ベルト・バックル修理 革漉き・裁断 伊東金属製作所

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バックルのピン直し

2018-05-25 13:01:33 | ベルト(他ブランド)

ポールスミスのバックルピンの付け根折れです。
付け根が折れるってことは、褒められた作りではないです。
材質をコストダウンするとこうなります。
決して使用者本人様の責任ではありません。
個体差があるので、瑕疵責任にはならないでしょうけれど、昭和の時代にはバックルに亜鉛は使うな!と言われていて、私の祖父もそう言っていました。
いつのころからか、大量生産、コストダウンによって、こういう造りが当たり前になってしまい、街で見かける上代1万円程度までのベルトは、ほとんどバックルが亜鉛になってしまいました。
もちろん、これ以下の価格でも良心的なものづくりをしているメーカーさんもありますし、もっと上の上代でも亜鉛を使うメーカーさんもあります。
かといって、一般の方では見分けがつかないですから困ったものです。


裏面にポールスミスのロゴです。
これじゃ、見えないですよね。
自分でもブランドもの好きな私としては、どうせなら正面に入っている方が好みです。
さりげなさがお好きな人には良いかもしれません。


メイドインイタリーです。
だからといって、優れた工業製品とは限りませんけど。
ただイタリアのデザインは抜きんでてますよね。


亜鉛か、良くてもハイメタと言われる、錫の合金ですね。
ピンは真鍮を使わないとダメです。
これならまだ鉄ピンのほうが、経年で錆びるとはいえ、丈夫です。


真鍮製のピンに交換して修理完了です。


こちらは特殊な仕組みのリバーシブルのバックルです。
ダンヒルに似たような仕組みのバックルがありまして、何度か修理していますので、これも修理出来ると思っていました。
ただ、半信半疑ではあったので、現物を見るまでは100%直るとはお伝えしていません。
最悪、無理な場合もあるとお伝えして引き受けました。


分解してみました。
仕組みはダンヒルのバックルと同じようなのですが、どうもちょっと違うようです。


ちなみにこのベルトは富山県のお客様から送られてきたもので、コムサのベルトですね。
ファイブフォクスさんですね。


いろいろいじったのですが、どうも内部までは分解できないので修理不可となりました。
お客様に相談して、リバーシブルとしては使えないが、片面だけならピンを交換して使用できますが、それでもよろしいかとお尋ねして、せっかく送っていただいたのですから、片面だけでも使えるように修理しました。


ベルトも角が擦れて傷んでいたので、サービスで補修しました。


結構きれいになって、見違えるほどに仕上がりました。
が、リバーシブル機工は殺したままです。


お客様からお礼のメールをいただきました。
完全に修理はできませんでしたが、満足いただけて良かったです。


続きまして、某大手クリーニングチェーンからのご依頼品です。
一見何ともなさそうですが、実はピンが無くなってしまって、代わりのものを付けたのですがお客様がご納得されずに、弊社にご依頼ありました。


これですね。
取り付けがゆるゆるです。
左右に振れすぎてしまって、裏に回ってしまうような取付です。
これでは怒られます。


付け根の懐と言いますが、ここが大きすぎるのです。
ピンはただ付ければ良いわけではないのです。
色はこのままで良いので、違うものに交換して下さいとのご依頼でしたが、これ、メッキの色も違います。
黒ニッケルのメッキに、ニッケルメッキのピンが付いてます。
一般の方ではこのくらいは気にならないのですかね。
私がみると、明らかに違和感あります。色は付いていたままでと言われても、そういう訳に行きません。


まずはピンをはずします。
専用工具というか、これはスナップリングプライヤーといいます。
普通のペンチは握ると押し潰しますが、これは握ると開きます。


バックルと同じ黒ニッケルのピンを用意しました。
聞くところによると、何度かお客様にダメだしいただいていて、もうこれが最後のチャンスとおっしゃっていました。
適当な修理して渡そうとするからそうなるんでしょね。


バックルに取り付けて、フィッティングを確認します。
左右の振れももちろんですが、ベルトがハトメ穴なので、ピンのカーブを工夫しないと装着時の納まりが悪くなります。


バックルにピン受けもあるので、こちらにもピッタリ収まるように微調整します。


ピンのカーブ、形状申し分なしです。
これならご納得いただけると思います。
というか、見てないですが新品でここまで気を使ってピンを取り付けられた製品なんて皆無だと思います。
出来上がりは新品以上の出来です。


一見、変わったカーブですが、これがハトメ穴に入れると・・・


こういう状態でベルトが流れるように通ります。
ピンの形状が悪いと、ベルトが直角近くまで曲げられて、クランク状にバックルを通るようになり、使っていてもはずれやすいですし、バックル、ピン、ベルトのどれもが傷みやすくなります。

修理受付は、メールかLINEで、画像送付の上、お申込みいただくようお願いしています。
お電話でのお問い合わせも受けておりますが、お電話のみでは状態が確認できませんので、お見積りは出来ませんし、作業できるかどうかもわからない場合があります。
お電話いただく場合でも、まず画像をお送りいただいてからのお問い合わせであればスムースにお見積もり出来ます。

大体の価格感を知りたい場合は、弊社ホームページをご覧になってみてください。
こちらは価格を記載しています。
ブログだと年数経って価格改定した際に更新しきれないので、ブログには記載しないようにしました。


持込いただく場合、留守にするときもございます。
必ず事前にご予約ください。

土日はお休みですが、LINEの場合、時間があれば可能な限り返信してます。
私もお休みなので、即答は勘弁してください。
PCのメールは土日のチェックはほぼ行いません。
よろしくお願いします。


クリーマ、ヤフオクにて革小物をお得な価格で販売中です。
こちらも修理同様、併せてよろしくお願いします。
もちろん、品質は修理同様、手抜きせずにしっかりしたものだけを提供しています。
直販ですので、コスパは良いはずです。
ショッピングセンターや百貨店だと、販売コストで倍くらいの値段になりますからね。
クリーマ販売リスト
ヤフオク出品リスト



伊東金属製作所
03-3886-6271
info@itokinzoku.co.jp
東京都足立区足立2-34-2
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