イラン石油 アジア諸国の経済を抑えつける米国の武器
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米国は友好国としてのインドに、イランと本当にビジネスを行いたいかを再考して決めるよう推奨している。
米国のヘイリー国連大使が29日、インドのNDTVのインタビューで述べた。米国務省のナウアート報道官は以前、
米国のパートナー国と同盟国は今にもイラン産石油の輸入を減らして11月4日までに停止する必要があり、
拒否した場合は再開する対イラン制裁の対象になると警告。
スプートニクのインタビューに対し専門家は、米国がイラン産石油の禁輸をアジアの発展途上国の経済成長を
抑制するためなどに用いているという見方を示した。
イラン産石油の最大の輸入国は中国で、インドは2番目だ。中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は、
中国とイランが国際法に基づく交流と協力を支持していると指摘。29日には中国国営の 環球時報が
専門家コミュニティの見解として、中国企業はイランでのビジネスを取りやめないと伝えた。
インドの石油・天然ガス省は一方、自国の石油精製業者に、11月からのイラン産石油輸入の「急減やゼロ化」に
備えるよう要請したとロイターが28日に報じた。これは米国からの圧力を受けたインド政府の初めての反応となった。
だがインドは、米国が導入した一方的制限は認めず、国連の制裁のみに従うと立場を明らかにした。
以前の対イラン制裁発動中、インドと中国はイラン産石油を購入し続けた数少ない国の1つだった。
ロシア戦略リサーチ研究所のアジャル・クルトフ氏はこの方針が保たれるだろうと予測している。
「アジアのどの国も、インドも、ましてや中国も、いずれにせよすぐには折れず、米国に従わないだろう。
しかもインドにも中国にもイランとの多様で真剣な繋がりを持ち、輸送および物流などの一連の大規模プロジェクト
実現の計画がある。アジア諸国が対イラン制裁に参加すれば、こうしたプロジェクトは実現されない可能性がある。
クルトフ氏は、イラン産石油輸入ゼロに備えるべきだとする同盟国とパートナー国への米国の警告には、
少なくとも2つの目的があると見ている。
1つは制裁措置により減少したイラン産石油輸入量を米国のエネルギー資源で置き換えるための人工的な
アドバンテージを得ること。
2つ目はイラン産石油の禁輸をアジアの発展途上国の経済成長を抑えるために使うことだとして、クルトフ氏は
何よりも対象は中国とインドだという見方を示した。