「パンダ虐待」動画が中国で拡散、物議醸す
-
2017年07月28日 BBC
中国の成都市にある有名なパンダ研究施設で、ジャイアントパンダの赤ちゃん2頭が虐待されているかのように見えるビデオをめぐり、
中国国内で激しい怒りの声が上がっている。
拡散されたビデオでは、職員が赤ちゃんを「引きずって振り回し」ているかのように見える。
動画を見た中国のネットユーザーたちは、動物虐待に当たるとして批判している。
しかしパンダ飼育係のグオ・ジンペンさんは、赤ちゃんパンダが暴力的だったと弁解した。
グオさんは中国国営の新華社通信に対し、餌やりの際に噛まれたが、そこはビデオに映っていないと説明した。
「赤ちゃんパンダが私の手を思いきり噛んだんです。歯が手の肉に刺さって、血が出てきました」と話し、
今も手に傷が残っていると加えた。
「また噛みつこうとしたので、とっさに押しのけました」
グオさんはまた、今週このビデオがオンライン上で拡散され、自分は誤解されたと感じていると話した。ビデオは今月録画された。
「オンラインのコミュニティは、私たちがパンダを大切にしていないと主張しています。でもこの生き物が大好きだからこそ、私たちはここ
にとどまり働くことを選んでいるんです」とグオさんは地元メディアに話した。
「私がパンダを『投げて』いるあの映像は、自然な反応だというのをはっきり伝えたいです」
グオさんの同僚は地元メディアに対し、ビデオが拡散されて以来、グオさんは施設から「批判され指導を受けた」と話した。
ジャイアントパンダは中国のシンボルと考えられており、政府に手厚く保護されている。
成都市にある公的なパンダ施設は、パンダ種の保護を専門としている。なおパンダは現在、絶滅危惧種ではなくなっている。
「パンダはかわいいけど狂暴にもなり得る」
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は、今回の「不適切」な出来事への対応として、たとえパンダが引っかいたり噛みついたりしても
パンダを「やさしく」扱うよう職員に命じた、と新華社通信は伝えている。
パンダの専門家ウー・コンジュさんは新華社通信に対し、「ビデオを最初に見た時、職員の反応は過剰だったと思った。パンダを傷つけ
るつもりではないにしても」と語った。
「みんな、パンダ飼育係にもっと理解を示してほしいです。ジャイアントパンダはかわいく見えても、とても力が強いし狂暴にもなり得ます
から」
しかしパンダを保護し熱狂的に愛する中国で、問題となった飼育係のパンダの扱いは物議を醸した。
中国版ツイッター「新浪微博(シナウェイボー)」では多くの人が、赤ちゃんパンダを乱暴に扱ったグオさんの退職を求めている。
中国の首都、北京在住のルー・ジェイインさんは、「彼の言い分などどうでもいい。パンダはまだ赤ちゃんなのに」と書いた。
「無防備なパンダを振り回している姿を見て、とても腹が立った。身の安全がそんなに心配なら、手袋みたいな保護具をなぜ身に着け
なかったのか」
他のネット市民はこれを「歴然とした動物虐待」と呼び、この状況への怒りを口にした。
ウェイボーのあるユーザーは、この公営施設そのものに疑問を投げかけた。「成都市の施設は中国の国獣を保護するために設立され
たと、みんなずっと思っていた。過去には素晴らしい成果を出したし、パンダの赤ちゃんの写真で多くの中国人を幸せな気持ちにしてく
れた」と書いた。
「でも今回の出来事が、この施設の運営と目的に対する私の意見を確実に変えてしまった」
(英語記事 'Panda cruelty' video goes viral in China)