八戸の事故など、大型トラックの「タイヤ外れ」事故が増えて
いる。国交省は「増し締め」を通達しているが、これは本質的な
対策ではない。脱輪の94%が左後輪であることが問題である。
左側の車輪は当たり前だが進むときは左に回転する。左に回転
するものを止めるボルト(ネジ)は左ネジが原則で、緩みにくい
からである。日本でも左車輪は左ネジだった。
しかし、左右のネジの取り違えなどを理由に大型トラックとバス
の国際標準(ISO)が右ネジだけに統一されたのである。国際規格
ISOは絶対であり日本もそれに倣った。
左側通行の日本では左折半径が小さくなること、また道路の勾配で
左車輪に右車輪よりも荷重が多くかかるという「現実」がある。
点検や増し締めが「頻繁に」行われるとすれば脱輪事故は防げる
だろう。しかし、そうは行かないのが「現実」で、ミスを犯すのが
人間、手を抜くのが人間。
以前にもここで書いたが、脱輪で事故が大きくなる大型トラック
やバスこそ、「左車輪には左ネジ」を復活させるべきである。
工業技術博物館の見学記(その4)。大きな体育館ほどの広さ
の博物館にある300近い工作機械。産業機械を生み出す機械という
意味で「マザーマシン」と言われる。
この日本工業大学にある博物館に展示される工作機械の70%が
動く(動態保存)という。壊れたり一部部品がないものも復元して
動くようにしてしまう職員や学生がいる。これが「実工学教育」と
自慢する所以である。
博物館の右奥を占める展示物は「ガスタービンエンジン」の現物
で長さ21メートル、重量500トンと圧巻である。
昭和62年(1987)、国家プロジェクト「ムーンライト計画」で
開発された「高効率レヒートガスタービン」は、東京電力袖ヶ浦
発電所に設置され出力10万KW、総合効率50%という世界一(当時)
の性能を誇った。
最初にガスタービン(エンジン)の仕組みである。タービンから
の軸出力で発電機を回す。タービンからの排気を推力とするのが
航空機のジェットエンジンである。
レトロな工作機械の奥でこれを見た時は大きなポンプと思った。
しかし、階段を上がると、オー・ワンダフル!
これが空気圧縮部
これが燃焼ガスによるターボファン部で空気圧縮部と共に
超精密な機械加工の賜物である。
階段を降りたところに航空機のジェットエンジンが置かれる。
発電用のものをグッとコンパクトにした感じである。
航空機用のジェットエンジンは同じ重さの銀の価格と同じと
昔見学した全日空の整備工場で聞いた。エンジンは5トンだった。
今日の銀相場は130円/g、さてエンジン価格はいくらになるか。
次回、「工業技術博物館」の見学記最終回である。