日経新聞、「麻生氏、景気優先鮮明に、基礎収支黒字化先送り検討、「選挙の顔」を意識。」というもの。
5日にも、「基礎的収支の黒字化目標」、
麻生氏「厳しい」、
首相 「困難だが実現を」」
の記事がでている。
首相は、 2011年度にプライマリーバランスを黒字化する目標については困難だが実現を、、との立場。
政府が約束を破るとは思えないが、、自民党は既に及び腰。
疑問1、プライマリーバランスの黒字と景気回復とはトレードオフか?政府の経済政策は「新経済成長戦略2006」を愚直にやればいいのではないのか?
疑問2、骨太2006は反故になるのか?こうした場合の責任は誰がとるのか?
プライマリーバランスの黒字化は、財政再建のワンステップでしかないのだから、このワンステップが反故にされてしまっては財政再建はあり得ない。
また財政再建を増税で、という論者もいるが、手法として必要でも順番としてはあとの方だろう。まず歳出削減がメイン。
ただ、麻生幹事長、景気対策をメインにあげはじめたのは良いこと。
経済成長を語らない首相が2期続いている。
政権が経済成長を言わない中で、自民党がプライマリーバランス黒字化を引っ込めても語り出すのは、単なる選挙対策、バラマキとの印象が強い。
選挙対策にプライマリーバランス黒字化が生け贄に供される感が否めない。
財政は、「頭のいい?」財務官僚が方向を間違えずにきちんと改革して欲しいのだが、伝えられてくる方向は全て、国民に犠牲を強いるものばかり。
でてくるのは、各省手持ちの特別会計による官僚のやりたい放題。
官僚の判断には、国民的不信感が募っている。
一般会計と、離れのすき焼き特別会計のリンケージはより緊密にすべきだろう。
ここは、各省に任せるのではなく、もっと透明性を高くすべきだろう。民間的手法の監査も導入すべき。特別会計の埋蔵金も財政再建のためにどう使うか?
ともあれ、「骨太2006」はきちんと守る、でやってほしいものだが、自民党内はそれどころではないらしい。。
以下引用
麻生氏、景気優先鮮明に、基礎収支黒字化先送り検討、「選挙の顔」を意識。2008/08/06, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ, 有, 1618文字
政府・与党内で路線対立
自民党の新執行部が五日、「景気対策優先」の姿勢を鮮明に打ち出した。麻生太郎幹事長は二〇一一年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する目標の先送り検討を正式に表明。歳出削減や増税など痛みを伴う政策をできるだけ避けながら衆院解散・総選挙に臨む戦略をにじませた。福田康夫首相らは目標堅持の方針を変えておらず、経済政策運営を巡る綱引きが始まる気配だ。(1面参照)
「財政再建をやりながら何かすると、かなり手足が縛られる。優先順位は景気対策が先だ」。麻生氏は五日のインタビューで「骨太方針二〇〇六」で決まった基礎的財政収支の黒字化目標に異論を唱えた。景気後退が現実味を増す中で麻生氏は「次期衆院選の顔」となる。理屈はある意味、明快だ。
古賀誠選挙対策委員長も「(必要な場合は)思い切って財政出動に踏み出す」。保利耕輔政調会長も新規国債発行の三十兆円枠について「枠をはめて考えるのは私のやり方ではない」と足並みをそろえた。
「財政再建は堅持する」とも強調する麻生氏だが「景気回復で税収が増えるのがよい」との立場。黒字化目標は「二―三%の名目経済成長率が二、三年続いて、そのうえで改めて(目指す)というのが順番」という。
政府・与党内ではこれまで「上げ潮派」と財政再建重視派がしのぎを削っていた。基礎的財政収支の一一年度黒字化は両者の共通目標で、違いは手段。上げ潮派は徹底的な歳出削減、財政再建派は増税だ。だが歳出削減は地方や業界団体などの批判を浴び、消費税増税は国民の多くが嫌がる。共に痛みを伴う不人気政策だ。
歳出削減路線を修正し、増税の必要性を遠ざけ、財政出動に道を開く――。自民党にとって黒字化目標の先送りは「一石三鳥」の効果を持つ。
麻生氏は「政府としてはなかなか言いにくいところがあると思う」として党主導による路線転換を探る構え。だが、自民党内には賛否が混在するのが現状だ。
「首相が言っていることと違うじゃないか。首相は昼に何と言った? 首相の言うことが正しい」。上げ潮派の中川秀直元幹事長は、都内で日本経済新聞記者らに感想を漏らした。
福田首相は同日昼、首相官邸で記者団に「あらゆる方策を使って達成する心構えが極めて大事。それを実現したい」と黒字化目標堅持の姿勢を明確にした。財政再建派の与謝野馨経済財政担当相も「目標を動かすわけにはいかない」との立場だ。
黒字化目標先送りは「地方での取りこぼしをどう少なくするか」(古賀氏)とする衆院選戦略とも絡む。一方で「改革逆行と受けとめられれば選挙にマイナス」と懸念する声もある。路線転換の損得は自民党も読み切れていない。
かつて黒字化目標先送りを主張した公明党はどうか。太田昭宏代表は「目標実現に努力したい」としているが「実際は様子見の構え」(党幹部)という。上げ潮派、財政再建派、黒字化目標先送り派による三つどもえの路線対立の行方はなお不透明だ。
識者の見方
安易な断念よくない
熊野英生・第一生命経済研究所主席エコノミスト 改造内閣が発足し、新閣僚が財政の余裕がない中で知恵を絞り、経済対策を打ち出そうとしている。その矢先に基礎的財政収支の黒字化という目標を捨てるのは早すぎる。企業業績が上向けば、法人税収が増えて達成できる可能性もある。二〇一一年度の基礎的財政収支の黒字化は日本政府の国際的な公約でもある。まだ断念する段階ではない。
◇
バラマキ財政復活も
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト 基礎的財政収支の黒字化という中期目標はそもそも、選挙や景気減速の際に浮上する拡張財政への誘惑に歯止めをかけるために設けたものだった。今の時点で旗を降ろせば、選挙のために財政再建を先送りしたというメッセージだと受け止められても仕方がない。抑えられてきた歳出膨張の圧力が噴き出し、バラマキ財政復活のきっかけになる懸念がある。
最新の画像もっと見る
最近の「政治 行政制度」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2020年
2019年
2014年
2004年
人気記事