潔しとしない気持ちも、社会的雰囲気の中にあって、30年ぐらい前から、批判語として「評論家」という言語を結構使っていたように思う。評論家になりきれなかったのはそうした意識があったからだろう。

大衆に対峙する、岩波的・朝日的言説は、あこがれであるとともに、啓蒙的な「他人事げんせつ」はしてこれでいいのかと思いつつ、新聞は、朝日、雑誌は世界なる、行為を続けてきた。そんなアンビバレントな中に自分の評論もあった。

そうしたものをこわしたのが、TV言論なのだろう。この世界のことは良く知らないが、テリー伊藤がプロデュースする世界や、糸居重里や広告代理店などが作り上げた大衆オピニオンの露出だろう。
これはすごかったが、そろそろ人々は飽きてきている。出てくるコメンテーターもいつも同じでは飽きられる。専門性もない。最大の難点は、「多様さながなくなった」ことだろう。どこのチャンネルでも同じようなバラエティ。チャンネル数の増加によって多様さを演出しようとする試みも、視聴率万能社会の中で、どの程度浸透するか。

ブログには、一億総評論家が登場している。多様さもさることながら、平場での言説なのがいい。「啓蒙的、一方通行的、画一的な評論」に人々は飽きている。それと対峙的なのが「平場での評論」というスタンス。

①いい評論は、それぞれに自分の世界を持っていて、ブロガーが「第三者的」になっていない。自分の問題として論じている。②自分の所属する組織とも無縁な「個人的考え」の発露となっている。③影響力を与えて、何か、言説のスタンダードを作ろうという気負いがない。あくまで平場での言説と言うこと。本当の意味での専門家の本音が聞ける。
1年前には、メモ代わりに書いていたのが、今では、いい言説に出会うために、書いている感じ。「評論の良き消費者」を目指して、ブログを書き続ける様になっている。新聞の中や本屋を徘徊したのが、今ではブログの世界を徘徊している。

ところで、ロイヤリティマーケティングなどという言葉が出てきたのは、80年代後半だろうか?古くは、アメリカンエアーラインのマイレージ。フリークエントカスタマーの囲い込み。

商売はもはやマスを対象としてはやっていけない時代になっている。特定の指向を持った諸費者への到達を目標としている。

評論の世界でも、市場原理社会になるとすれば、それに対応した評論、言論の世界が必要になる。そんな可能性を感じるのである。ブログも、1割もいいのがあればそれでいい。
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