じんべえ時悠帖Ⅱ

4.25 責任追及は横に置く

 臨時の駐車場でタクシーを降り、道を挟んだマンションに

向かう。9階建てのマンションの名は「エフュージョン尼崎」。

 そのマンションの足元の沿道では、黒いスーツに社名入りの

腕章を巻いた記者とカメラマンの一群が待ち構えている。

 脚立の上からカメラを構える者、ICレコーダーを向けて

くる者。何ごとか呼びかける声も聞こえるが、どこを向いて

どんな顔をしていればよいのかわからない。

 私の視線は自然と、前を歩く彼の背中に定まる。

 

 これは、松本創「軌道」(東洋経済 2018年1月初版)の冒頭

である(多少縮めてある)。

 「彼」とは、JR福知山線脱線事故で妻と妹を失い、

愛娘も瀕死の重傷を負った、浅野弥三一(ヤサカズ)。事故後

一ヶ月半で発足した遺族会「4.25ネットワーク」の世話人

となった。

 「私」とはこの本の筆者、当時は神戸新聞記者の松本創。

上の場面は4年前の今日、4月25日。あの事故から11年目

の追悼式へ向かうところである。

 浅野は、事故の翌年にJR西日本の社長になった山崎正夫

に、「責任追及は横に置く。一緒に事故の原因解明と対策を

考えて、JR西を安全体質にしないか」と、前代未聞の遺族

と加害企業協同の「課題検討会」を実現させたのだった。

 この本のエッセンスを次回から少しずつ紹介していこう。

ブックカバーを広げて

 

 さて、越県して歩いた江戸川の千葉県流山市側。迂回して

土手を下り、新しい橋の橋台工事現場へ向かう。

 「玉掛」は重量物をクレーンで吊る際にワイヤーなどを

掛ける作業。5トン以上の玉掛には資格が要る。台付けの

実習や、不定形の荷物の重心を当てる試験もある。

 余談になるが、学生時代に鋼材倉庫でアルバイトした。

3トンほどの細い鋼管の束をトラックの荷台に積み込む

作業で「荷崩れを事故」を起こしたことがある。

 幸い怪我人は出なかったが、原因は玉掛の重心がずれて

いたこと。地切り(少し吊ってみること)して少しバランスが

悪いことに気付いたが、そのまま吊り上げたのが失敗。

 この失敗は、社会人になって大いに役立った。

長いブームを仕舞い終えた80トンクレーン

 次回は、街中の橋台工事の様子である。

 


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コメント一覧

jinbei1947
この橋台の位置は交通量の多い通りに近いので安全表示が派手です。
昨日貼り忘れた「3D説明」を今日のブログで追加しますが、
これも近隣対策でしょうね。
ykoma1949
玉掛け、意外と難しい資格で、何度
講習しても・・事故の尽きない玉掛け
天候や気温や湿度によっても微妙に
違ったり、フックの種類によっても
微妙に変わります。 全ては経験が・・
沢山経験したベテランには叶いません
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