ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

オタクは大人になってしまったんですよ

2020年07月19日 | サブカル・同人誌関係
かつて…
オタクがまだ全然、子供であった時代
オタクは「大人」になんかなりたくありませんでした。

生きるとは金を稼ぐ事であり
勉強していい大学に入る、安定した生活を送る、
女は結婚し、男は良い会社に就職し、学歴は大事
それが大人の価値観で、マトモと言われる事。世間一般でした、

そうして成ったバブルだか高度経済成長だかの「恩恵」の時代
(いや実際自分は貧乏だったので恩恵なんか感じませんでしたけど)
左だいや右だと双方からイデオロギーについて言い争う上の世代を見て
「なんだかなあ」というちょっと斜に構えた世代。
冷笑的にナンセンスな空気の上に育ったのです。
それがちょうど「機動戦士ガンダム」〜「ZZ」あたりの世代なんでないかな。
ドラクエ3発売で並んだのを知ってる世代かと思います。

愛ってちょっとは「クサイ」って言われたけれど
その位には冷めていながら、求めたものは何だったのか。
今はもう違ってしまったけど
「ダサい」というのは「体制側を反抗もせずに受け入れた姿勢」のことであり
「ナウい」は何らかの抵抗を示した挙句、意味を軽んじたセンスのことだった。
結局はそういう言葉の仕掛け自体、仕組まれてたんだなって気づいたけどね。

大人たちが、「絶対の正論」を押しつけてくればくるほど
反論しては、愛だの夢だの純粋な友情だの、それから詩的なものだの
かつてのロマン派のように、あるいは昭和初期の書生のように
「アナザーワールド」を探したものでした。

個人的に言えば、やっぱりちょっと社会に不適合だった自分はいつも
親や大人達に対して、あれは「正論」とわかっていながら
「お金なんかより私をもっと見てよ」って、言っていた気がします。
その位、親は忙しく、祖父母は戦争のトラウマを抱えている戦前世代であり
結局誰も悪くはないんですが。


さてその反逆の結果。
アナザーワールド、ネバーランド、そういうものはあったのか?
ありましたさ。
大人のあの正論が届かない、時に啓蒙主義者から「海」「未開の地」だと、
そう言って笑われるのだろう土地は。
ありましたさ。
それが例えば、コミケであったりしたのです。

例えばそれは日本でのFacebookのように
「ビジネス用のカモでないなら友人ではない」だとか
「所詮は金コネ目当ての表面的なお付き合いだから、社交辞令ありきな
先に踏み入ることはないが、広いコネクションだけは必要」だとか
そういうものでは無くて

むしろそういうものはちょっと苦手な内気ちゃんが
不確かな自分についての僅かな足がかりとなる「好き」から、
打ち解けて話ができる、息苦しくない関係を探したりできたものです。


かつてのオタクには「SNS」はありませんでした。

ひきこもりだと言われても、例えばネットの掲示板のどこかだとか
自分の精神にある「進化キャンセルBボタン」をおして、趣味の世界に身の半分を置くことで
ジレンマを解決してきたのだと思います。
逃げちゃダメだ?いいや逃げじゃなくて居場所が必要だと。
結局ずっとコミケに行ったりする事で、「オタクを卒業」することはありませんでした。


ところが最近、どうも「オタク」を取り巻く世界は
だんだんと「大人をやりゃあいいんでしょ?」というあの、アナザーワールドでは無くなってきていてる気がします。

むしろ逆に、大人の完全体とでも言える人らの
擬似的でグレーなビジネスの場になってしまった部分があります。

そんなもん、同人バブルの時から存在はしたし、ビジネスが悪だなんて言ってるのではないです。
逃避のはずだった少しずつ作った秘密基地で
結果的にそうなってしまったのでは無くて
最初からそれを目的とするかどうか、その辺が昔と違う、それだけです
海賊になってしまっただけなのに、
子供の世代は海賊を目指すみたいな。


内気なオタクってのは多分
「裏」がありそうな人間関係には敏感で、掛け値なしで安心して繋がりたいんだと思います。
でもそれが昂じてしまうと、今度は「自分に受け入れられない表現」を叩き始める。
(メアリースー問題やイナゴ、逆CP地雷問題も根っこはそうだろうね)


「不確かな自己を人間関係につなげる足がかりとして存在した」創作が
今は「先に人間関係は絶対であり、その為には不確かな自己問題は封印する」
になったのだと思います。


オタクは死んだか?死にませんね多分。
ただ、なんぼでもスタイルは変わっていくのでしょう。


ネットでは、声が大きすぎる人が
とにかく目立ちすぎてしまうけれど

趣味にすぎないものの良さは
金、コネ、マトモが無い場所を示せるという事だと思います。

すっかり大人になってしまったオタクですが
今も半分はアナザーワールドにいます。
卒業はしないでしょう。

さあ、掛け値なしの話をしようじゃないか
数に支配されない自由を楽しもうじゃないか

そう思ってはいます。

メロンや虎とのやり取りはしても
追いかけるものは、しょうがないものだな。

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