沖縄・台湾友の会

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2023年2月7日号) *フィリピンの地政学

2023-02-07 16:17:25 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2023年2月7日号)
*フィリピンの地政学
 広域強盗事件の容疑者がフィリピンから日本に引き渡されたことで、フィリピンと日本の関係が改めて注目されている。フィリピンは地理的に日本に近く、それでいて法律は米国的で銃砲も自由に手に入るし、英語も通じる。
 従って、昔から日本の犯罪者が潜伏するには都合がいい場所である。だが今回の引き渡しの背景には、従来の日本とフィリピンの関係とは次元を全く異にする地政学的な状況が展開している。それは台湾を巡る米中対立である。

 昨年11月に米国のハリス副大統領がフィリピンを訪れ、マルコス大統領と会談した。フィリピンには現在、米軍の拠点が5カ所あるが、これを倍増させることで、合意した。その費用は米国持ちであるからフィリピンは無償で米国から防衛力を獲得したわけだ。
 米軍が拠点を倍増させる理由は、対岸にある台湾を防衛するためだ。米中合意で台湾に直接、米軍基地を置けないから、隣接したフィリピンに拠点を設けて台湾防衛の一助とするのである。

 これを放って置くわけにいかないのが中国だ。習近平主席はマルコスを北京に呼び寄せ、何と220億ドルの投資を約束した。明確な買収工作で、フィリピンが米国に傾くのを阻止する狙いである。
 その甲斐あってか、2日にオースチン米国防長官がマルコスと会談すると、5カ所増やすはずの拠点が4か所に減っていた。「金をくれなきゃ、もっと減らすよ」と言いたげなマルコスの態度に、オースチンは浮かない表情だった。

 金を出させるとしたら日本しかない。岸田政権は今回のマルコス訪日に合わせて年間2000億円の支援を検討していると言う。年間2000億円貰えるなら、容疑者4人引き渡すくらい、お手の物。
 国際政治の現実は決して善意と道徳で成り立っているわけではない。


コロンビア空軍はなぜ中国のスパイ気球を撃墜しなかったのか    ジェット機、ミサイルなど能力は周辺国でずば抜けている

2023-02-07 16:16:39 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)2月7日(火曜日)弐
       通巻第7625号 
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 コロンビア空軍はなぜ中国のスパイ気球を撃墜しなかったのか
   ジェット機、ミサイルなど能力は周辺国でずば抜けている
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 コロンビアといえば珈琲、麻薬、治安の悪さなどの印象を付帯するが、人口5200万、26万人の軍隊を誇り、空軍だけでも16000人。
保有機のなかにはフランス製ミラージュ戦闘機もあり、F16の導入には失敗したが、搭載ミサイルにはミラージュ用R530(射程18キロ)、ならびにイスラエル製のバイソン3型から5型まで百数十発(射程は15キロ)。いずれも空対空で、米軍機がサウスカロライナ州沖合で撃墜したミサイルと同程度とみられる。

 コロンビア空軍の装備に小型機ならびに武装ヘリが多い理由は国内の武装勢力、とくに反政府ゲリラ対策である。そのうえ隣国ベネズエラの経済危機で、百万人とも言われる経済難民を抱えている。

コロンビア空軍が謎の飛行体を発見したのは2月3日だった。中米コスタリカからベネズエラ上空に飛行し、コロンビア領空に侵入してきたもので、偏西風とは逆向きだから、明らかに遠隔操作されていた。高さ17キロメートルほどで、コロンビア空軍は気球を確認し、防衛システムで監視していた。平均時速約46キロで移動したあと、コロンビアの領空から離れた。空軍は「国の安全を脅かすものではない」と判断し監視を続けるだけだった。
 もしコロンビア政府が撃墜を決意すれば容易に打ち落とせた。

 なお中国のスパイ気球は過去に日本と台湾上空にも現れていたことが分かった。
 日本では2020年6月に仙台、21年九月に八戸上空を飛翔したが公表されなかった。
 台湾でも2021年9月と12月、22年の3月の三回。とくに三回目は松山空港上空を弐時間以上飛行したことも判明している。