郭文貴氏、共産党の浸透工作を暴露。日本でも「藍金黄計画」を展開か
在米中国人政商の郭文貴氏は5日、米ワシントンにあるナショナル・プレス・クラブの
記者会見で、中国共産党の浸透政策について言及した。前日に予定されていた同氏の
トークイベントが直前、中止に追い込まれ、「北京政府からの圧力があった」と同氏は批判した。
今年54歳の郭文貴氏は山東省生まれで、中卒にもかかわらず国有企業の社員、家具販売などを
経て不動産事業に成功した。2014年には中国で発表される「胡潤百富榜」(フーゲワーフ長者番付)
で74位にランクインした。個人資産額は155億元(約2550億円)と推定されている。
習近平政権の反腐敗運動で後ろ盾の高官が失脚したため、当局の追究を恐れ、2014年に渡米し
そのまま滞在を続けている。保身のために共産党の腐敗を暴露していると言われているが、
信憑性を疑われる過激な発言が多い。
最近の発言は江沢民の息子が臓器移植を複数回受け、5人が彼のために命を落とした、
という内容だった。「この話は江氏の息子の逆鱗に触れたようだ」と同氏はイベント中止の
理由を述べた。
今回の出来事から、郭氏は「中国共産党の藍金黄計画がアメリカを蝕んでいる」と指摘する。
「藍金黄計画」とは、共産党が国外政府の幹部を丸め込む手段を指す。中国軍のサイバー部隊
「ネット藍軍」に由来した「藍」とは、メディアやインターネットを利用して宣伝・洗脳活動、
「金」とは金銭利益による誘惑、中国語ではポルノを意味する「黄」とはハニートラップのこと。
一部の米メディア、習氏の足を引っ張る論調
大紀元が入手した情報によると、江沢民時代に買収された米政府の幹部や中国問題専門家は、
今も江沢民派のために動いているという。
2015年2月、中央紀律検査委員会のサイトが、清の時代の汚職高官「慶親王」を批判する文章を
掲載した。これは前国家副主席・曾慶紅が念頭にあったものと言われている。
同じ時期に、ニューヨークタイムズは中国問題専門家デビット・シャンボー氏のインタビュー記事を
掲載した。同氏は、江沢民・曽慶紅路線が共産党を延命させることができるが、それに背離した
習近平路線は、共産党の崩壊を加速させると述べた。
翌年3月、同氏はウォールストリートジャーナルの記事で「習近平は権力闘争に敗北する可能性が
ある」と習氏の足を引っ張る論調に終始した。
VOAはシャンボー氏について、「中国寄りで、中国の政界で水を得た魚のごとく自由に動いている」
と描写した。
「藍金黄計画」は日本でも展開
近年、共産党機関紙の日本語版が急増している。新華社通信、人民日報、中国国際放送局などの
電子版は、相次ぎ日本語サイトを開設した。共産党政策の宣伝、中国賛美を中心としたニュースが
流されている。
また、中国ニュース専門のフォーカス・アジアは、新華経済株式会社という「日本」の企業が
運営しているとHPに記載されている。しかし、同社は設立当初、新華網の日本代理店として
ニュースを配信していた。その後、「新華通信ネットジャパン」「毎日中国経済」などの社名を
経て、現在に至った。同社の上級顧問は、日本新華僑通信社編集長・人民日報海外版日本月刊
編集長の蔣豊氏が務めている。その肩書きからでも分かるように、蔣豊氏は在東京中国大使館と
べったりの人物だ。
中国共産党の魔の手は日本政界にも浸透している。石原慎太郎元都知事は2004年3月、
産経新聞への寄稿文で「当時、東京在住の法輪功のメンバーからNPOとしての登録の申しこみが
都庁にあった際、在日の中国大使館から陰に陽に、自民党の大物議員まで動員しての牽制が
あったものだ」と述べている。議員の名前は明かされていないが、中国共産党の意向を受けて
動く議員の存在を証明する話だった。
また、サピオ2006年10月号の記事「蠢く!中国対日特務工作白書」(執筆者・袁翔鳴)に
「西日本選出で、大臣経験もある自民党の大物議員の妻が昨年、末期の肝臓ガンを患った。
ある中国人男性は議員会館を訪ね、中国の病院で肝臓移植を受けるよう勧めた。男性の斡旋で
中国軍の病院で無事に手術を終え、議員の妻は回復した」との記述があった。
記事の最後に「あの先生は、奥さんのことで中国に頭が上がらなくなったとささやかれている」
と書かれている。
共産党のハニートラップに引っかかった政治家も少なくない。もっとも有名なのは橋本龍太郎
元首相を籠絡した中国人女性通訳のケースだ。橋本氏と交流を持ちながら、中国へのODA増額などの
働きかけを行なっていた疑いが持たれているこの女性は、北京市公安局の情報工作員だったことが
判明している。
2016年1月、英国の諜報機関「MI6」が、中国の女性スパイによる「ハニー・トラップ」は
過激組織「イスラム国」(IS)よりも国家安全保障にとって重大な脅威だという報告を当時の
キャメロン首相に提出した。
中国共産党は「藍金黄計画」を通じて、海外で親中共勢力を拡大させている。
郭文貴氏は記者会見で「驚いたのはイベントの中止を説得しに来たのは中国人ではなく、
アメリカ人だった。なんと滑稽な話だ」とも口にした。
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<参考>
G20、ホテルの盗聴と「美女」に気をつけて 英首相が警告
英首相は、G20サミット期間中のハニートラップと盗聴器に警戒するよう、関係者に話していた。写真は2009年、北京で開かれた軍事パレードで行進する女性兵士
米オバマ大統領の到着時の非礼や、米補佐官と中国警察側との騒動で、不穏さをただよわせる
幕開けとなった中国杭州のG20サミット。
英テリーザ・メイ首相は、中国の美女を利用したハニートラップと、滞在するホテルの盗聴器に
警戒するよう、関係者に注意したという。英テレグラフが4日に報じた。
同紙によると、5月に新任するメイ首相とG20に同行した英当局の情報筋は、杭州滞在中、
誘惑して機密を盗み出そうとする現地の美女スパイに警戒するよう、注意を受けたという。
英国には過去、この被害を経験している。2008年、前ゴードン・ブラウン英首相が訪中時、
首相特別補佐官によると「中国の美女集団と、ロシアのブロンドの美女集団に声をかけられた」
という。そのなかの美女の一人とベッドをともにした英政府関係者は、薬物を投与され、
意識のないうちに携帯電話と多くの書類を盗まれた。
また情報筋は、杭州のホテルには、盗聴器や隠しカメラが仕掛けられていると考えている。
ほかにも、「中国側からいかなる贈り物も受け取らない」ことも警告に含まれた。
2月、オーストラリアの政治家は、中国のビジネス関係者から受け取った2500万円相当の
高級腕時計を送り返したことを明かした。盗聴目的だったのではないかと指摘されている。
メイ首相はG20開催期間中、中国の習近平首相と、中国が3割出資する英ヒンクリーポイント
原発計画について対談するとされる。英政府は5月、建設費が当初計画の4倍に膨れ上がったことと、
安全保障の懸念から、同計画の承認を遅らせた。
これについてフィナンシャル・タイムスは7月の社説で、もし原発計画がとん挫すれば、
「英中黄金時代は誇張であったことが示される。英中外交の後退と、他の中国とのビジネスを
危うくしかねない」と報じた。
2016年09月06日 06時00分 THE EPOCH TIMES