今年も押し詰まり、明日は御用納め。そんな時に相応しくない話題
だが、江戸時代の「死刑」について。
新聞土曜版に連載中の小説「暦のしずく」(沢木耕太郎)で歴史上
唯一、その芸のために死刑となった芸人、講釈師の馬場文耕に、南町
奉行土屋越前守が言い渡した判決は、
「不届至極に付き、見懲らしめ之為、町中引き廻しの上、
浅草に於いて獄門申付ける」
八代将軍吉宗が整備させたという「公事方御定書」によれば江戸時代
の死刑の種類は犯罪によって次の八つがあった。
1.鋸引(ノコギリビキ) 実際には首を鋸で引くことはなく、穴を掘って
横に鋸を置いて二日間首を晒した後、刑場で磔
2.磔(ハリツケ) 牢屋敷から刑場に引き出し磔
3.火罪 放火犯だけに行われた刑、刑場まで引き廻してから磔にして
火あぶり
4.獄門、5.死罪、6下手人 いずれも刑場には引き出されず牢屋敷
の中で首を斬り落とされることは共通だが、その後に差がある
獄門 切り落とされた首が刑場に二晩三日晒される
死罪 首が晒されることはないが胴体などは試し斬りに使われる
下手人 同じく首が晒されることはなく試し斬りにも使われない
7.斬罪、8、切腹は武士だけのもの、読んで字の如し
獄門には市中引き廻しが加わることが多かったというから、死刑の中
でも重いのもだったようだ。
現代の日本において後を絶たない政治家や権力者の金まみれの不祥事。
いずれも露見の折には「獄門」が待つ、ということにしたら如何。
懐古シリーズ、多摩川(2012~13年)の中流風景