北の核実験場、機材集積の動き…9月と別の坑道
【ワシントン】米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮問題研究グループ「38ノース」は6日、北朝鮮北東部・豊渓里(プンゲリ)の
核実験場で、9月に実験が行われたのとは別の坑道に、機材や採鉱用運搬車などが集められているとの分析結果を発表した。
新たな核実験の準備の可能性があるとしている。
分析は、9月8日から11月1日にかけて撮影された複数の衛星写真などに基づいて行われた。集積が確認されたのは西側の
坑道で、過去数か月はほとんど動きが見られなかったという。
同グループは「衛星写真だけで活動の正確な目的を確定することはできないが、新たな核実験の準備に関連する動きの可能性
がある」との見方を示している。
核実験で「死の地域」と化す吉州、脱北者が証言
2017/11/06 10:00 朝鮮日報
北朝鮮が6回にわたる核実験を実施した咸鏡北道吉州郡一帯が「死の地域」と化しつつあるという証言が相次いでいる。
吉州郡出身の脱北者は「木を植えれば80%が枯れ、井戸は干上がった。奇形児も生まれた」と話した。北朝鮮は核実験を
行うたびに「放射能漏れは全くなく、周辺の生態にいかなる影響も与えなかった」と説明してきたが、住民の証言はそれとは
食い違っている。
脱北民が参加する北朝鮮研究団体「サンド研究所」(旧統一ビジョン研究会)が昨年7月から9月までに吉州郡出身の脱北民21人
の聞き取り調査を行った結果、豊渓里とその周辺の住民は6回の核実験でさまざまな被害を受けていることが分かった。
吉州郡出身の脱北者Aさんは「吉州郡の産婦人科医院で肛門と性器がない奇形児が生まれたという話を現地の親戚から聞いた」と
話した。脱北者は「吉州は核実験が行われた豊渓里の万塔山から流れ下る水が集まる盆地状の地形なので、吉州郡の住民は皆が
豊渓里からの水を飲む。放射能汚染が心配だ」と話した。別の脱北者Bさんは「吉州に残った家族と電話で話したが、6回目の
核実験直後、豊渓里の井戸が全て干上がったと聞いた」と語った。
ソウル大原子力学部のソ・ギュンヨル教授は「豊渓里の地盤崩壊で上が陥没したため、下部には完全にひびが入ったはずであり、
地下に空洞が生じ、地下水がそこに流れている可能性が高い。土壌の放射能汚染問題も生じたとみられる」と分析した。
吉州出身の脱北民は、北朝鮮が核実験を実施する際、一般住民には何も通告していないと証言した。
豊渓里で2回目の核実験まで経験したというCさん(2010年脱北)は「1回目(06年10月)と2回目(09年5月)の当時は豊渓里に
いる軍とその家族だけを坑道に避難させた。一般住民には全く知らせがなかった」と話した。
豊渓里には核実験場を管理する軍人と軍所属の農場で働く農民の一部が住んでいるという。
Cさんは「核実験前に(核物質を注入せずに起爆装置の性能を試す)高集中起爆実験を2回ほど行うが、住民を動員して穴を
深く掘り、爆発実験を行う。豊渓里の川に手足が切断された死体が流れてくるのを実際に目撃した」と証言した。
金泰宇(キム・テウ)元統一研究院長は「外国でも高集中起爆実験で人命被害が出た例がある。人名を軽視する北朝鮮が
高集中起爆実験でどれほど安全を考慮したかは疑問だ」と指摘した。
北朝鮮の相次ぐ核実験で、吉州地域の特産物であるヤマメとマツタケが姿を消したとの証言もあった。
脱北者Dさんは「1980年代から吉州の特産品だったヤマメとマツタケは、(党中央の幹部のための)『9号物資』として平壌に
運ばれるが、2006年の核実験以降は品目リストから外れた。最近の核実験でヤマメが絶滅したという話を聞いた」と話した。
吉州郡の山林担当公務員出身のEさんは「吉州地域の山に苗木を植えると、80%以上が枯れる。植え方が悪かった部分もある
だろうが、他地域より枯れる割合が高い」と語った。吉州郡の住民は原因不明の頭痛にも苦しんでいるという。
北朝鮮当局は吉州郡の住民の平壌訪問を認めない。6回目の核実験以降、吉州を訪れたという消息筋は「平壌の大病院に
予約していた吉州の住民は、6回目の核実験以降、平壌に入ることを拒否された」と述べた。北朝鮮は吉州郡の実情が外部に
漏れることを徹底的に防ごうとしている。Bさんは「豊渓里と吉州の土、水、木の葉などを所持し、国境に向かった住民が列車で
逮捕され、政治犯収容所に送られた」と話した。
一方、韓国統一部は先月から吉州出身の脱北者30人を対象に被ばく検査を実施している。
韓国政府関係者は「年末に検査結果が出次第、対策を立てたい」と説明した。