今日、大晦日は「金銭なしでは越せない峠」と井原西鶴
が「世間胸算用」で言った。(今朝の「天声人語」)
江戸時代は上から下まで、まさに一年の総決算の日。
私の総決算は、司馬遼太郎の大作「峠」を、年末ぎりぎり
に読み切ったこと。二段組で700頁を越す長編である。
図書館の貸し出しを延長しても読み切れず、上・中・下と
三分冊の文庫本の「下」だけを買って読み切った。何せ、
ハードカバーの新装本は4,000円以上もする。
戊辰戦争で最も激烈だった北越戦争に敗れ、会津に
敗走する途中、膝に銃撃を受けた河井継之助は担架に
載せられていた。長岡藩上席家老で総大将である。
「八十里こしぬけ侍が越す峠」と、四里が八十里にも
思えるという険しい八十里峠を越えながら詠んだ。
混乱の幕末、先を読む目は薩長よりも鋭かった。
世が世なら、越後長岡藩家老の跡取りとして生まれて
いなかったら、河井継之助は間違いなく近代日本を
背負って立った男に違いない。
年明け、じっくりと紹介しよう。
これが図書館のハードカバーの表紙である。