「歌えども歌を知らずや蕗のとう」 祖谷馬関
■YouTubeはこちら↓
かぐや姫「赤ちょうちん」(ライブ版)
此処に、我が徒然なる歌詠みの一里塚として、標します。( ^_^)/~~~
・夢語り今日も昼から飲んでもたほんまおおきにごっつぉさんやで
■我が短歌集 「徒然のうた」
・夢語り今日も昼から飲んでもたほんまおおきにごっつぉさんやで
・着流しの暮らし愉しや傍らで俺の借金全部でなんぼ?
・二人には遠く春雷響きたり卒業式の二日前かな
・世が違う価値観違う今昔の気まぐれカラス若者に問ふ
・若者よ道なき道をひたすらに辿り続けて大空を翔べ
-200-
・盲目と呼びし恋から幾星霜痘痕も笑窪なわけないでしょが!
・この恋を或る日突然永遠の嘘と言われりゃそうかと思ふ
・友ありて生まれ日にふと思い遣る少女の頃のランドセルかな
・幾たびの出逢いを数え振り向かばあの日あの時始まりし道
・夏冬と二足のボードゴールド来(く)地球見下ろすトリプルコーク
・鬼灯の紅き実の色胸に染み遠き想い出あの夏祭り
・いにしへの歌の心に打たれたり愛する人をまほろばと呼ぶ
・二月堂凍れる夜の水取りや君と見上る炎か闇か
・夢破れ異国の空を見上ぐれば唯ひと筋の寒北斗かな
・人の世の悲しみのその向こうから喜び満つることを祈りて
-190-
・人生の妙味識るとは人生の千秋楽にそっと咲く花
・主人なし梅や一夜で今朝は無し彼の地に咲かば是れいとをかし
・病棟の幼き命風に揺れ梅雨明けの空ただ空虚なり
・初めての荒川にしてさもあらず木根川橋の懐かしさかな
・紫陽花の移ろふ色や恋心阿蘭陀さんの置き忘れとや
・夢唄やさだワールドに染められし我が人生の豊潤なこと
・其の花の仄かな匂ひ忘られぬ節分の夜柊の棘
・挑みても飛び立てぬ空都鳥今度こそはと十を数えし
・双葉より芳しと言ふ栴檀の大樹の根にや努力の肥やし」
・おもろうてやがて哀しきぬかる民性根に沁むやおにぎり談義
-180-
・木金堂カステラの味胸に染む懐かしきかな少年の日々
・浪曲で磨きし芸を華とせよ女性トリオの凛と咲く小屋
・寛大のギャグをど忘れ思案する思い出すまでちょっと待ってね
・往年の駄洒落漫才今見てもあなた笑えま酸ヶ湯温泉
・緊張の緩和理論を残しつつ爆笑王の去りゆく背中
・Mー1を目指すだけなら世話もなしテッペン獲ってオチとするべし
・滑稽なやり取りも亦た浮世かな支離滅裂やAIもギブ
・知を集め地球を救え魔の手より見えざる敵やオミクロン株
・寒き朝炊き出しの湯気立ち込めて心寄せ合い乗り越えし冬
・我が国を我が国と呼ぶ国民の如何ばかりかと嘆くこの冬
-170-
・通り魔や痛み知らぬか人の子か世に忍び寄る闇に抗へ
・深々と雪の降り積む如月の縺れし心君恋ふる夜
・雪嵐野に鳴り渡る虎落笛国難を告ぐシグナルと見ゆ
・暖かな冬のベランダ花の苗春の気配か夢幻か
・遺品とは呼ばずに眺むアルバムやあの頃の空蒼き夏空
・蒙古より従属求む国書あり若武者の意気国を助る
・悴んだ指で爪弾く古ギターこころの友に届けこの歌
・初雪や思い出辿るその先に旧き友らの歌ひし背中
・濫読も積ん読もまた読書なり黙読しつつ夜毎睡読
・風土とは幾千年の機織りの紡ぐ糸から出づ反物や
-160-
・初夢の支離滅裂な物語いったい誰が監督してるの?
・初春や正月の数振り返り我が人生の良し悪しを問ふ
・平凡な暮らしを祝ふ初春の憧れ出づる吟遊の日々
・歳の瀬や大晦の夜に誓ふ他所様だけは遮らぬやう
・歳の瀬に晦日祓いの真似事や些細な悪事もそっと塵取り
・皇女らの生き様思ふ斎院の哀しみもまた国救うかな
・年貢やら納め時かな次世代の国のかたちを今こそ結べ
・営業の王道知らぬスマホ売り心得たるやアレクサに聴け
・元日や旧き友より年賀状年に一度の短き便り
・老い先と呼ばれし影が黄昏の隣に座り我が肩を抱く
-150-
・二晩の柚子風呂と云ふ文読めば伊豆も冬至か奴は無事か
・放火魔に憎しみ募る冬の街ダイバーシティや御免被る
・山崎の丘に佇む聴竹居先人の声遠く谺す
・香水や化粧睫毛も色爪も動物学者の言ふ求愛
・限りなき欲望もなお届かぬは我が心かな真実何処
・悲痛なる叫び谺す冬の夜死をもて思ふ命の在り処
・安寧や少彦名の神に乞ふ病まれる民を救け給へと
・小京都いつか来た町萩津和野漫ろ歩けば夢心地かな
・古都の冬肩寄せ合って漫ろ行く初雪やろか稲穂かんざし
・江戸へ発つのぞみの車窓富士の峰時速二百ですっ飛んでゆく
-140-
・先達の眼差しを見ゆこの街の小径に広場街路樹の色
・布施の街まるごとの旅天に告ぐ此処が地球のヘソ知らんけど
・この冬もまた落ちました面目ねぇ今日から続く遠き道のり
・年中の終わりの始め巡り来てひと歳を識る冬の陽だまり
・肉を断つ鬼切丸か膝丸か人心を打つ菊御作かな
・蕪村より呉春四条派京画壇応挙の風よ櫻谷に吹け
・八ッ橋の理を識る祇園会の伯牙山ゆく琴破の夏
・大仏や身の丈を超え願い居り伏見に御室鳥羽戒光寺
・語呂弾み何処まで行くや西国の観音巡礼心の旅か
・妙超の禅風よ吹け大徳寺イブキと共に聚楽唐門
-130-
・任期切れ買うな冬至の七種よ一日十五あずなますかな
・丹後路の果てに行き着く神仏昔の人の息遣い聴く
・去り行くは夢か大師か蓮花門小子房より幻を見ゆ
・伽羅かんの御坐す庭青龍寺念仏石の占う明日
・千躰の阿弥陀如来の並び居る祇園精舎や得長寿院
・初雪や天得院に冬来たり方広寺より幻の鐘
・天授庵古今伝授の幽斎や今に伝えよ禅の理(ことわり)
・恋文や退耕庵の玉章の地蔵の慈悲に小町を想ふ
・東山春遠からじ蝋梅の祇園を想ふ大蓮寺かな
・月待ちの義政公を弔えば宝処周財慈照寺を開く
-120-
・巻末の数学遊戯や塵劫記未来を測る吉田光由
・ヤマモモの香り漂ふ醍醐寺や初夏のひと風一言に尽く
・冬来たり御香の宮の大蘇鉄名水の地やアラウヨイヨイ
・石楠花の咲く頃落ちる桜露月輪寺に別れの時雨
・古都の秋青蓮院の樟に来し方想ひ哀しみを問ふ
・錦秋の通天橋や東福寺風に染み入る歴史の息吹(イブキ)
・秋深し山の紅葉に冴え渡る宝泉院の五葉松かな
・大杉の見下ろす里や志古淵の花笠踊り村人の声
・台杉の鎮座されたる花脊かな松上げの夜に御魂鎮めて
・額縁に比叡を収め天寧寺宙に浮かぶはカヤのロケット
-110-
・白菊を打ち振るうべし金札宮クロガネモチや火除けの祈祷
・秦氏も痛散したかカギカズラ松尾の水の薬効共に
・片波へ周山街道北上す大栃の樹や霧烟る山
・山王や日吉神社の大欅知らずに拝む天邪鬼かな
・榧(カヤ)の木の見晴るかすかな正法寺春夏秋冬歳時記のごと
・子供らを見守る如く立つ杉の八幡宮や京北の空
・善政も謀反も同じ籠の中慈眼寺銀杏黒の光秀
・春の宵寄り添う影や福徳寺霞桜の知る由もなし
・耳の底白山の神樫の木の片目の蛇の棲家の話
・本願寺火伏せの飛沫大銀杏星摘む楼の飛雲閣在り
-100-
・無患子の種を念珠に華頂山羽子板の羽根天まで届け
・今様の響き艶やか新熊野大樟の葉や風そよぐ朝
・忍び逢ふ二人を包む夜霧かな榎の木陰武信稲荷
・黄舟かな姫の願ひを結う社桂の葉蔭木洩れ陽に揺れ
・鹿ヶ谷比丘尼御所なる霊鑑寺日光椿や春の散る音
・鹿子の木の鞍馬火祭神事触れ靫の夜長やさいれいさいりょう
・大悲山花脊の森の峰定寺の天然杉に何請ふる秋
・古知谷の楓の紅に映したり開山窟の木喰の念
・遠地より崇徳淳仁勧請す小賀玉の樹に宿る御霊や
・北山の背後に座す志明院鳴神の里石楠花の白
-90-
・柊野の見越しの椿五色八重散りゆく花は誰の想ひや
・黄金の光に負けじ櫟樫鹿苑寺前立つ衛士のごと
・侘び寂びの露地のイブキや大徳寺市中の山居此処に極まり
・侘助の紅に降り積む雪の白武将の最期知るや知らぬや
・泰然と平安杉の聳え立つ下黒田にて振り仰ぐ空
・御所拝し能楽堂の演聴きて民を守りしエノキの大樹
・地を這うか天を這うかや龍の松桂昌院の慈悲の導き
・九重の桜散りゆく常照寺その陵の永遠の願ひに
・公園のベンチの脇に菓子パンの空き袋舞う秋ぞ佗しき
・風に舞い花と散るらむ新熊野風姿花伝の申し子と見ゆ
-80-
・三門も仏殿もなき相国寺奢りの蔭や戦火落雷
・宸翰を手売りする猛者御所の門浮世のもみぢ遠近の色
・浮世絵に見えぬとも無し流れ橋背割の桜神の筆かな
・茶は茶色緑茶作りの不思議かな焙炉の陰に人香り立つ
・橘の匂ひ立つ朝井手の里枝垂桜や春風の色
・大御堂十一面の観音や悠久の笑み唯見入りたり
・立て花の名手六角池坊抛入花や禁裏の華や
・椋鳥や寝ぐらへ帰る御所の秋老夫婦ゆく玉砂利の音
・討幕の夢破れたり後鳥羽院末裔を借り御魂現る
・醍醐味やせせらぎに識る深雪山桜に霞み立ち眩む塔
-70-
・覗き見ゆ膏薬図子に茜さす童らの声宙に消えたり
・六阿弥陀洛陽の秋巡り来て我今此処に在る由を問ふ
・親王を語り継ぐ世や千年紀桜散りぬる唯閑かなり
・路傍にてふと立ち止まりひと時の木犀の香に初恋想ふ
・千年の後の出逢ひも懐かしや聳えし塔の海住山寺
・山城の恋路を辿り振り向けば涙雨降る花踊りかな
・円山に柚子の香揺れて長楽寺新帝の世や南無観世音
・梅の実の湯呑みに揺らぐ皇服茶春遠からじ六波羅の朝
・くじ取らず山鉾衆が胸を張りエンヤラヤァと邪気払う夏
・切芝の東游の舞人や葵桂に空蟬を問ふ
-60-
・平安の絵巻さながら行く列に我が在る由を識る御所の道
・女紅場の面影揺れて茜さす花かんざしにだらりの帯や
・朱雀路や羅城の門も今昔神泉苑に差す月の色
・閑院の東三条堀河の高陽朱雀にて仰ぐや浄土
・手旗振る誘導員の日焼け顔皺に刻みし深き人生
・茶碗釜塗指表具袋金一閑杓風炉千家十職
・虫の音の主人想ふや秋思祭天神の杜名月に問ふ
・山穿つ若き技師の背潔し疏水の脇に咲く花の色
・金銀の舎利や北山東山水面に揺らぐ観音の月
・北朝のまた南朝の哀しみや皇居と仰ぐ賀名生の庵
-50-
・松尾の船渡御見遣る桂川潔き流れも酒と思しき
・二条城徳川の世を見守りし二百年中五度の開門
・ひと雨に秋の気配の潜み居り夏のページを濡らしゆくかな
・京の冬都鳥の子今何処ペンを頼りに行く旅路かな
・鰯雲朝夕の風法師蝉去りゆく夏や物想ふ頃
・若き頃無かったなぁと溜め息すコンビニスマホネット中傷
・盆の入り窓に珍客カブト虫亡き父母の化身とも見ゆ
・疫病や此の先見えず重陽の暗がり越えに菊香り立て
・彼の唄の歌詞を今更噛み締めて我が人生に悔いはなしとや
・鍵っ子の思い出遠くなりにけり母を待つ夜のあの寂しさよ
-40-
・花電車幼き夏の夜に咲く華やかにして哀しき灯り
・朝顔の種拾いつつ来夏こそしあわせ色と独り言ちたり
・春の空五穀豊穣神に告ぐ天道花や潔き風
・知らぬ間に言い訳ばかり口を突き言い聞かせては諦める恋
・子を持てばやがて分かると言ひし母立てば歩めの親心かな
・零時発熱海へ夜行グルメ旅帰路はのぞみで早帰りビュッ!
・淀川に晩夏の夕陽煌めいて鉄橋越しに溶けゆく列車
・過ぎし夏彼の女の声耳の底めだかの恋と嗤うべからず
・川縁にミモザなる名の喫茶店秘密の恋や想い出の場所
・千切れよと手を振る子らの名を叫び姉さん先生退職の駅
-30-
・友の死は凍れる風呂と嘆く母慄きつつも独り浸かる湯
・吾は西君は東の街に居て雲間に見ゆる上弦の月
・一寸の先に横たう皐月闇疫病に識る命の奇跡
・豪雨過ぎ鉄砲水の跡の町今暫くは許せ茫然
・いにしへの京の豆腐や味めぐり
薬味携え洛中をゆく
・細胞に染み入るごとくワクチンの我が意に沿わず体温高し
・世の苦楽鏡の如く映しおり夜のコンビニに渦巻く人や
・厚き曇晩夏の空を眺め遣る遠い町より災害の報
・霧笛泣く無敵の油断潜む敵詰む手極まり虚無的な盤
・送り火や今年再び六点の激る火床に祈りし晩夏
-20-
・失敗は成功のもと今昔敗者復活なき憂き世かな
・カナカナと夕焼け空に染み渡る哀しき声やひと夏の暮れ
・特攻の特別の字に含まれし別れを想ふ終戦の夏
・目の前の未来分からぬ不安こそ替え難きものその若さなり
・三回忌父母亡くなりし空家にてそっと唱えし電話番号
・予定なき週末の朝庭先の蜜柑の枝に班目髪切り
・疫病も温故知新や今マスク昔福面鼻袋なり
・慟哭の水難事故や彼の生命散りし夏の日また巡り来て
・道ありて五大陸の輪此処に閉じスカイツリーの灯エッフェルへ継ぐ
・樫の枝ヒヨドリの雛叫びたり何処も同じ親を捜して
-10-
・愛車との別れ前夜に浮かび来る家族旅行の泣き笑いかな
・台風に名は与へない与ふならゴン太郎かなガン子かな
・この夏もメロンの種にロックオン果肉の味も忘れたるかな
・日の丸を背負ってと五輪インタビュースマホ世代の笑顔ゴン攻め
・土石流捜索の手も縮小す梅雨明け十日土煙立つ
・夏休みひっそり閑と公園の感染防止子らの声消ゆ
・予選落ち五輪舞台の落とし穴その脇をゆく時の河かな
・川床にあれ夕立や涼風や濡れ膳も良し古都の夏
・迷う夏五輪開幕夜空見ゆ蒼き地球やドローン編隊
・亡き母の語りし僕の生まれ日は炎天の夏我知らぬ朝
・二人には遠く春雷響きたり卒業式の二日前かな
・世が違う価値観違う今昔の気まぐれカラス若者に問ふ
・若者よ道なき道をひたすらに辿り続けて大空を翔べ
-200-
・盲目と呼びし恋から幾星霜痘痕も笑窪なわけないでしょが!
・この恋を或る日突然永遠の嘘と言われりゃそうかと思ふ
・友ありて生まれ日にふと思い遣る少女の頃のランドセルかな
・幾たびの出逢いを数え振り向かばあの日あの時始まりし道
・夏冬と二足のボードゴールド来(く)地球見下ろすトリプルコーク
・鬼灯の紅き実の色胸に染み遠き想い出あの夏祭り
・いにしへの歌の心に打たれたり愛する人をまほろばと呼ぶ
・二月堂凍れる夜の水取りや君と見上る炎か闇か
・夢破れ異国の空を見上ぐれば唯ひと筋の寒北斗かな
・人の世の悲しみのその向こうから喜び満つることを祈りて
-190-
・人生の妙味識るとは人生の千秋楽にそっと咲く花
・主人なし梅や一夜で今朝は無し彼の地に咲かば是れいとをかし
・病棟の幼き命風に揺れ梅雨明けの空ただ空虚なり
・初めての荒川にしてさもあらず木根川橋の懐かしさかな
・紫陽花の移ろふ色や恋心阿蘭陀さんの置き忘れとや
・夢唄やさだワールドに染められし我が人生の豊潤なこと
・其の花の仄かな匂ひ忘られぬ節分の夜柊の棘
・挑みても飛び立てぬ空都鳥今度こそはと十を数えし
・双葉より芳しと言ふ栴檀の大樹の根にや努力の肥やし」
・おもろうてやがて哀しきぬかる民性根に沁むやおにぎり談義
-180-
・木金堂カステラの味胸に染む懐かしきかな少年の日々
・浪曲で磨きし芸を華とせよ女性トリオの凛と咲く小屋
・寛大のギャグをど忘れ思案する思い出すまでちょっと待ってね
・往年の駄洒落漫才今見てもあなた笑えま酸ヶ湯温泉
・緊張の緩和理論を残しつつ爆笑王の去りゆく背中
・Mー1を目指すだけなら世話もなしテッペン獲ってオチとするべし
・滑稽なやり取りも亦た浮世かな支離滅裂やAIもギブ
・知を集め地球を救え魔の手より見えざる敵やオミクロン株
・寒き朝炊き出しの湯気立ち込めて心寄せ合い乗り越えし冬
・我が国を我が国と呼ぶ国民の如何ばかりかと嘆くこの冬
-170-
・通り魔や痛み知らぬか人の子か世に忍び寄る闇に抗へ
・深々と雪の降り積む如月の縺れし心君恋ふる夜
・雪嵐野に鳴り渡る虎落笛国難を告ぐシグナルと見ゆ
・暖かな冬のベランダ花の苗春の気配か夢幻か
・遺品とは呼ばずに眺むアルバムやあの頃の空蒼き夏空
・蒙古より従属求む国書あり若武者の意気国を助る
・悴んだ指で爪弾く古ギターこころの友に届けこの歌
・初雪や思い出辿るその先に旧き友らの歌ひし背中
・濫読も積ん読もまた読書なり黙読しつつ夜毎睡読
・風土とは幾千年の機織りの紡ぐ糸から出づ反物や
-160-
・初夢の支離滅裂な物語いったい誰が監督してるの?
・初春や正月の数振り返り我が人生の良し悪しを問ふ
・平凡な暮らしを祝ふ初春の憧れ出づる吟遊の日々
・歳の瀬や大晦の夜に誓ふ他所様だけは遮らぬやう
・歳の瀬に晦日祓いの真似事や些細な悪事もそっと塵取り
・皇女らの生き様思ふ斎院の哀しみもまた国救うかな
・年貢やら納め時かな次世代の国のかたちを今こそ結べ
・営業の王道知らぬスマホ売り心得たるやアレクサに聴け
・元日や旧き友より年賀状年に一度の短き便り
・老い先と呼ばれし影が黄昏の隣に座り我が肩を抱く
-150-
・二晩の柚子風呂と云ふ文読めば伊豆も冬至か奴は無事か
・放火魔に憎しみ募る冬の街ダイバーシティや御免被る
・山崎の丘に佇む聴竹居先人の声遠く谺す
・香水や化粧睫毛も色爪も動物学者の言ふ求愛
・限りなき欲望もなお届かぬは我が心かな真実何処
・悲痛なる叫び谺す冬の夜死をもて思ふ命の在り処
・安寧や少彦名の神に乞ふ病まれる民を救け給へと
・小京都いつか来た町萩津和野漫ろ歩けば夢心地かな
・古都の冬肩寄せ合って漫ろ行く初雪やろか稲穂かんざし
・江戸へ発つのぞみの車窓富士の峰時速二百ですっ飛んでゆく
-140-
・先達の眼差しを見ゆこの街の小径に広場街路樹の色
・布施の街まるごとの旅天に告ぐ此処が地球のヘソ知らんけど
・この冬もまた落ちました面目ねぇ今日から続く遠き道のり
・年中の終わりの始め巡り来てひと歳を識る冬の陽だまり
・肉を断つ鬼切丸か膝丸か人心を打つ菊御作かな
・蕪村より呉春四条派京画壇応挙の風よ櫻谷に吹け
・八ッ橋の理を識る祇園会の伯牙山ゆく琴破の夏
・大仏や身の丈を超え願い居り伏見に御室鳥羽戒光寺
・語呂弾み何処まで行くや西国の観音巡礼心の旅か
・妙超の禅風よ吹け大徳寺イブキと共に聚楽唐門
-130-
・任期切れ買うな冬至の七種よ一日十五あずなますかな
・丹後路の果てに行き着く神仏昔の人の息遣い聴く
・去り行くは夢か大師か蓮花門小子房より幻を見ゆ
・伽羅かんの御坐す庭青龍寺念仏石の占う明日
・千躰の阿弥陀如来の並び居る祇園精舎や得長寿院
・初雪や天得院に冬来たり方広寺より幻の鐘
・天授庵古今伝授の幽斎や今に伝えよ禅の理(ことわり)
・恋文や退耕庵の玉章の地蔵の慈悲に小町を想ふ
・東山春遠からじ蝋梅の祇園を想ふ大蓮寺かな
・月待ちの義政公を弔えば宝処周財慈照寺を開く
-120-
・巻末の数学遊戯や塵劫記未来を測る吉田光由
・ヤマモモの香り漂ふ醍醐寺や初夏のひと風一言に尽く
・冬来たり御香の宮の大蘇鉄名水の地やアラウヨイヨイ
・石楠花の咲く頃落ちる桜露月輪寺に別れの時雨
・古都の秋青蓮院の樟に来し方想ひ哀しみを問ふ
・錦秋の通天橋や東福寺風に染み入る歴史の息吹(イブキ)
・秋深し山の紅葉に冴え渡る宝泉院の五葉松かな
・大杉の見下ろす里や志古淵の花笠踊り村人の声
・台杉の鎮座されたる花脊かな松上げの夜に御魂鎮めて
・額縁に比叡を収め天寧寺宙に浮かぶはカヤのロケット
-110-
・白菊を打ち振るうべし金札宮クロガネモチや火除けの祈祷
・秦氏も痛散したかカギカズラ松尾の水の薬効共に
・片波へ周山街道北上す大栃の樹や霧烟る山
・山王や日吉神社の大欅知らずに拝む天邪鬼かな
・榧(カヤ)の木の見晴るかすかな正法寺春夏秋冬歳時記のごと
・子供らを見守る如く立つ杉の八幡宮や京北の空
・善政も謀反も同じ籠の中慈眼寺銀杏黒の光秀
・春の宵寄り添う影や福徳寺霞桜の知る由もなし
・耳の底白山の神樫の木の片目の蛇の棲家の話
・本願寺火伏せの飛沫大銀杏星摘む楼の飛雲閣在り
-100-
・無患子の種を念珠に華頂山羽子板の羽根天まで届け
・今様の響き艶やか新熊野大樟の葉や風そよぐ朝
・忍び逢ふ二人を包む夜霧かな榎の木陰武信稲荷
・黄舟かな姫の願ひを結う社桂の葉蔭木洩れ陽に揺れ
・鹿ヶ谷比丘尼御所なる霊鑑寺日光椿や春の散る音
・鹿子の木の鞍馬火祭神事触れ靫の夜長やさいれいさいりょう
・大悲山花脊の森の峰定寺の天然杉に何請ふる秋
・古知谷の楓の紅に映したり開山窟の木喰の念
・遠地より崇徳淳仁勧請す小賀玉の樹に宿る御霊や
・北山の背後に座す志明院鳴神の里石楠花の白
-90-
・柊野の見越しの椿五色八重散りゆく花は誰の想ひや
・黄金の光に負けじ櫟樫鹿苑寺前立つ衛士のごと
・侘び寂びの露地のイブキや大徳寺市中の山居此処に極まり
・侘助の紅に降り積む雪の白武将の最期知るや知らぬや
・泰然と平安杉の聳え立つ下黒田にて振り仰ぐ空
・御所拝し能楽堂の演聴きて民を守りしエノキの大樹
・地を這うか天を這うかや龍の松桂昌院の慈悲の導き
・九重の桜散りゆく常照寺その陵の永遠の願ひに
・公園のベンチの脇に菓子パンの空き袋舞う秋ぞ佗しき
・風に舞い花と散るらむ新熊野風姿花伝の申し子と見ゆ
-80-
・三門も仏殿もなき相国寺奢りの蔭や戦火落雷
・宸翰を手売りする猛者御所の門浮世のもみぢ遠近の色
・浮世絵に見えぬとも無し流れ橋背割の桜神の筆かな
・茶は茶色緑茶作りの不思議かな焙炉の陰に人香り立つ
・橘の匂ひ立つ朝井手の里枝垂桜や春風の色
・大御堂十一面の観音や悠久の笑み唯見入りたり
・立て花の名手六角池坊抛入花や禁裏の華や
・椋鳥や寝ぐらへ帰る御所の秋老夫婦ゆく玉砂利の音
・討幕の夢破れたり後鳥羽院末裔を借り御魂現る
・醍醐味やせせらぎに識る深雪山桜に霞み立ち眩む塔
-70-
・覗き見ゆ膏薬図子に茜さす童らの声宙に消えたり
・六阿弥陀洛陽の秋巡り来て我今此処に在る由を問ふ
・親王を語り継ぐ世や千年紀桜散りぬる唯閑かなり
・路傍にてふと立ち止まりひと時の木犀の香に初恋想ふ
・千年の後の出逢ひも懐かしや聳えし塔の海住山寺
・山城の恋路を辿り振り向けば涙雨降る花踊りかな
・円山に柚子の香揺れて長楽寺新帝の世や南無観世音
・梅の実の湯呑みに揺らぐ皇服茶春遠からじ六波羅の朝
・くじ取らず山鉾衆が胸を張りエンヤラヤァと邪気払う夏
・切芝の東游の舞人や葵桂に空蟬を問ふ
-60-
・平安の絵巻さながら行く列に我が在る由を識る御所の道
・女紅場の面影揺れて茜さす花かんざしにだらりの帯や
・朱雀路や羅城の門も今昔神泉苑に差す月の色
・閑院の東三条堀河の高陽朱雀にて仰ぐや浄土
・手旗振る誘導員の日焼け顔皺に刻みし深き人生
・茶碗釜塗指表具袋金一閑杓風炉千家十職
・虫の音の主人想ふや秋思祭天神の杜名月に問ふ
・山穿つ若き技師の背潔し疏水の脇に咲く花の色
・金銀の舎利や北山東山水面に揺らぐ観音の月
・北朝のまた南朝の哀しみや皇居と仰ぐ賀名生の庵
-50-
・松尾の船渡御見遣る桂川潔き流れも酒と思しき
・二条城徳川の世を見守りし二百年中五度の開門
・ひと雨に秋の気配の潜み居り夏のページを濡らしゆくかな
・京の冬都鳥の子今何処ペンを頼りに行く旅路かな
・鰯雲朝夕の風法師蝉去りゆく夏や物想ふ頃
・若き頃無かったなぁと溜め息すコンビニスマホネット中傷
・盆の入り窓に珍客カブト虫亡き父母の化身とも見ゆ
・疫病や此の先見えず重陽の暗がり越えに菊香り立て
・彼の唄の歌詞を今更噛み締めて我が人生に悔いはなしとや
・鍵っ子の思い出遠くなりにけり母を待つ夜のあの寂しさよ
-40-
・花電車幼き夏の夜に咲く華やかにして哀しき灯り
・朝顔の種拾いつつ来夏こそしあわせ色と独り言ちたり
・春の空五穀豊穣神に告ぐ天道花や潔き風
・知らぬ間に言い訳ばかり口を突き言い聞かせては諦める恋
・子を持てばやがて分かると言ひし母立てば歩めの親心かな
・零時発熱海へ夜行グルメ旅帰路はのぞみで早帰りビュッ!
・淀川に晩夏の夕陽煌めいて鉄橋越しに溶けゆく列車
・過ぎし夏彼の女の声耳の底めだかの恋と嗤うべからず
・川縁にミモザなる名の喫茶店秘密の恋や想い出の場所
・千切れよと手を振る子らの名を叫び姉さん先生退職の駅
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・友の死は凍れる風呂と嘆く母慄きつつも独り浸かる湯
・吾は西君は東の街に居て雲間に見ゆる上弦の月
・一寸の先に横たう皐月闇疫病に識る命の奇跡
・豪雨過ぎ鉄砲水の跡の町今暫くは許せ茫然
・いにしへの京の豆腐や味めぐり
薬味携え洛中をゆく
・細胞に染み入るごとくワクチンの我が意に沿わず体温高し
・世の苦楽鏡の如く映しおり夜のコンビニに渦巻く人や
・厚き曇晩夏の空を眺め遣る遠い町より災害の報
・霧笛泣く無敵の油断潜む敵詰む手極まり虚無的な盤
・送り火や今年再び六点の激る火床に祈りし晩夏
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・失敗は成功のもと今昔敗者復活なき憂き世かな
・カナカナと夕焼け空に染み渡る哀しき声やひと夏の暮れ
・特攻の特別の字に含まれし別れを想ふ終戦の夏
・目の前の未来分からぬ不安こそ替え難きものその若さなり
・三回忌父母亡くなりし空家にてそっと唱えし電話番号
・予定なき週末の朝庭先の蜜柑の枝に班目髪切り
・疫病も温故知新や今マスク昔福面鼻袋なり
・慟哭の水難事故や彼の生命散りし夏の日また巡り来て
・道ありて五大陸の輪此処に閉じスカイツリーの灯エッフェルへ継ぐ
・樫の枝ヒヨドリの雛叫びたり何処も同じ親を捜して
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・愛車との別れ前夜に浮かび来る家族旅行の泣き笑いかな
・台風に名は与へない与ふならゴン太郎かなガン子かな
・この夏もメロンの種にロックオン果肉の味も忘れたるかな
・日の丸を背負ってと五輪インタビュースマホ世代の笑顔ゴン攻め
・土石流捜索の手も縮小す梅雨明け十日土煙立つ
・夏休みひっそり閑と公園の感染防止子らの声消ゆ
・予選落ち五輪舞台の落とし穴その脇をゆく時の河かな
・川床にあれ夕立や涼風や濡れ膳も良し古都の夏
・迷う夏五輪開幕夜空見ゆ蒼き地球やドローン編隊
・亡き母の語りし僕の生まれ日は炎天の夏我知らぬ朝
以上