2022(令和4年)年 1月7日(金)
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落ちぶれる中国。
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北野幸伯
2つの大失策で4000年の歴史を失う習近平の夢の跡
先日掲載の「習近平の止まらぬ暴走。クリスマス禁止令で世界を敵に回し た隣国」でもお伝えしたとおり、その国際感覚を「ウォールストリート ジャーナル」にも否定的に扱われた中国ですが、2022年にはさらに苦しい 立場に置かれることが確実なようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治 経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、昨年ま での米中関係を振り返りつつ2022年に世界各地で起こりうる事象を予測。 中国の孤立化を含め、3つのトレンドを挙げています。
2022年、世界はどうなる?
私はいつも、大局の話をします。大きな流れです。
1945年から1991年は、「冷戦時代」、別の言葉で「米ソ二極時代」でし た。アメリカとソ連が覇権を争っていたのです。
冷戦は1991年12月、ソ連崩壊で終結しました。二極のうち一極が消滅し、 一極だけ残った。1992年から世界は「アメリカ一極時代」に突入しました。
この時代は、今もつづいているのでしょうか?それとも、すでに別の時代 になっているのでしょうか?そう、「アメリカ一極時代」は2008年、リー マンショックからはじまった「100年に1度の大不況」で終わったのです。
2009年、「米中二極時代」が到来しました。世界には、アメリカ、中国、 二つの超大国がある。さらに2018年、ペンス副大統領(当時)の、「反中 演説」から、「米中覇権戦争」がはじまりました。
今は、「米中二極時代」の「米中覇権戦争時代」です。そして、「米中二 極時代」がはじまった2009年から、2020年まで、重要なファクターがあり ました。それは、2009年から2020年まで、「中国が有利だった」と
いう事実です。
たとえば2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。中国が主導して作っ た「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。中国は、「皆さんAIIBに入って ください!」とよびかけた。アメリカは、同盟国、親米諸国に、「AIIBに 入るなよ!」と要求しました。
ところが、「特別な関係にある」といわれるイギリスが裏切った。それに つづいて、日本をのぞくほとんどすべての「親米諸国」がAIIBに入ってし まったのです。ちなみにAIIBの参加国は、すでに100か国まで増えていま す。この事実から、「2015年時点で、中国が有利だった」ことがわかります。
では、2020年はどうでしょうか?2020年といえば、「中国発新型コロナウ イルスの年」です。しかし、中国は強権を発動し、新型コロナの感染拡大 をおさえこむことに成功しました。一方、アメリカは、感染者数、死者数 とも世界一でボロボロ。この事実から、2020年の時点でも、まだ中国が有 利な状況であることがわかります。
2021年は逆転の年
しかし、2021年は状況が変わりました。アメリカでは、「親中」といわれ るバイデンさんが大統領になった。彼は、「反日」でもある。
私は一昨年末から昨年初め、「バイデンは、確かに親中反日です。しか し、米中覇権戦争はつづいていくし、日米関係はむしろよくなります」と いいつづけてきました(うそかホントか確認したい方は、2020年12月発売 『日本の地政学』をご一読ください。日本が中国に勝つ、確実な方法もわ かります)。
バイデンというか、側近のブリンケンさんとかサリバンさんが優秀なので しょう。2021年、アメリカは、「反中包囲網」を強化拡大することに成功 しました。日米豪印の「クアッド」が強化された。トランプ時代バラバラ だったG7が再結束し、しかも反中になった。トランプ時代バラバラだった NATOが再結束し、しかも反中になった。
BBC NEWS JAPAN 2020年6月15日を見てみましょう。
北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が14日、ベルギー・ブリュッセルの 本部であり、中国の軍事的脅威に懸念を示す首脳宣言を発表した。中国の 行動は「全体にとっての挑戦」だとした。
このことは、とても重要です。なぜ?そもそもNATOは、「反ソ連、反ロシ ア軍事同盟」です。それが去年、「反中国の軍事同盟」にもなった。9月 には、アメリカ、イギリス、オーストラリアの反中同盟「AUKUS」ができ ました。「クアッド」「G7」「NATO」「AUKUS」これらは、すべて「反中 包囲網」です。
2020年まで、世界の「バランスオブパワー」が崩れていました。要する に、中国が強くなりすぎていた。バイデン政権は、1年かけて「バランス オブパワー」を回復させたのです。
注目地域は?2022年の世界に起こること
落ちぶれる中国。
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北野幸伯
2つの大失策で4000年の歴史を失う習近平の夢の跡
先日掲載の「習近平の止まらぬ暴走。クリスマス禁止令で世界を敵に回し た隣国」でもお伝えしたとおり、その国際感覚を「ウォールストリート ジャーナル」にも否定的に扱われた中国ですが、2022年にはさらに苦しい 立場に置かれることが確実なようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治 経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、昨年ま での米中関係を振り返りつつ2022年に世界各地で起こりうる事象を予測。 中国の孤立化を含め、3つのトレンドを挙げています。
2022年、世界はどうなる?
私はいつも、大局の話をします。大きな流れです。
1945年から1991年は、「冷戦時代」、別の言葉で「米ソ二極時代」でし た。アメリカとソ連が覇権を争っていたのです。
冷戦は1991年12月、ソ連崩壊で終結しました。二極のうち一極が消滅し、 一極だけ残った。1992年から世界は「アメリカ一極時代」に突入しました。
この時代は、今もつづいているのでしょうか?それとも、すでに別の時代 になっているのでしょうか?そう、「アメリカ一極時代」は2008年、リー マンショックからはじまった「100年に1度の大不況」で終わったのです。
2009年、「米中二極時代」が到来しました。世界には、アメリカ、中国、 二つの超大国がある。さらに2018年、ペンス副大統領(当時)の、「反中 演説」から、「米中覇権戦争」がはじまりました。
今は、「米中二極時代」の「米中覇権戦争時代」です。そして、「米中二 極時代」がはじまった2009年から、2020年まで、重要なファクターがあり ました。それは、2009年から2020年まで、「中国が有利だった」と
いう事実です。
たとえば2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。中国が主導して作っ た「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)。中国は、「皆さんAIIBに入って ください!」とよびかけた。アメリカは、同盟国、親米諸国に、「AIIBに 入るなよ!」と要求しました。
ところが、「特別な関係にある」といわれるイギリスが裏切った。それに つづいて、日本をのぞくほとんどすべての「親米諸国」がAIIBに入ってし まったのです。ちなみにAIIBの参加国は、すでに100か国まで増えていま す。この事実から、「2015年時点で、中国が有利だった」ことがわかります。
では、2020年はどうでしょうか?2020年といえば、「中国発新型コロナウ イルスの年」です。しかし、中国は強権を発動し、新型コロナの感染拡大 をおさえこむことに成功しました。一方、アメリカは、感染者数、死者数 とも世界一でボロボロ。この事実から、2020年の時点でも、まだ中国が有 利な状況であることがわかります。
2021年は逆転の年
しかし、2021年は状況が変わりました。アメリカでは、「親中」といわれ るバイデンさんが大統領になった。彼は、「反日」でもある。
私は一昨年末から昨年初め、「バイデンは、確かに親中反日です。しか し、米中覇権戦争はつづいていくし、日米関係はむしろよくなります」と いいつづけてきました(うそかホントか確認したい方は、2020年12月発売 『日本の地政学』をご一読ください。日本が中国に勝つ、確実な方法もわ かります)。
バイデンというか、側近のブリンケンさんとかサリバンさんが優秀なので しょう。2021年、アメリカは、「反中包囲網」を強化拡大することに成功 しました。日米豪印の「クアッド」が強化された。トランプ時代バラバラ だったG7が再結束し、しかも反中になった。トランプ時代バラバラだった NATOが再結束し、しかも反中になった。
BBC NEWS JAPAN 2020年6月15日を見てみましょう。
北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が14日、ベルギー・ブリュッセルの 本部であり、中国の軍事的脅威に懸念を示す首脳宣言を発表した。中国の 行動は「全体にとっての挑戦」だとした。
このことは、とても重要です。なぜ?そもそもNATOは、「反ソ連、反ロシ ア軍事同盟」です。それが去年、「反中国の軍事同盟」にもなった。9月 には、アメリカ、イギリス、オーストラリアの反中同盟「AUKUS」ができ ました。「クアッド」「G7」「NATO」「AUKUS」これらは、すべて「反中 包囲網」です。
2020年まで、世界の「バランスオブパワー」が崩れていました。要する に、中国が強くなりすぎていた。バイデン政権は、1年かけて「バランス オブパワー」を回復させたのです。
注目地域は?2022年の世界に起こること