日本や欧米各国の植民地化攻勢の前に混迷を続ける清朝の
末期を描く浅田次郎の一大シリーズ四部作。蒼穹の昴、珍妃
の井戸、中原の虹に続く最終は「マンチュリアン・レポート」。
マンチュリアンとは耳慣れない言葉だが「満州の、満州人」
を意味する英語である。よって、直訳すれば「満州報告書」
となる。
然らば、誰による誰に対する、そして何の報告書なのか。
上の表紙絵から想像出来るかも知れない。
陸軍歩兵第一連隊の陸軍中尉、志津邦陽は国会で紛糾中の
治安維持法改悪への意見書を書いて軍法会議にかけられ禁固
六ヶ月の判決で服役中。世に放てば却って有害と軍人のまゝの
禁固刑である。
ある夜半「十八号、出房だ」と言ったのはいつもの看守では
なく看守長と監獄長。後ろ手に目隠しをされ獄舎からひっそり
と車で連れ出される。てっきり極秘に「消される」と感じた。
しかし、連れて行かれた先は・・・。
昨夜から読み始めたこの「マンチュリアン・レポート」は、
珍紀の井戸と同じく全一巻。就寝前の枕読みでも十日ほどで
読み終わるだろう。
新しい橋の工事現場近く、江戸川の土手に初春の風物詩の
菜の花が咲き出した。その若葉を摘む人もいる。
やがて約2キロほど一面に咲いて目を楽しませてくれるが、
今年は立札に「除草」すると書かれる。
開花後の菜の花の根は大根の様に肥大化し土手を弱くする。
その上、腐った根を食べるミミズが繁殖、それを食べるモグラ
も増えて益々土手がフカフカになるという。
そのため今月か来月に1回、「住民の安全のため」除草する
というものだ。ま、開花後なら是としよう。