国連の国際デーになった「世界ダウン症の日」。3月21日を前に、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長からのお祝いのメッセージが公表されました。2011年12月19日の国連総会の全体会議での決議文とともに、日本語訳を日本ダウン症協会が発表しました。 【→詳細は本文】
日本ダウン症協会が翻訳した、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長からのお祝いのメッセージと、2011年12月19日の国連総会の全体会議での決議文の全文を掲載します。
《国連事務総長より「世界ダウン症の日」へのメッセージ》
今日は、「世界ダウン症の日」の第1回目の記念日です。この日を実現させるべくたゆみなくそして熱意をもって活動してきた各国政府、活動家の皆様、ご家族の皆様、専門家の皆様、そのほかの皆様の国際的なパートナーシップに対してお祝いを申し上げます。
ずっと長い間、子どもたちを含めたダウン症のある人々は、社会の片隅に追いやられてきました。多くの国々では、今でも彼らが彼らのコミュニティーに参加することを阻む汚名や差別、法律や態度、環境の壁に直面しています。
差別は、強制された不妊のごとくあからさまに不快なものでありえると同時に、物理的および社会的な手段による分離と孤立化のごとく微妙なものでもありえます。ダウン症のある人々は、しばしば、法の前に平等に承認される権利、選挙権や被選挙権を与えられないことがあります。知的障害は、ダウン症のある人々が自由を奪われ、特殊施設に時には一生入れられる正当な根拠であると見られてもきました。
多くの国々では、知的障害のある少年少女は、普通学級での教育への十分なアクセスがありません。ダウン症のある子どもたちは他の子どもたちの教育を妨げるという偏見のために、我が子を特殊学校へ入れたり、家に置いたりする親ごさんもいます。しかし、調査によれば、そしてより多くの人が理解し始めていることですが、学級における多様性がすべての子どもたちのためになる学びと理解を促すことになるのです。
国連は何十年にもわたって、すべての人の幸福と人権を守るために活動してきました。この努力は、2006年に障害者の権利条約を採択することによって強化されることとなりました。この条約は、「障害のある人々はもはや慈善や福祉の対象ではなく、かれら自身の権利において社会に多大に貢献できる、平等な権利をもつ尊厳ある人々なのだ」というパラダイムシフトを具体的に示しています。
今日この日、ダウン症のある人々は、すべての人権と根本的自由を十分にかつ効果的に享受する権利があるのだということを再び断言しようではありませんか。ダウン症のある子どもたちや人たちが、他の人々と同じように、かれらの社会の発展と生活に十分に参加できるよう、我々一人ひとりが役割を果たそうではありませんか。すべての人々を包み込む社会を築こうではありませんか。
第8代国連事務総長 潘基文(パン・ギムン)
《3月21日「世界ダウン症の日」に関する国連決議文》
総会により採択された決議<第3委員会の報告(A/66/462/Add.1)に基づく>
66/149 世界ダウン症の日
国連総会は、
2005年の世界サミット最終文書および国連ミレニアム宣言、ならびに、経済・社会および関連分野に関する主要な国連会議およびサミットの成果を想起し、
また、障害をもつ人が、他の人々と平等な人権と基本的自由の全面的享受はもとより、尊厳を確保し、自立を促進し、かつ、そのコミュニティへの積極的な参加を容易にする条件の中で、充実した人間らしい生活を享受すべきとし、また、国家が、社会全体において障害者についての認識を高めるために迅速、効果的かつ適切な手段を責任もって講じることとした「障害者の権利に関する条約」も想起し、
すべての障害者のあらゆる人権および基本的自由の全面的実現を確保、促進することは、国際的に合意された開発目標の達成に欠かせないことを確認し、
ダウン症は、人間に常に起こってきた自然発生の染色体配列であり、人種、性別、社会経済的地位を問わず普遍的に存在し、全世界においておよそ800人に1人の割合で生まれ、知的障害と医療的な併発症を引き起こすものであるということを意識し、
世界のあらゆる地域でダウン症が広がり、高い罹患率に達していること、ならびに、その結果として、各国政府、非政府組織(NGO)および民間セクターが実施する長期的な保健医療、教育、訓練および介入プログラムを発展させるという課題があること、また家族やコミュニティ、社会に深刻な影響が及んでい
ることを深く憂慮し、
個人の成長と発達には、保健医療・早期の介入プログラム・インクルーシブな教育への十分なアクセス、ならびに適切な研究が不可欠であることを想起し、
本来の尊厳、社会の福利とコミュニティの多様性の推進者としての知的障害者の価値あるかつ貴重な貢献、および、その独自の選択をする自由を含む個人の自主性と独立の重要性を認識し、
1. 3月21日を「世界ダウン症デー」に指定し、これを2012年から毎年、記念することを決定する。
2. すべての加盟国、国連システムの関係機関その他の国際機関、ならびに、NGOおよび民間セクターを含む市民社会に対し、ダウン症に対する世論の認識を高めるため、「世界ダウン症の日」を適切に記念するよう働きかける。
3. 加盟国に対し家庭レベルを含む社会全体で、ダウン症の人に対する認識の向上を図る措置を講じるよう促す。
4. 事務総長に対し、本決議について、すべての加盟国および国連機関の注意を喚起するよう要請する。
第89回本会議 2011年12月19日
<4月2日「世界自閉症啓発デー」の国連決議文を参考に、(財)日本ダウン症協会広報出版委員会国際情報担当が翻訳>
日本ダウン症協会が翻訳した、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長からのお祝いのメッセージと、2011年12月19日の国連総会の全体会議での決議文の全文を掲載します。
《国連事務総長より「世界ダウン症の日」へのメッセージ》
今日は、「世界ダウン症の日」の第1回目の記念日です。この日を実現させるべくたゆみなくそして熱意をもって活動してきた各国政府、活動家の皆様、ご家族の皆様、専門家の皆様、そのほかの皆様の国際的なパートナーシップに対してお祝いを申し上げます。
ずっと長い間、子どもたちを含めたダウン症のある人々は、社会の片隅に追いやられてきました。多くの国々では、今でも彼らが彼らのコミュニティーに参加することを阻む汚名や差別、法律や態度、環境の壁に直面しています。
差別は、強制された不妊のごとくあからさまに不快なものでありえると同時に、物理的および社会的な手段による分離と孤立化のごとく微妙なものでもありえます。ダウン症のある人々は、しばしば、法の前に平等に承認される権利、選挙権や被選挙権を与えられないことがあります。知的障害は、ダウン症のある人々が自由を奪われ、特殊施設に時には一生入れられる正当な根拠であると見られてもきました。
多くの国々では、知的障害のある少年少女は、普通学級での教育への十分なアクセスがありません。ダウン症のある子どもたちは他の子どもたちの教育を妨げるという偏見のために、我が子を特殊学校へ入れたり、家に置いたりする親ごさんもいます。しかし、調査によれば、そしてより多くの人が理解し始めていることですが、学級における多様性がすべての子どもたちのためになる学びと理解を促すことになるのです。
国連は何十年にもわたって、すべての人の幸福と人権を守るために活動してきました。この努力は、2006年に障害者の権利条約を採択することによって強化されることとなりました。この条約は、「障害のある人々はもはや慈善や福祉の対象ではなく、かれら自身の権利において社会に多大に貢献できる、平等な権利をもつ尊厳ある人々なのだ」というパラダイムシフトを具体的に示しています。
今日この日、ダウン症のある人々は、すべての人権と根本的自由を十分にかつ効果的に享受する権利があるのだということを再び断言しようではありませんか。ダウン症のある子どもたちや人たちが、他の人々と同じように、かれらの社会の発展と生活に十分に参加できるよう、我々一人ひとりが役割を果たそうではありませんか。すべての人々を包み込む社会を築こうではありませんか。
第8代国連事務総長 潘基文(パン・ギムン)
《3月21日「世界ダウン症の日」に関する国連決議文》
総会により採択された決議<第3委員会の報告(A/66/462/Add.1)に基づく>
66/149 世界ダウン症の日
国連総会は、
2005年の世界サミット最終文書および国連ミレニアム宣言、ならびに、経済・社会および関連分野に関する主要な国連会議およびサミットの成果を想起し、
また、障害をもつ人が、他の人々と平等な人権と基本的自由の全面的享受はもとより、尊厳を確保し、自立を促進し、かつ、そのコミュニティへの積極的な参加を容易にする条件の中で、充実した人間らしい生活を享受すべきとし、また、国家が、社会全体において障害者についての認識を高めるために迅速、効果的かつ適切な手段を責任もって講じることとした「障害者の権利に関する条約」も想起し、
すべての障害者のあらゆる人権および基本的自由の全面的実現を確保、促進することは、国際的に合意された開発目標の達成に欠かせないことを確認し、
ダウン症は、人間に常に起こってきた自然発生の染色体配列であり、人種、性別、社会経済的地位を問わず普遍的に存在し、全世界においておよそ800人に1人の割合で生まれ、知的障害と医療的な併発症を引き起こすものであるということを意識し、
世界のあらゆる地域でダウン症が広がり、高い罹患率に達していること、ならびに、その結果として、各国政府、非政府組織(NGO)および民間セクターが実施する長期的な保健医療、教育、訓練および介入プログラムを発展させるという課題があること、また家族やコミュニティ、社会に深刻な影響が及んでい
ることを深く憂慮し、
個人の成長と発達には、保健医療・早期の介入プログラム・インクルーシブな教育への十分なアクセス、ならびに適切な研究が不可欠であることを想起し、
本来の尊厳、社会の福利とコミュニティの多様性の推進者としての知的障害者の価値あるかつ貴重な貢献、および、その独自の選択をする自由を含む個人の自主性と独立の重要性を認識し、
1. 3月21日を「世界ダウン症デー」に指定し、これを2012年から毎年、記念することを決定する。
2. すべての加盟国、国連システムの関係機関その他の国際機関、ならびに、NGOおよび民間セクターを含む市民社会に対し、ダウン症に対する世論の認識を高めるため、「世界ダウン症の日」を適切に記念するよう働きかける。
3. 加盟国に対し家庭レベルを含む社会全体で、ダウン症の人に対する認識の向上を図る措置を講じるよう促す。
4. 事務総長に対し、本決議について、すべての加盟国および国連機関の注意を喚起するよう要請する。
第89回本会議 2011年12月19日
<4月2日「世界自閉症啓発デー」の国連決議文を参考に、(財)日本ダウン症協会広報出版委員会国際情報担当が翻訳>
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