「ご主人様、賭博、負けない。私、待つ、です。いつも通り、です。」
自分で決めたルールをいくつも破ってきた。
ギャンブルをするためにたくさん嘘をついてきたが、自分自身に課したはずの賭け事に関する取り決めも反故にし、自分自身にも嘘をつきながらギャンブルをしていた。
はじめは決めた金額の範囲でギャンブルをやろうとしていた。馬券もメインレースの大きなレースしか買わないようにと決めていた。それが、いつからか、自分の予想に自信のあるレースに範囲が広がり、金額も決めた金額から財布の中身全部に変わっていた。
そして、気が付けば週末の全レースが購入範囲に広がり、資金は財布から銀行口座に手を出した。最後は口座に大きな数字の前に-という記号がつくようになっていた。
自分自身に課したルールを今日だけは破っても良いだろう、勝った今日はルールを破ったことにはならないはずだなどと自分に言い聞かせながら、気が付いたら、どれが自分に課したルールなのかわからなくなくなった上、ルールなど最初から存在しないことになっていた。
身内や他人にさんざんの嘘をついてきたが、自分自身にまで嘘をつき続けて自分自身を見失ってしまっていた自分。
ギャンブルを止めて(決して辞めるではない)約1年、平常を取り戻しつつある今、願いはただ一つ。
「あの頃の自分には戻りたくない」
そのために、今、必死でギャンブルを止めている。次の1回のギャンブルに手を出さないために…。
さて、今回は、ギャンブルで問題を解決するライトノベル『賭博師は祈らない ②』の感想を書いていきたいと思います。
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正直、私は今巻につきましては、読んでいて消化不良感が半端ないです。
前巻の主人公がギャンブルで登場人物を救うというものであることに変わりないのですが、私がギャンブル依存で苦しんだ経験から主人公を重ねてしまうからなのかわかりませんが、この作品の主人公にはいつまでもペニーカインドの本質は変えて欲しくないなと潜在的に思っているからかもしれませんが、私にとってはやや不満が多い巻だったなというのが全体の感想です。
1.奴隷少女リーラ視点がある
前回の①ではなかったと思うのですが、今巻ではリーラ視点で描かれる場面があります。
①では読者は主人公と同じで、リーラが何を考えているのかというのは主人公を通してしかほぼわからず、うれしい感情や恥ずかしい感情は彼女の行動でしかわからないようになっていました。
今巻では、リーラのしっかりとした考えや葛藤をリーラ視点で描かれている場面がありますので、こんな風に考えているのかとか、こういう風に行動したいんだというリーラの心情がよりわかりやすくなっているのではないかと思います。
私自身、声を出すことのできないリーラがどんなことを考えているのかは興味があったのでこの点は良かったのではないかと思います。
2.ギャンブルシーンに熱いものがあまりないですが、相手よりも優位に戦う工夫は常にしている
今回主人公がするギャンブルはチェスとラフル(日本でいうチンチロみたいなもの?)です。
チェスに関しては、インターネットな情報通達手段が少ない時代のイギリスという設定をうまく生かしている印象があり、読んでいて「技あり!」という感じでした。
ラフルも相手の土俵に立たせているように見えて自分の土俵に立たせている点や勝って相手がいちゃもんをつけてきたときの保険も正当な手続きを経た上で準備もしているというあたりはさすがに賭博師という感じはしました。
正直、はらはらドキドキの緊迫したギャンブルシーンというが少ないのは①同様という感じですし、運要素も少ないのですが、どういう仕掛けを考えて主人公がギャンブルをしているのかを考えながら読むのは面白かったです。
個人的にはラフルの描写は前回よりも熱いギャンブルしているなという感じがしました。ただ、それは、前回とは違い明確な悪い奴を懲らしめるという大義名分があったからかもしれませんが。
3.「負けない」、「勝たない」、「祈らない」を破る理由があったのかと思うシーン、伏線?の未回収など
リーラを助けたために、賭場に行きづらくなったラザルスは帝都からしばらく離れることになったわけですが、その道中でもギャンブルをすることになります。
それこそ、今回も遊びでのギャンブルや人助けのギャンブルをするわけですが…
付き合いの長くない人たちとのギャンブルと自分に言い聞かせながら、不用意に信念を曲げていくことが多々あります。
しかも、信念を曲げてまで勝たないといけない理由が特になかったり、別の方法で信念を曲げずに折り合いをつけるという方法もあるにも関わらずです。
ギャンブル依存症の私の経験上、必要のない限りルールを曲げてギャンブルをしないということがギャンブラーの資質として必要なものだと思っています。
もしかすると、この信念を曲げてまでギャンブルをすることに後々まずいことが起こるというような展開が待っているのかもしれませんが、ラザルスを賭博師としてのヒーローとして見るにはやや今回の不用意なギャンブルについては不満が個人的にはあります。
それと、いろいろと伏線が回収されていない箇所(旅先で世話になる屋敷でボヤ騒ぎがあったことなどの主に世話になる主関連で)などがあるので、読後は???な部分も私の読み方が甘かったのかもわかりませんが、思うところは結構あります。
と、個人的には、ギャンブルシーンは前回よりも面白く感じましたし、リーラがどういう風に考えているのかなどリーラ視点が挿入されているというのも好きです。
ただ、主人公自身の行動はストーリーだからとはいえ信念を容易に変えて行動していく辺りは、後の伏線になっているかもしれないですが、私としては好きではないなと思いました。
でも、次も気になるので読むと思います。
自分で決めたルールをいくつも破ってきた。
ギャンブルをするためにたくさん嘘をついてきたが、自分自身に課したはずの賭け事に関する取り決めも反故にし、自分自身にも嘘をつきながらギャンブルをしていた。
はじめは決めた金額の範囲でギャンブルをやろうとしていた。馬券もメインレースの大きなレースしか買わないようにと決めていた。それが、いつからか、自分の予想に自信のあるレースに範囲が広がり、金額も決めた金額から財布の中身全部に変わっていた。
そして、気が付けば週末の全レースが購入範囲に広がり、資金は財布から銀行口座に手を出した。最後は口座に大きな数字の前に-という記号がつくようになっていた。
自分自身に課したルールを今日だけは破っても良いだろう、勝った今日はルールを破ったことにはならないはずだなどと自分に言い聞かせながら、気が付いたら、どれが自分に課したルールなのかわからなくなくなった上、ルールなど最初から存在しないことになっていた。
身内や他人にさんざんの嘘をついてきたが、自分自身にまで嘘をつき続けて自分自身を見失ってしまっていた自分。
ギャンブルを止めて(決して辞めるではない)約1年、平常を取り戻しつつある今、願いはただ一つ。
「あの頃の自分には戻りたくない」
そのために、今、必死でギャンブルを止めている。次の1回のギャンブルに手を出さないために…。
さて、今回は、ギャンブルで問題を解決するライトノベル『賭博師は祈らない ②』の感想を書いていきたいと思います。
賭博師は祈らない(2) (電撃文庫) | |
周藤 蓮 | |
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス |
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正直、私は今巻につきましては、読んでいて消化不良感が半端ないです。
前巻の主人公がギャンブルで登場人物を救うというものであることに変わりないのですが、私がギャンブル依存で苦しんだ経験から主人公を重ねてしまうからなのかわかりませんが、この作品の主人公にはいつまでもペニーカインドの本質は変えて欲しくないなと潜在的に思っているからかもしれませんが、私にとってはやや不満が多い巻だったなというのが全体の感想です。
1.奴隷少女リーラ視点がある
前回の①ではなかったと思うのですが、今巻ではリーラ視点で描かれる場面があります。
①では読者は主人公と同じで、リーラが何を考えているのかというのは主人公を通してしかほぼわからず、うれしい感情や恥ずかしい感情は彼女の行動でしかわからないようになっていました。
今巻では、リーラのしっかりとした考えや葛藤をリーラ視点で描かれている場面がありますので、こんな風に考えているのかとか、こういう風に行動したいんだというリーラの心情がよりわかりやすくなっているのではないかと思います。
私自身、声を出すことのできないリーラがどんなことを考えているのかは興味があったのでこの点は良かったのではないかと思います。
2.ギャンブルシーンに熱いものがあまりないですが、相手よりも優位に戦う工夫は常にしている
今回主人公がするギャンブルはチェスとラフル(日本でいうチンチロみたいなもの?)です。
チェスに関しては、インターネットな情報通達手段が少ない時代のイギリスという設定をうまく生かしている印象があり、読んでいて「技あり!」という感じでした。
ラフルも相手の土俵に立たせているように見えて自分の土俵に立たせている点や勝って相手がいちゃもんをつけてきたときの保険も正当な手続きを経た上で準備もしているというあたりはさすがに賭博師という感じはしました。
正直、はらはらドキドキの緊迫したギャンブルシーンというが少ないのは①同様という感じですし、運要素も少ないのですが、どういう仕掛けを考えて主人公がギャンブルをしているのかを考えながら読むのは面白かったです。
個人的にはラフルの描写は前回よりも熱いギャンブルしているなという感じがしました。ただ、それは、前回とは違い明確な悪い奴を懲らしめるという大義名分があったからかもしれませんが。
3.「負けない」、「勝たない」、「祈らない」を破る理由があったのかと思うシーン、伏線?の未回収など
リーラを助けたために、賭場に行きづらくなったラザルスは帝都からしばらく離れることになったわけですが、その道中でもギャンブルをすることになります。
それこそ、今回も遊びでのギャンブルや人助けのギャンブルをするわけですが…
付き合いの長くない人たちとのギャンブルと自分に言い聞かせながら、不用意に信念を曲げていくことが多々あります。
しかも、信念を曲げてまで勝たないといけない理由が特になかったり、別の方法で信念を曲げずに折り合いをつけるという方法もあるにも関わらずです。
ギャンブル依存症の私の経験上、必要のない限りルールを曲げてギャンブルをしないということがギャンブラーの資質として必要なものだと思っています。
もしかすると、この信念を曲げてまでギャンブルをすることに後々まずいことが起こるというような展開が待っているのかもしれませんが、ラザルスを賭博師としてのヒーローとして見るにはやや今回の不用意なギャンブルについては不満が個人的にはあります。
それと、いろいろと伏線が回収されていない箇所(旅先で世話になる屋敷でボヤ騒ぎがあったことなどの主に世話になる主関連で)などがあるので、読後は???な部分も私の読み方が甘かったのかもわかりませんが、思うところは結構あります。
と、個人的には、ギャンブルシーンは前回よりも面白く感じましたし、リーラがどういう風に考えているのかなどリーラ視点が挿入されているというのも好きです。
ただ、主人公自身の行動はストーリーだからとはいえ信念を容易に変えて行動していく辺りは、後の伏線になっているかもしれないですが、私としては好きではないなと思いました。
でも、次も気になるので読むと思います。