![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/cd/9c93de24d362c620cba4b790311dcfe5.jpg)
評価:★★★★[4/5]
映画的に感動を与えたのは、二男のズシュの存在だった。
ビエルスキ4兄弟もまた
ドイツ兵に両親を殺されたユダヤ人である。
◇
【バック・ストーリー】
習慣や伝統が異なるユダヤ人は
ドイツ国内では常にマイノリティであり
この違いが偏見の的となっていた。
1930年代に台頭したアドルフ・ヒトラーが
この偏見を極限まで押し広げていくこととなる。
ヒトラーは第一次世界大戦の敗北と失業率50%という
経済的危機の責任をユダヤ人に押し付けた。
ヒトラーは14歳以上から教育の機会を奪う法律を定め
ユダヤ人が弁護士、医者、ジャーナリストになることを
違法とした。
しかし、これは始まりに過ぎなかった。
ドイツが第二次世界大戦を引き起こしたとき
ヒトラーは世界征服の野望を抱いており
“劣等民族”としてユダヤ人の根絶を目論んだ。
第二次世界大戦前はヨーロッパには
900万人のユダヤ人がいたが
戦争が終わる頃には600万人が殺害されていた。
【レジスタンス】
第二次大戦中のユダヤ人レジスタンスは
様々な形で存在していた。
そのなかで最も知られてなく、最もインパクトの強い
ユダヤ人レジスタンスの組織がパルチザンである。
20000~30000人のユダヤ人が
パルチザンだったと言われている。
彼らは、ヨーロッパ全土のゲットーや
収容所から逃れてきた者たちで
やがて武装したレジスタンスを組織していった。
彼らは何千ものドイツの車両や部隊を撃破し
何千人もの命を救った。
【ビエルスキ4兄弟】
ビエルスキ兄弟はパルチザンのなかでも
最も有名なグループを組織した兄弟である。
彼らを有名にしたのは、多くのパルチザンが
ドイツとの戦いを主目的としていたのに対し
まず、ユダヤ人の命を救うことを第一義としたことだった。
そのため彼らにとっては毎日が戦いとなった。
彼らを率いたのは第二次世界大戦の英雄の中でも
驚くべきユダヤ人救出劇をみせ
レジスタンス組織の指揮をとった兄のトゥヴィアだった。
【命を救う】
ビエルスキ兄弟は戦うことができる青年のみならず
年配者、子供、さらには病人までも組織に入れた。
トゥヴィアはドイツとその支援者たちから
出来る限り大勢のユダヤ人を救出することを皆の前で誓った。
彼らは仲間がドイツ人から殴られ、殺されるのを進んで阻止した。
偏見の中で失われたものとして、トゥヴィアとパルチザンたちは
勝利を収めた戦いを通じて希望を繋いでいった。
【コミュニティ】
ユダヤ人のパルチザンたちの辛い日々の中にあっても
時折、浮かれ騒ぐこともあった。いつ襲撃されるか
分からないため、パルチザンたちにとって休息をとったり
互いに喜び合ったりできる時間は限られていた。
ドイツ人に居所を突き止められるのを恐れ
パルチザンたちは常にキャンプの移動を余儀なくされていた。
ドイツ人たちは戦闘機を飛ばして、上空からパルチザンたちの
所在を伺っていた。
【反撃】
ビエルスキ兄弟のおかげで
今日がある人々は10000人を超える。
ビエルスキ兄弟の努力のおかげで1200人の命が救われた。
彼らが子供をもうけ、孫をもうけた。
トゥヴィアと弟たち、そしてその他のパルチザンたちは
極めて厳しい状況の中で救助を成し遂げた。
ユダヤ人のパルチザンたちはドイツ人や彼らを迫害する
勢力に対して反撃することが出来た。
そのことが多くのユダヤ人たちに誇りを与えたのだ。
【愛と人生】
森は戦場だけでなく、サバイバルの場所であり
また、パルチザンたちが2年に渡り“家”と呼んだ場所である。
彼らは強く、長きにわたる関係を築いた。
◇
長男トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)こそ
出てきたときはジェームズ・ボンド風味な感覚で観ていたが
次第に物語の重厚さに、そういったことは忘れて行った。
しかし、両親を直接殺害したドイツ将校を発見した後の
復讐する行為には再び“ダブルオー”を感じさせた。
だが、その後はユダヤ人のパルチザンとして
コミュニティのリーダーとしての葛藤を演じる様は
なかなか良かったかと思う。
森に逃げ込み、安全な場所を確保して行くうちに
合流者らが徐々に増えていき
その度に、二男のズシュは「これ以上増えたら面倒見れないだろ」と
長男に囁くのだが、トゥヴィアは聞く耳を持たなかった。
老人、子供、病人まで、来る者は拒まずというトゥヴィアの姿勢に
キレてグループから飛び出す格好となってしまった次男。
森の中で同じドイツ軍と戦っているソ連赤軍と鉢合わせし
トゥビアらの若い精霊(兵士)を数人提供することで
提携を結ぶこととなる。そこに二男のズシュが行ってしまう。
後に思うことだが
この時に二男のズシュがグループから離れたことを機に
三男アザエルが逞しく成長していくように感じた。
終盤でパルチザンのキャンプが発見され
そこから逃げだす大所帯の彼らに時間稼ぎとして
ドイツ軍とガチンコの銃撃戦を展開するシーンは
なかなか見ごたえがあった。
しかし、逃げる行く手には森が途切れており
2キロ先の森まで湿原地帯となっていたのだ。
リーダーのトゥヴィアが“これまでか”と諦めたとき
アザエルの出したアイディアがクリーンヒットした。
が、そこを抜け出た先にはもっと大きな障害が待ち受けていた。
遂に彼らもココまでか・・・。
誰もがそう思った。そしてココが我々の墓場になると
思っていたところに!
おぉ~!!!
ここで会場内のあちらこちらから鼻をすする音が。
おまけ)
・本作は途中まで
『チェ 39歳 別れの手紙』の後半部を観ているようだった。
・冷静な長男トゥヴィアと熱血次男ズシュは
事あるごとに衝突していたが、映画的にはズシュの方が
ヒーローであったと思う。
・ワタシ的にはリーダーはズシュが合っているように
感じたのだが、長男トゥヴィアは
サブリーダーで進化を発揮するタイプと見た。
・本作全体の映像から来るイメージとして
ソ連映画の傑作『炎628』(1985)を思い描いてしまう。
-------------------------------------------------
監督:エドワード・ズウィック
脚本:エドワード・ズウィック/クレイトン・フローマン/
撮影:エドゥアルド・セラ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ダニエル・クレイグ/リーヴ・シュレイバー/ジェイミー・ベル/
アレクサ・ダヴァロス/アラン・コーデュナー/ラヴィル・イシアノフ
『ディファイアンス』
映画的に感動を与えたのは、二男のズシュの存在だった。
ビエルスキ4兄弟もまた
ドイツ兵に両親を殺されたユダヤ人である。
◇
【バック・ストーリー】
習慣や伝統が異なるユダヤ人は
ドイツ国内では常にマイノリティであり
この違いが偏見の的となっていた。
1930年代に台頭したアドルフ・ヒトラーが
この偏見を極限まで押し広げていくこととなる。
ヒトラーは第一次世界大戦の敗北と失業率50%という
経済的危機の責任をユダヤ人に押し付けた。
ヒトラーは14歳以上から教育の機会を奪う法律を定め
ユダヤ人が弁護士、医者、ジャーナリストになることを
違法とした。
しかし、これは始まりに過ぎなかった。
ドイツが第二次世界大戦を引き起こしたとき
ヒトラーは世界征服の野望を抱いており
“劣等民族”としてユダヤ人の根絶を目論んだ。
第二次世界大戦前はヨーロッパには
900万人のユダヤ人がいたが
戦争が終わる頃には600万人が殺害されていた。
【レジスタンス】
第二次大戦中のユダヤ人レジスタンスは
様々な形で存在していた。
そのなかで最も知られてなく、最もインパクトの強い
ユダヤ人レジスタンスの組織がパルチザンである。
20000~30000人のユダヤ人が
パルチザンだったと言われている。
彼らは、ヨーロッパ全土のゲットーや
収容所から逃れてきた者たちで
やがて武装したレジスタンスを組織していった。
彼らは何千ものドイツの車両や部隊を撃破し
何千人もの命を救った。
【ビエルスキ4兄弟】
ビエルスキ兄弟はパルチザンのなかでも
最も有名なグループを組織した兄弟である。
彼らを有名にしたのは、多くのパルチザンが
ドイツとの戦いを主目的としていたのに対し
まず、ユダヤ人の命を救うことを第一義としたことだった。
そのため彼らにとっては毎日が戦いとなった。
彼らを率いたのは第二次世界大戦の英雄の中でも
驚くべきユダヤ人救出劇をみせ
レジスタンス組織の指揮をとった兄のトゥヴィアだった。
【命を救う】
ビエルスキ兄弟は戦うことができる青年のみならず
年配者、子供、さらには病人までも組織に入れた。
トゥヴィアはドイツとその支援者たちから
出来る限り大勢のユダヤ人を救出することを皆の前で誓った。
彼らは仲間がドイツ人から殴られ、殺されるのを進んで阻止した。
偏見の中で失われたものとして、トゥヴィアとパルチザンたちは
勝利を収めた戦いを通じて希望を繋いでいった。
【コミュニティ】
ユダヤ人のパルチザンたちの辛い日々の中にあっても
時折、浮かれ騒ぐこともあった。いつ襲撃されるか
分からないため、パルチザンたちにとって休息をとったり
互いに喜び合ったりできる時間は限られていた。
ドイツ人に居所を突き止められるのを恐れ
パルチザンたちは常にキャンプの移動を余儀なくされていた。
ドイツ人たちは戦闘機を飛ばして、上空からパルチザンたちの
所在を伺っていた。
【反撃】
ビエルスキ兄弟のおかげで
今日がある人々は10000人を超える。
ビエルスキ兄弟の努力のおかげで1200人の命が救われた。
彼らが子供をもうけ、孫をもうけた。
トゥヴィアと弟たち、そしてその他のパルチザンたちは
極めて厳しい状況の中で救助を成し遂げた。
ユダヤ人のパルチザンたちはドイツ人や彼らを迫害する
勢力に対して反撃することが出来た。
そのことが多くのユダヤ人たちに誇りを与えたのだ。
【愛と人生】
森は戦場だけでなく、サバイバルの場所であり
また、パルチザンたちが2年に渡り“家”と呼んだ場所である。
彼らは強く、長きにわたる関係を築いた。
◇
長男トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)こそ
出てきたときはジェームズ・ボンド風味な感覚で観ていたが
次第に物語の重厚さに、そういったことは忘れて行った。
しかし、両親を直接殺害したドイツ将校を発見した後の
復讐する行為には再び“ダブルオー”を感じさせた。
だが、その後はユダヤ人のパルチザンとして
コミュニティのリーダーとしての葛藤を演じる様は
なかなか良かったかと思う。
森に逃げ込み、安全な場所を確保して行くうちに
合流者らが徐々に増えていき
その度に、二男のズシュは「これ以上増えたら面倒見れないだろ」と
長男に囁くのだが、トゥヴィアは聞く耳を持たなかった。
老人、子供、病人まで、来る者は拒まずというトゥヴィアの姿勢に
キレてグループから飛び出す格好となってしまった次男。
森の中で同じドイツ軍と戦っているソ連赤軍と鉢合わせし
トゥビアらの若い精霊(兵士)を数人提供することで
提携を結ぶこととなる。そこに二男のズシュが行ってしまう。
後に思うことだが
この時に二男のズシュがグループから離れたことを機に
三男アザエルが逞しく成長していくように感じた。
終盤でパルチザンのキャンプが発見され
そこから逃げだす大所帯の彼らに時間稼ぎとして
ドイツ軍とガチンコの銃撃戦を展開するシーンは
なかなか見ごたえがあった。
しかし、逃げる行く手には森が途切れており
2キロ先の森まで湿原地帯となっていたのだ。
リーダーのトゥヴィアが“これまでか”と諦めたとき
アザエルの出したアイディアがクリーンヒットした。
が、そこを抜け出た先にはもっと大きな障害が待ち受けていた。
遂に彼らもココまでか・・・。
誰もがそう思った。そしてココが我々の墓場になると
思っていたところに!
おぉ~!!!
ここで会場内のあちらこちらから鼻をすする音が。
おまけ)
・本作は途中まで
『チェ 39歳 別れの手紙』の後半部を観ているようだった。
・冷静な長男トゥヴィアと熱血次男ズシュは
事あるごとに衝突していたが、映画的にはズシュの方が
ヒーローであったと思う。
・ワタシ的にはリーダーはズシュが合っているように
感じたのだが、長男トゥヴィアは
サブリーダーで進化を発揮するタイプと見た。
・本作全体の映像から来るイメージとして
ソ連映画の傑作『炎628』(1985)を思い描いてしまう。
-------------------------------------------------
監督:エドワード・ズウィック
脚本:エドワード・ズウィック/クレイトン・フローマン/
撮影:エドゥアルド・セラ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ダニエル・クレイグ/リーヴ・シュレイバー/ジェイミー・ベル/
アレクサ・ダヴァロス/アラン・コーデュナー/ラヴィル・イシアノフ
『ディファイアンス』
今作では、さすがに「ジャンプ」は出来ないんでしょうね、、
本作の主役は三男アザエルとも取れる感じです。
それは劇中後記のナレーションでパルチザンでの体験が、
その後の人生に多大な影響を与えることとなったからです。
ビリー・エリオット君は『フェイクシティ』のポール(クリス・エヴァンス)と
同等の好印象を持ってしまったワタシです^^
人々と共に生き延びること―が第一のトゥヴィアと、
生きるために戦い抜く―覚悟のズシュ、
そして勇気も判断力もあるアザエル、、実に羨ましくなる3兄弟でした。
そして親はなくとも兄の後姿をみて成長する四男、、
この苦しい生活と闘いを3年も続けることが出来たのも、
このバランスの取れた兄弟だったから、だという気がしますね。
こちらこそTB&コメント感謝です。
>人々と共に生き延びること―が第一のトゥヴィアと、
>生きるために戦い抜く―覚悟のズシュ、
そういえばトゥヴィアが一貫して言っていたのは
「我々の復讐は生き抜くことだ」と。
ある意味、ハト派のトゥヴィアとタカ派のズシュといった感じですね^^
これも長男と二男の一般的な性格分けなのかもしれないですね。
そして三男アザエルが逞しく成長して行く過程が実に良かったです。
>このバランスの取れた兄弟だったから、だという気がしますね。
この映画を見る限り、兄弟は多い方がいいな~って思いました。
劇中後記のテロップに意外と緊張しました^^;
末永く幸せに生きて行ってほしい願いがあったからでしょうね。
トゥヴィアがドイツ軍にとっ捕まらないか、ハラハラしてました。
またきっと、全裸で(座面に穴の開いた)椅子に座らされ、振り子でボコボコと大事な部分を攻撃されそうで(⌒~⌒ι)
願わくば、番外編として、渡米してからのトゥヴィア&ズシュの商売モノ映画(それもコメディー系)を観てみたいもんです(=^_^=)
遂にご覧になったのですね^^
>またきっと、全裸で(座面に穴の開いた)椅子に座らされ、振り子でボコボコと大事な部分を
ドイツ軍の将校にはゲイが多いので、つかまったら全裸にされる確率高いですよね^^
>願わくば、番外編として、渡米してからのトゥヴィア&ズシュの商売モノ映画(それもコメディー系)
「この芋は肥料に20万ドルかけてるんだ。安くは出来ねえよ」みたいな・・
ワタシはタロ芋大食い選手権映画を見たいものです^^