現代ならチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃネー」と
叱られるに違いない「浮浪雲」。女物の着物をだらしなく
羽織り、ひねもす浮雲を眺めながらボーっと暮らす旗本。
しかし、不正義なことは大嫌い。いざとなれば剣が立ち、
周りには気が付かれることなく成敗してしまう。
映画やドラマにもなった「浮浪雲」の原作は漫画である。
その作者の「ジョージ秋山」が七十七歳で亡くなった。私と
四つしか違わないのは驚きである。
浮浪雲は社会人になった頃、「ビックコミック」で愛読
していたが、成敗の後でポツリという一言が良かった。つい
最近まで四十四年間、千話以上も続いていたという。
浮浪雲も好きだったが、その少し前の少年漫画誌に連載され
ていた「アシュラ」や「銭ゲバ」の方が、印象的というか
衝撃であった。
それぞれ平安時代、近代と時は違うが、共に不幸な生い
立ちの下、社会の底辺を這いずりながら生きる主人公の、
凄惨な生き様の描写は社会的にも問題になったほど。
特にアシュラの人肉食などの描写は一部で「有害図書」
に指定された。また、銭ゲバの「ゲバ」は当時の大学闘争、
反安保闘争の「ゲバルト」から来ている。
しかし、われ思う。現代の格差社会に起こる数々の異常な、
猟奇的とも思える事件、そして「銭」を巡る多くの事件や
犯罪を鑑みるに、世の中の本質はちっとも変っていない。
ジョージ秋山は、今も昔も世の中は一皮剥けばこんなにも
凄惨なんだと看破していたのかもしれない。わが青春時代に
「強烈な」社会イメージを見せてくれた彼に、合掌。
さて、昨日6月1日は、気象観測の日、電波の日と共に
写真の日でもあった。
日本写真協会によれば、天保12年(1842)の6月1日に、
島津斉彬を銀板で撮ったのが日本で最初の写真とされ、昭和
26年に写真の日に制定された。
しかし、その後、安政4年(1857)の9月に島津斉彬を
撮ったのが日本初と訂正されたが、それでもの記念日はその
ままとされたらしい。
その写真、デジタル時代になってカメラが小型になり、
私の散歩にも同行するようになった。
いた。