トランプ大統領は、「メキシコ湾」の名称を「アメリカ湾」に変更する大統領令に署名しました。しかし、メキシコの大統領は「我々にとっても、そして世界にとっても、それは依然としてメキシコ湾だ」と発言しています。ただ地図を書き換えるような単純なことではないようです。
メキシコ中央部から中央アメリカにかけて栄えた古代文明は「メソアメリカ文明」と呼ばれています。オルメカ、マヤ、アステカなどの多様な文化が存在し、独自の社会構造、宗教、芸術、建築、科学などで知られています。
オルメカ文明は、紀元前1500年頃から紀元前900年頃までメキシコ湾岸で栄えたメソアメリカ最古の文明です。「母なる文明」とも呼ばれ、後の文明に大きな影響を与えました。オルメカの人々は巨大な石の頭像を作り、ジャガー信仰を持っていました。絵文字やゼロの概念を持つ高度な数学も発展させました。
マヤ文明は、現在のメキシコ南東部、グアテマラ、ベリーズなどで栄え、紀元後250年から900年頃に全盛期を迎えました。高度な天文学、数学、そして象形文字を持ち、ピラミッド型の神殿や都市計画が特徴です。天体観測を基にした独自の正確な暦を作成したようです。
アステカ文明は、14世紀から16世紀にかけてメキシコ中央部で栄えた文明です。アステカの人々は自らを「メシカ」と呼び、首都テノチティトラン(現在のメキシコシティ)を中心に強力な帝国を築きました。高度な農業技術を持ち、特にチナンパと呼ばれる浮島農法が有名です。しかし、アステカ帝国は1521年にスペイン人によって征服され、多くの文化遺産が失われました。
この「メソアメリカ文明」や南米の「アンデス文明」は、他の大陸の文明と交流することなく独自に発展した文明です。古代のアメリカには、他の大陸とは違う時間が流れていたようです。