評価★★★★【4点】(P)
時間軸を遡っていくことで本当の真実が見えてくる。
◆
大きな湖のある静かな郊外の町。
シングルマザーの麦野早織は、小学生の息子・湊の不可解な言動から
担任教師の保利に疑念を抱き、小学校へ事情を聞きに行く。
しかし校長や教師たちの対応に納得できず、
次第にいら立ちを募らせていく早織だったが…。
<allcinema>
◆
ここ最近、こういった時間軸の見せ方が主流になっているのか
クライマックス直前まで普通にミスリードを誘うやり方。
先日、Netflixで観た『さがす』に限りなく近い構成です。
今回、息子の不可解なケガや言動が気になった母親は
学校に出向き、事情を訊こうとする。
すると、校長はじめ他の先生の対応にいら立ちを募らせ
次第に母の言動がエスカレートしていく。
学校教師らの異様な対応は、ある意味ホラー的な怖さがあり
担任に至っては母親に対しシングルマザーあるある発言までする。
数回にわたり学校へ出向くも結局事情が分からないままだ。
さて、この映画の真骨頂はここからである。
冒頭から中盤までのいきさつが別目線でもういちど描かれていく。
それまでの思い込みが、実はまったく違っていたことに気づく。
登場するすべての大人たちは、その場の状況だけで判断し
教師や母親は息子の真実にまったく向き合わなかったこと。
その真実が明らかになった時の納得感はまるで秋晴れの。。。
ラストの映像って現実?あの世?どうなんだろう。
◆
【今週のツッコミ】
・たった一人の息子に母が「普通でいいのよ」「普通の家庭で」
なにも欲張らない発言のようだが、これが辛い人もいるのです。
・担任教諭の恋人で高畑充希がチョイ役で出演。
息子と仲のいい男子が高畑充希のような可愛らしさがある。
こういった美形な子がそばに居たら誰だって。。。
・是枝監督作品を好きな順で並べるなら
『万引き家族』<『怪物』<『ベイビー・ブローカー』かなぁ。
・カンヌ・パルムドールの脚本賞に輝いたそうでそこ納得です。
作品に上質感が漂うとはこういう映画のことだろう。
・怪物だ~れだ?その答えは人それぞれ受け取り方で違うかも。
息子は自分自身のことをそう思っていたのでしょう。
・担任が冒頭の印象からどんどん変わっていくのが面白い。
実は校長がいちばん息子に寄り添ってたんです。
中盤あたりで何気に聴こえていた管楽器の音色の真実。
・母と担任が見た廃電車内の様子がよく分からなかった。
悲鳴を上げた母親がいたので、そこに居たのかどうなのか。
家なら一時停止できるんだけどね(笑)
・誰にも言えない気づき。LGBTQのQの段階ですか?
----------------------------------------------------------------------------
監督:是枝裕和
脚本:坂元裕二
音楽:坂本龍一
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢
映画『怪物』 公式サイト
時間軸を遡っていくことで本当の真実が見えてくる。
◆
大きな湖のある静かな郊外の町。
シングルマザーの麦野早織は、小学生の息子・湊の不可解な言動から
担任教師の保利に疑念を抱き、小学校へ事情を聞きに行く。
しかし校長や教師たちの対応に納得できず、
次第にいら立ちを募らせていく早織だったが…。
<allcinema>
◆
ここ最近、こういった時間軸の見せ方が主流になっているのか
クライマックス直前まで普通にミスリードを誘うやり方。
先日、Netflixで観た『さがす』に限りなく近い構成です。
今回、息子の不可解なケガや言動が気になった母親は
学校に出向き、事情を訊こうとする。
すると、校長はじめ他の先生の対応にいら立ちを募らせ
次第に母の言動がエスカレートしていく。
学校教師らの異様な対応は、ある意味ホラー的な怖さがあり
担任に至っては母親に対しシングルマザーあるある発言までする。
数回にわたり学校へ出向くも結局事情が分からないままだ。
さて、この映画の真骨頂はここからである。
冒頭から中盤までのいきさつが別目線でもういちど描かれていく。
それまでの思い込みが、実はまったく違っていたことに気づく。
登場するすべての大人たちは、その場の状況だけで判断し
教師や母親は息子の真実にまったく向き合わなかったこと。
その真実が明らかになった時の納得感はまるで秋晴れの。。。
ラストの映像って現実?あの世?どうなんだろう。
◆
【今週のツッコミ】
・たった一人の息子に母が「普通でいいのよ」「普通の家庭で」
なにも欲張らない発言のようだが、これが辛い人もいるのです。
・担任教諭の恋人で高畑充希がチョイ役で出演。
息子と仲のいい男子が高畑充希のような可愛らしさがある。
こういった美形な子がそばに居たら誰だって。。。
・是枝監督作品を好きな順で並べるなら
『万引き家族』<『怪物』<『ベイビー・ブローカー』かなぁ。
・カンヌ・パルムドールの脚本賞に輝いたそうでそこ納得です。
作品に上質感が漂うとはこういう映画のことだろう。
・怪物だ~れだ?その答えは人それぞれ受け取り方で違うかも。
息子は自分自身のことをそう思っていたのでしょう。
・担任が冒頭の印象からどんどん変わっていくのが面白い。
実は校長がいちばん息子に寄り添ってたんです。
中盤あたりで何気に聴こえていた管楽器の音色の真実。
・母と担任が見た廃電車内の様子がよく分からなかった。
悲鳴を上げた母親がいたので、そこに居たのかどうなのか。
家なら一時停止できるんだけどね(笑)
・誰にも言えない気づき。LGBTQのQの段階ですか?
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監督:是枝裕和
脚本:坂元裕二
音楽:坂本龍一
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢
映画『怪物』 公式サイト
秀逸でしたね。
まさに怪物。相手のことがわからないとそう見える。
それが瑛太のほうからみると
母親は息子のことが全く分かっていない怪物。
途中、子供がとんでもない怪物?って思えるけど、
実は切ないほどの2人のピュアな関係。
良かったです。
子供の頃に同性を好きになるって
昔からよくあって、普通じゃないことじゃない。
このあと、彼らは大きくなって
女の子を好きになるかもしれないし、
別の男の子に恋愛するかもしれない。
いろんな情報が彼らを苦しめている気がしました。
最後の2人のシーン、生きていますよね。
でもって、何事もなかったように学校に戻る。
少年の頃の1ページって感じで・・・。
二人は土砂に埋まってしまって
あの世でようやく自由になれたのかと。
あの草原を駆けるシーンがリアルであって欲しいと母親として願う反面、
そうでない方を考えてしまう自分が悲しいです。
少なくとも大人たちは相手のことを怪物と思い
教師や母親、校長と子供という立場から言うと
ある意味、「羅生門」っぽい映画ですね。
ただ、こちらは終盤の校長先生と子供の本音は
とてもうまく描かれていたと思います。
伏線の張り方や回収と静かに進んでいくなかに
これだけ心動かされるって、是枝監督さすが!です。
ラストの映像、見る人に委ねる体がまたいいんですよね。
これ本当にどう捉えるかは観客に委ねているんだろうなと思いました。
母親と教師が電車の中で何を見たのか
悲鳴を上げてましたし。
そう考えると雨上がりで自由にしている二人は
もう存在していなかったかもというのもありますね。
生きてる、亡くなってるどちらも正解と監督は言うのかも。