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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

子供のためのシェイクスピアカンパニー『リチャード三世』

2006-07-27 | 舞台
*ウィリアム・シェイクスピア作 小田島雄志訳 山崎清介脚本・演出 東京グローブ座
 2001年に上演の『リチャード二世』が衛星放送で放映されたものを録画し、おもしろくて何度も繰り返しみた。おもしろかった理由は、とにかく俳優さんたちが一生懸命で、ちょっとしたギャグや悪ふざけ的な場面も真剣そのもの、この作品のおもしろさを伝えたいという熱意が伝わる点だ。ここには子供も大人も一緒にシェイクスピアを楽しめるという、ほとんど驚異的なことが実現しているのである。わたしもあの客席に行きたい、子どもたちと一緒にシェクスピアをみたい!

 開演15分前、数人の俳優が登場して来場の挨拶のあと、いきなり歌が始まったのには驚いた。歌の内容は『リチャード三世』とは全く関係がないし振付も平凡で、せっかくの開演前の高揚した気分が萎えてしまった。「前振り」をするなら、もっとセンスよくお願いいたします。

 さて本編である。男性俳優が女性を演じたり、ひとりの俳優が複数の役を演じたりする「仕掛け」を敢えて観客にみせる方法が成功している。俳優の演じ分けがきちんとしているので、誰が誰だか混乱するということもなく、「二役でちょっと大変なんです」みたいな雰囲気も伝わってきて(これも「敢えて」なのかもしれないが)、効果をあげている。「最後まで頑張って」と応援したくなる。小道具に「拡声器」が使われていて、その使い方がとてもおもしろかった。今回の舞台の大ヒットグッズであろう。だが演出の基本プランというのか、黒装束や手拍子を使うこと、俳優が「しゅーっ」というため息?(かけ声、合図に近い)を発することなどが『リチャード二世』とほぼ同じだったことには少々驚いた。どれも他ではみることのできない独特の方法だが、違ったものを期待していただけに少し残念であった。

 舞台を楽しんでいる人の様子をみていると、こちらまで嬉しくなる。それが子どもたちなら尚更だ。今回は自分が舞台をみるのに精一杯で、客席をみる余裕がなかった。次回も是非足を運び、舞台とともに客席の子どもたちの様子も感じ取りたい。

 
 

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