この作品は1996年に単行本として刊行されました。
並木さんという富士山の強力体験した21年間を描いたものです。
そして,「文庫版のあとがき」に記載されていますが,「山好きの若者でさえ,強力の存在を知らない時代になりました」というヤマケイの編集者の荻原氏の言葉からこの作品の文庫化が決まったそうです。
ブックカバーの折り返しには以下のように概要が記載されています。
「斜面はアイスバーンと化し、人を軽々と吹き飛ばすほどの烈風吹き荒れる冬の富士山。その頂にある富士山頂測候所で生活する人々のために、30キロの荷物を背負い、21年間、400回以上、厳寒の富士を登り続けた富士山最後の強力、並木宗二郎。長女が全盲になるという難病と夫婦一緒に闘い、それに疲れ果てた妻が入院、そして自殺……。幼い三人の子供を男手一つで育てながら、危険と隣り合わせの厳冬の富士山で闘い続けた並木宗二郎の生涯を、ノンフィクション作家・井ノ部康之が描く。」
冬の富士山はエベレストよりも厳しい環境になると言われていますが,その厳しい自然と対峙して30Kgもの物資を担ぎ上げていた強力について,改めてその存在に偉大なるものを感じました。
そして,並木さんの相棒だった一人に偉大な登山家の山野井さんが登場します。
また,富士山はオーバーツーリズムとして問題が提起されていますが,並木さんはそのことにも触れています。
彼は,「自分もブルドーザーで登山道を整備してきた。富士山の顔に傷をつけてきたのだから,環境を破壊してきたのかもしれない。」とも語っています。
そうした彼の思いも併せて,ぜひ若い人に読んでいただきたい作品です。
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