安達太良山：ほんとの空を探しに（後編）

どこを向いても人の波。まるで、都会のようだった。どの頂にも人が溢れるほどに集っていた。紅葉は見えるが、空は見えない。都会同様休まる暇さえ与えてくれない。


安達太良山頂から辺りを見渡せば
周囲は紅葉に囲まれていました


人混みという環境はどうあれ綺麗なものは綺麗です
このような光景を見ると来てよかったと実感します


次はどこに行こうかと、周囲を見渡すと
山頂はどこも占領されたかような人だかり


鉄山も登りやすいのか人がひっきりなし
なんだか行くのを躊躇してしまいます・・・

息苦しい程の雑踏。我知らず人混みを逃れようと、足掻いていた。見渡すと一ヶ所だけ、人がいない山があった。これだけの大群衆に囲まれながら、なぜか人のいない山。忘れられた山。不思議だった。


地図で見ると「船明神山」とありました
不思議なことに、このルートだけ人が居ませんでした


安達太良山の見所は、紅葉だけかと思いきや
火口は木々も生えない真っ白な世界が広がっていました


今まで見てきた山の様子とは、確かに一線を画す光景
観光客は容易に近付かないだろうと納得


小さな山頂には、小さな祠が1つだけ

山頂にたった。先程とは、うって変わった静寂に満ちていた。
先客のカップルは、来る人に気付かない程、眠っていた。地元のご老人は、珍しく見えたという、磐梯山を眺めていた。


天気は、やや曇りかガスかと怪しかったものの
磐梯山は、うっすらとその姿を現してくれました

山の反対側には、紅葉が広がっていた。目にされることも少なかろうに、こちらも一生懸命紅葉が色付いていた。


こちらにも紅葉が広がっておりました
ここは見た人は少ないだろうとちょっと優越感

先客にならって、身体を横たえてみた。寝ると空が見えてくる。しかし、ここでもどんよりしていた。そんなものかと納得した。
気がつけば、時間が経っていた。先ほどのカップルも居なくなって、いよいよ誰もいなくなった。空がいよいよ青くなっていた。早く帰る予定であったが、もう少しいてもいい気がしてきた。


空がとっても青くなってきました
気持ちの良い秋の空です

午後が過ぎ、混雑していた方を見ると、人が少なくなっていた。
時間に追われる観光客はもう帰ってしまったようだ。


鉄山方面も先ほどの混雑が嘘のような静寂
行ってみたくなりました


お気楽山行とはいえ、侮るなかれ
こんなに綺麗な稜線を歩けるんですよ


馬の背付近から谷を覗くと、今回一番の紅葉が広がっていました
日が射さないので、写真写りが悪くて残念

鉄山に行ってみた。いい空だと思った。
智惠子の空は、こんな空なのかも知れないな、と想像してみる。


馬の背から船明神山方面
晴れたり曇ったりと忙しい天気です


鉄山(1709.3m)山頂
非常になだらかな山頂です


こんな空、あんな空
上ばかり見るのも久しぶりかもしれません

と、華やかな気配を見せていた紅葉が、ガスで消えてしまった。
空ばかり見ていたことに、嫉妬したかのようだ。


谷側がすべてガスでシャットアウトされてしまいました
本当に「見せてあげない！」と言われてしまったかのようです

歩いて下山したところ、今度は、空がどんよりして見えなくなった。
気まぐれな彼女らに付き合うのも悪くない。


峰の辻から勢至平経由で歩いて下山します
紅葉の中を歩いていくような感覚です


紅葉の中からこんにちは


今度は、落ち着いた冬の日に来てみよう。ほんとの空を探しに。