2016.06.24 Fri posted at 18:26 JST BBC
英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票は、離脱派の勝利で終わった。
ただ、EUからの離脱は簡単ではない。28カ国からなる連合から抜け出るには最低でも2年は必要そうだ。
英国はEUの前身も含めると1973年から加盟国だ。
英政府は今後、数十年に及ぶ同国とEUの間で結ばれた条約や取り決め、立法措置を整理し直すという途方もない作業に迫られる。
条約上の取り決め
今回の投票結果がEU側に通知されるのは、正式には27日に開かれる欧州理事会になるとみられる。
これによりローマ条約50条が適用され、両者に合意形成までの2年間の猶予が付与される。
ただ、英国とEUの関係は複雑に絡み合っており、合意に至るまでより長い年月がかかる可能性もある。
離脱派のリアム・フォックス下院議員は、移民政策や貿易、安全保障などの交渉は2019年までかかるとの予測を示している。
EUに何が起こる?
英国はEUを離脱する初めての国となる。
過去にこれに近い事例としては、1985年にデンマークの一部であるグリーンランドが脱退した例がある。ギリシャも一時脱退を検討していた。
英国の離脱が「先例」となれば、他の欧州諸国も離脱の道に目を向け始める可能性がある。
そうなると、経済や地域の安定性に重大な影響が出かねない。
シンクタンク「カーネギー・ユーロップ」の外交政策トップは、EU側は英国との交渉に厳しい態度で臨むだろうと予測する。
英国はどうなる?
国民投票の結果は英国を分裂させる可能性もはらむ。
英国はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドから構成されるが、スコットランドや北アイルランドは投票の過半数が「残留」票だった。
スコットランドでは英国からの独立の是非を問う住民投票が行われる可能性がある。2014年の投票では英国残留派が55%で勝利していた。
北アイルランドの指導者も住民投票を呼びかけている。シンフェイン党幹部は「英国政府はもはや北部の政治的、経済的な利益を欧州内で代表している
とは言えない」と語り、国境の線引きを問う住民投票は民主的に不可避になったとの見方を示した。
首脳が交代
EU残留を訴えてきたキャメロン首相は投票結果を受けて、辞意を表明した。
辞任の正確な時期への言及は避けたが、「10月の保守党党大会が始まるまでに新しい首相を選ぶべきだ」との考えを示した。
世界中に激震を与えたイギリスの国民投票結果。国民投票はキャメロン首相の選挙公約だったので実施はやむを得なかったし、
たとえ1票の差でも民主主義の原則に則らなくてはならないだろう。
EU離脱でイギリスの悪条件が取り除かれて経済、雇用、福祉が好転するとしても、まだまだ時間がかかる。
EUはイギリスに対して制裁に近い交渉内容を示してくるとの意見が多い。他のEU諸国への影響を断つためにそうするだろう。
イギリスにある外国企業もEU圏内に移っていく。
離脱派のいう悪条件が取り除かれても新たな悪条件がイギリスを覆う。
EUのみならず、世界に影響を与える事案を国民投票で決定して良かったのだろうか?
最後までお読み頂きましてありがとうございます。