「善光寺と北国街道」の最終回。長野えびす講発祥の西宮神社の先で
北国街道を一旦離れて善光寺境内に向かうと仁王門の裏手に出る。
この道は高校の3年間、毎日々々自転車で通った道。長野県庁東門前
の自宅から約4キロの通学路のほゞ中間点。県(アガタ)町から桜枝町と
続いた急坂が終わり善光寺の境内を横切る道は一息つけるところだった。
十数年前に平成の大修理が終わった重要文化財の山門、日本で三番目に
大きい木造建築の本堂はもちろん国宝。「遠くても一度は詣れ」。
本堂脇から城山公園方面への道脇には句碑が並ぶ。小林一茶の二句、
春風や牛に引かれて善光寺
開帳に逢うや雀も親子連
は善光寺への奉納句。
城山公園への入口、ここを左へ1キロちょっとで母校の高校である。
正面の当時はなかった県立美術館(信濃美術館)には東山魁夷の絵画など
が展示される。その「静映」を長野駅コンコースのレプリカで。
北国街道へ戻るため事務局(社務所)前を通り鐘楼脇を南下する。
ちょっと前に10時の鐘が突かれた。珍しい六本脚は南無阿弥陀仏の
六文字に由来。
宿坊通りを突き当たると北国街道に戻る仁王門裏の道。門前町には
どこも薬屋が多い。「雲切目薬」は白内障用であろうか。
北国街道に戻ると一気に下る。このあたりは「善光寺下」。長野駅が
標高362m、善光寺の山門あたりが402mだから、参道1キロ半で40mも
上ったことになる。下り切った先で斜め左へ向かう。
三輪七・八丁目の交差点。北国街道は直進。左へ上って行くと母校
の高校。右へ下ると長野駅方向。かなりの急坂である。
その長野駅方向、すぐ下の交差点を今は地下鉄になった長野電鉄が
地上を走っていた。その跡が長野大通りとなって長野駅前に出る広く
賑やかな通りとなった。
いかにも旧街道らしい狭い道を進む。善光寺の境内から降り始めていた
小雨が強くなる。まだ11時前、午後から雨の予報だったが早まったようだ。
強くなっても上がることはないだろうと、長野電鉄本郷駅に近い次の三輪
八・九丁目交差点でゴールとする。
本郷駅までは地上駅、次の善光寺下駅から長野駅までは地下鉄となる。
長野駅前の東急で「おふくろの味」蒸しタイプの「おやき」を探す。
駅ビルの西澤餅店が撤退してしまいパン(焼き)タイプの店しかなく
なった。
広い地下の食料品売り場、洋菓子店の店員がおやき屋さん(栄泉堂)
まで案内してくれる。親切な街である。
「善光寺と北国街道」のシリーズを終わる。