【上の写真】
エリエル・サーリネンが1922年にデザインした1000マルッカ紙幣。
Photos Quoted from 「Suomen Pankki Kotisivu」.
以前、建築家エリエル・サーリネンがデザインしたフィンランド独立時の切手を紹介したが、今回はお札、フィンランド紙幣のデザインである。
サーリネンは 1910年発行の100マルッカ札と 1922年発行の1000マルッカ札をデザインしている。
建築家が紙幣のデザインを? と我々には奇異に感じるかもしれないが、フィンランド独立時に、芸術家、建築家達が建国といかにかかわったかがうかがい知れるようだ。
1000マルッカは、フィンランド独立後に発行された最初の最も高額な紙幣で、デザインは 1920年代の古典主義的特徴のものだが、アール・ヌーヴォーの特徴も色濃く残している。
この紙幣が最初に紹介されたときは、裸の人々が描かれた挿入画は人々間で大きな論争を引き起こした。
霞んだ湖の湖岸で、独立を迎えたフィンランドの明るい未来に向かってたたずむ裸の人々の列、挿入画は霊的な雰囲気を持っている。
ラルス・ソンク(Lars Sonck 1870-1956年)の「タンペレ大聖堂(1902-1907年)」のフレスコ画、マグヌス・エンケル(Magnus Enckell 1870-1925年) の「祝福の行列(The Procession of the Blessed)1907年」 やヒューゴ・シンベルグ(Hugo Simberg 1874-1917年) の「花輪を運搬する人々 (garland bearers)1906年」を思い起こさせる。
1946年に全体的にやや赤みがかった新しい紙幣が発行されたが、このデザインは1955年まで発行された。
紙幣の大きさは、ヨコ204mm、タテ120mmである。
【写真1】
フィンランドがまだロシアの統治下にあった1910年に発行されたエリエル・サーリネンのデザインによる100マルッカ紙幣。
この紙幣は、ロシアの統治下で印刷された最後の紙幣の一つであり、フィンランド語を主要な言語として扱った最初の紙幣であった。
デザインは全体的にナショナル・ロマンティシズムやアール・ヌーヴォーの特徴がみられる。
100マルッカ札の表には、画家アクセリ・ガッレンーカッレラ(Akseli Gallen-Kallela) が国立博物館 (Finnish National Museum) のフレスコ壁画として描いた「農地を耕すイルマリネン (Ilmarinen ploughing the field of snakes) 」という絵が描かれている。
このシリーズの最も高額な紙幣は1000マルッカで、現代の金額に換算すると 20000フィンランドマルッカに相当する高額紙幣である。
この紙幣は、1945年まで使用されたが、1917年の独立以後に発行された紙幣は 8角形の部分にあったロシアのエンブレムとロシア語は削除されている。
紙幣の大きさは、ヨコ170mm、タテ102mmである。
●ヘルシンキには「フィンランド銀行・貨幣ミュージアム(Bank of Finland Museum)がある。
フィンランドの貨幣の歴史、貨幣デザインなどに関心のある方は是非一度訪れるといいだろう。
住所は、Snellmaninkatu 2, Helsinki
開館は、木、金曜日が12:00-18:00、土、日曜日が11:00-16:00
入場は無料、詳しくはホームページにて確認してください。
●フィンランドのユーロ移行前の通貨、「フィンランド・マルッカ」
1999年1月1日に導入されたヨーロッパ連合(EU)の統一通貨ユーロだが、2002年1月1日からユーロ紙幣、ユーロ硬貨が、EU加盟国11ヶ国で使われ始めた。
フィンランドでも140年に渡って使われつづけてきたマルッカ(フィンランド・マルッカ、Markka=Mk)とペンニ、Penni(1マルッカ=100ペンニ)が廃止され、ユーロとセント(1ユーロ=100セント)に移行した。
従来の6マルッカが1ユーロになった(正確には5.94573)。
この換算では1マルッカは24円位だが、僕がフィンランドに滞在した 1980年代前半は 1マルッカが 35円位だったと記憶している。
先日、引き出しの中を整理していて、アールトの姿とフィンランディア・ホールが描かれた有名な50マルッカ紙幣と共に100マルッカ紙幣が10枚以上出てきた。
今さら両替は不可能で、高額だけに一寸ショックだった。
【写真2】 建築界では有名な50マルッカ紙幣。
アルヴァー・アールトの横顔が何とも素晴らしい!
【写真3】 50マルッカ紙幣の裏面は、トゥールン湾とフィンランディア・ホール。
【写真・撮影】 上2枚のみ管理人
Photos Quoted from 「Suomen Pankki Kotisivu」.
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