『tokotoko』

Fortune comes in at the merry gate.

『ベッジ・パードン』

2011-07-07 | 立ち直っていく、という時に。
先週、世田谷パブリックシアターで、
ベッジ・パートン』を観てきました

6月6日~7月31日
東京・三軒茶屋/世田谷パブリックシアター

作・演出 三谷幸喜
野村萬斎/深津絵里/大泉洋/浅野和之/涌井健治



すごく面白かった。
たくさん、笑いました。

最後は、せつない終わりだったけれど、
大事な、愛しい時間を過ごせました

立ち見の人もいっぱいいましたが、
終ったあと、満足の空気で満ちていた気がします。

3時間5分の舞台で、
途中15分の休憩を挟んでいても長いとは感じません。

テンポがいいんだろうなぁと、あらためて、今、思います。



夏目漱石は実在した人で、
その『お話』は、
きっと誰もが、ひとつふたつは知っています。

でも、その、別の、本当『かもしれない』物語は、
とても、ワクワクするものがあります。



夏目漱石は、33歳の時、
文部省第1回給費留学生として、英国・ロンドンに旅立ちます。

単身での留学は、カルチャーギャップと神経症的性質があいまって、
『倫敦(ロンドン)に住み暮らしたる二年は不愉快の二年なり~あわれなる生活を営みたり』
というような、大変な二年であったと、様々な文献などで紹介されています。

ただ、下宿の人々とのやりとりの記述だけは、温度差があります。

当時の手紙に出てくる、
下宿の使用人<ベッジ・パードン>とのやりとりには、やさしい空気が流れているのです。

<ベッジ・パードン>とは、本名ではなく、
漱石がつけた呼び名らしいというエピソードも、劇中に出てきますが、
彼女との記述で、漱石は、笑っています。

のちの文豪・夏目漱石が過ごしたロンドンの、
ベッジ・パードンとの日々、下宿の人々との日々を、

三谷幸喜さんが、楽しく楽しく、せつなく、みせてくれました。



野村萬斎さんの現代劇ははじめて観ましたが、

立ち姿がきれいで、声が、すごくいい。
夏目金之助(漱石)そのもの、という感じがしました。
今でも、声が、耳の奥で響きます。

萬斎さんも、文化庁芸術家在外研修制度で1年間ロンドン留学の経験があるそうです。



深津絵里さん、かわいらしくて、素敵でした。

ベッジ・パードンの訛りや舌たらずのところは、
本当に、こんなかんじだったんだろうなぁ・・・と思えました。

声が、すごくとおっていました。きれいでした。



浅野和之さんは・・・・とにかく、すごい。すごすぎる。

これは、舞台を観ないと味わえません。
ほんとに、ほんとに、ごくろうさまでした・・・と言いたいです。



大泉洋さんの、あの・・・言葉の切りかわるところは、最高でした。

今・・・思い出しても、笑える・・・プププ
楽しかったです。



浦井健治さん、
ストーリーを動かす大事なところで出て来られます。

こういう役どころは、公演はじまり、中日、終わる頃で、
雰囲気が変わったりするから、もう一回、みてみたい気がします。



いい舞台でした