グレープ時代の「ほおずき」もその一つ。
夏祭りをテーマに、若い恋人同志(だった)二人の物語が綴られます。(^-^)
その歌詞の繊細で美しい表現は、迸る(ほとばしる)文才と称しましょうか、瑞々しい感性が溢れています。(^_^)
例えば、曲の始まりがこちら↓
♬ 幾つかの水溜まりを残して、梅雨が駆け抜けてしまえば、湿った風の背中越しに、君の好きな夏が来ます ♬
このあと、恋人の女性にせがまれて出かけた夏祭りで、二人は紅いほおずきを買うのですが、そのあとのフレーズも秀逸。
♬ 溜息で回した一つの風車、止まらずに止まらずに、回れと二人祈っていたのに、君の下駄の鼻緒が切れた、人混みにまかれて切れた、僕の肩に縋り俯いた(すがりうつむいた)君は、怯えるように涙を溢した ♬
いかがでしょうか?、、、素敵なことに、このフレーズは「別れ」という言葉を一切使わずに「別れ」を予感させています。( ; _ ; )/~~~
素晴らしき文学的技巧、、、この曲の発表当時、さださんは弱冠22才、、、文学青年と呼ぶに相応しい才能だと思います。m(__)m
二番の歌詞では、
♬ 僕の肩越しに、子供の花火を見つめ、君は小さく呟いた、消えない花火があるなら欲しいと ♬
♬ 戯れに刻んだ、二人のたけくらべ、背伸びして、背伸びして、つま先立っても届かない ♬
そして、曲のラストはこのように結ばれています。(^-^)
♬ あの日のお祭りに、今夜は独りで行ったよ、想い出のほかに拾ったものは、誰かが忘れたほおずきを一つ ♬
ちなみに、曲中の主役「ほおずき」は、あの花の首飾りのごとく作られたオレンジ色の、植物の鬼灯(ほおずき)かと思いきや、二番の歌詞に「走馬灯に照らされて、僕はほおずきを噛んで」とありますから、ひょっとして、口に挟んで噛めば音が鳴る、あの貝類卵嚢の酸漿(ほおずき)かと考えたのですが、やはり植物の鬼灯のようです。鬼灯も噛んで風船にしたりして遊ぶんですね!(◎_◎;)
「鬼灯の紅き実の色胸に染み
遠き想い出あの夏祭り」
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by 祖谷馬関