インディアン・エクスプレス(インド)「対中認識、大きく変化」と苦言 日米との連携深化の可能性に言及
2017.8.14 09:00 産経新聞
昨年10月、新興5カ国(BRICS)首脳会議に同席したインドのモディ首相(左)と中国の習近平国家主席。「一帯一路」構想をめぐり、両国関係は悪化の一途をたどる
中国とブータン、インドが国境を接するドクラム高地で、中国とインドの軍隊が対峙(たいじ)し、膠着(こうちゃく)状態に陥ってから
約2カ月になる。インド紙インディアン・エクスプレスは「インドの中国に対する認識を大きく変えた」と中国の横暴ぶりを批判。
これに対し、中国紙は「インド軍の無条件撤退が先だ」と強気を崩さない。
一方、米紙は「双方は外交的解決策を探している」と冷静に分析する。
インド、中国、ブータンの3カ国境界付近でのインド、中国両国軍の対立について、印シンクタンク、カーネギー・インドの
C・ラジャ・モハン所長は、8日付のインド紙インディアン・エクスプレスへの寄稿で、「(境界付近の)ドクラムでの最終的な結末が
どうなろうと、現在の膠着状態はインドの中国に対する認識を大きく変えることになる」と中国に警告を発した。
「まず、この30年以上で築かれてきたインドの中国への政治的な好意は今後、維持することがますます難しくなる。
次に、インドが長い間控えてきた中国の力と平衡を保つという考え方へと、突き進んでいくことが避けられないとみられる」からだ。
中国は1962年のインドとの国境紛争で、インドに打撃を与えた。「1970年代後半のバジパイ外相や80年代後半の
ラジブ・ガンジー首相ら当時の影響力がある人々は、中国に裏切られたとの思いを乗り越えるために、多くの果敢な行動を取った」。
こうした指導者は、対中関係正常化の必要性を理解していたものの、政治階級や官僚、軍部隊、治安機関が根強い抵抗を
克服するのに何年もかかったという。
インドの伝統の非同盟主義に批判的なモハン氏は、「中国が、妥協の余地がないと明白にするなら、インドは内外で中国の力と
均衡を保つ戦略に向かわなければならない。中国が意図していない結果の一つは、インドが中国の力への対処で、より戦略的に
思考しなければならなくなることだろう。
1世紀近い間、インド政府にあるアジアの団結についての感傷主義と反帝国主義が、中国とのより構造的な矛盾を覆い隠してきた。
中国政府の対応は、こうした幻想を葬り去る良い助けとなりうる」と、暗にインドが日米との連携をさらに深化させる可能性に
言及している。
高まる中印対立、インド軍が国境地域に兵士4万5000人増派
2017年8月13日(日) 21時10分 RecordChina
中印国境
2017年8月12日、RFI中国語版サイトは記事「インドが兵士4万5000人を増派、中印境界地帯は臨戦態勢に」を掲載した。
今年6月から始まった中印対立がさらに緊張の度合いを強めている。インドのシッキム州に隣接するドクラム高地に中国が軍用道路の
建設を開始したことからインド側も反発姿勢を強めた。
インドPTI通信によると、インド軍高官は、中国と隣接するアルナーチャル・プラデーシュ州とシッキム州に計4万5000人の兵士を
増派したと明らかにした。国境防衛のため、臨戦態勢にあるという。
インド英字紙インディア・トゥデイによると、中印両軍の幹部は11日、ナトゥ・ラ峠で会談を行った。中国側はドクラム高地からの
インド軍即時撤退を求めたが、インド側は中印両軍の同時撤退を主張。合意は得られなかった。