坂東三十三ヶ所観音巡りは、西國三十三ヶ所巡りに倣い、
源頼朝が発願したと言われる。定年で京都勤務から関東に
戻ってから巡り始め、残り十二山となっている。
千葉、茨城、栃木それぞれ四山で、この秋は千葉の四山
とし、まず遠い方の清水寺、笠森寺を計画。外房線の時刻
を調べていると「上総一ノ宮」という駅がある。
駅近くの「玉前(タマサキ)神社」が上総一ノ宮で、知った
からには行かにゃなるまい。二山一社の回り方をいろいろ
と検討し、まず上総一ノ宮からとした。
外房線の茂原を過ぎて上総一ノ宮に着く。細い月を眺め
た早朝の三郷から1時間半と意外に近い。駅舎は平屋ながら
グレーの屋根と紺、薄紫の「粋」なデザインである。
後で知るが、今年6月にリニューアルされたらしい。
一緒に降りた高校生たちと同じ方向、駅から北西への道
を歩くと広い歩道が目立つ。左折して国道128号を渡ると
正面に上総一ノ宮の鳥居が立つ。
石の二の鳥居の先に社殿はなく、右に曲がった三の鳥居
正面に拝殿が覗く。手水を終えた御婦人が境内に向かう。
コロナ禍の時代、手水所は蓋がされ手前に流水式で仮設
される。さすが一ノ宮、大きくはないが威厳のある入母屋
権現造り。由緒などこの札で充分。江戸初期の造営とな。
右手の神楽殿前では菊花展。脇から社殿の裏側へ廻る。
拝殿と幣殿で繋がる本殿は珍しい桁入り。おや、千木も
鰹木もないが由緒の通り主祭神は「女神」である。
十二もある境内末社は合祀され祠は一つ。境内にはイヌマキ
の巨木が多いという。
拝殿脇に桜の開花宣言の「歴史」。数字を見ると計算
したくなるのが癖。平均は24~25日くらいである。
大銀杏、さざれ石、芭蕉句碑などが配置される、さして
広くはない境内をゆっくりと散策して駅に向かう。次回は
三十三ヶ所巡りの本番、三十一番の笠森観音である。