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中国のアフリカ巨額支援が国内に生む「犠牲者」

2018-09-27 13:35:33 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国のアフリカ巨額支援が国内に生む「犠牲者」

 
 

<習近平は総額600億ドルの経済援助をアフリカ諸国に約束したが、中国国内の農村部では子供たちが

義務教育も満足に受けられないほど地方財政が悪化している>


東京で9月3日に開幕した中国・アフリカ協力フォーラムで、習近平(シー・チンピン)国家主席はアフリカ諸国に

600億ドルの経済援助を行うと表明した。


このニュースが世界に流れたのと同じ頃、中国湖南省耒陽(レイヤン)市で起こった「入学事件」の写真が中国の

SNSで大量にシェアされた。耒陽市では9年間の義務教育が行われているが、財政難でこの20年間公立学校は

増設しておらず、今年5月の地方公務員の給料も払えずニュースになった。中国教育省の基準で、小中学校の

1クラスの生徒数は36~45人ぐらいが適切と考えられているが、耒陽市の場合、66人を超える超過密のクラスが

740もある。


教育省は今年を超過密クラス撲滅の目標年に設定。耒陽市政府はこれを理由に、強制的に1万人近くの高学年の生徒を

私立学校へ転校させた。彼らは公立学校より10倍高い学費を出さなければならない。あまりの理不尽さに保護者たちは

怒って市役所前で抗議し、警察と衝突した。


耒陽市の例は中国の地方財政危機の氷山の一角にすぎない。地方政府の深刻な過剰債務は誰もが知っている

公然の秘密だ。「中国の地方債務は40億元(653億円)前後。ただし、どの地方政府も債務返済をしたがらず、

しかも利子返済ができる能力さえ持っていない」と、中国の専門家は語った。


「600 億ドルってどれくらいか分かる? チベット、青海、新疆、甘粛の4つの省・自治区の一般財政収入の

合計より多く、黒龍江、吉林、遼寧の3省の財政収入の合計の80%より多く、湖南省の1年間の一般財政収入額と

ほぼ同じだ!」。(アフリカへの経済援助の)600億ドルの「明細」について書かれた記事もSNSでたくさん

シェアされたが、すぐに削除された。


財政危機で地方の子供たちがきちんと義務教育を受けられず、農村地域では今でもぼろぼろの教室で授業が

行われている。それなのに、なぜ政府はこれを無視して、アフリカにそんな大金を送るのか。「人民のためではなく、

共産党の政権を固めるためだ。この巨額の経済援助によって、中国政府とアフリカの連携も強まり、国際社会における

存在感と発言権も大きくなる」と、中国の自由派学者はこっそり教えてくれた。


【ポイント】
<六百亿美元、中非共同体、大国心态>

それぞれ「600億米ドル、中国アフリカ共同体、大国メンタリティー」


<中国の地方債務問題>
08年のリーマン・ショック後、中国政府は景気テコ入れのため貸し出しを大幅増加。地方政府はその資金で

不動産投資を進めたが、膨らんだ債務が負担になっている

<Newsweek 2018年9月25日号掲載>

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私立小へ強制転校 猛反発 中国 公立「大人数クラス」問題


 中国のニュースサイト「財新ネット」などが伝えた。市教育局は大人数クラスを解消させる方針の下、

公立校で収容しきれない生徒らを私立校に転校させることを決定。九月から実施されるはずだった。


 ところが親たちが「公立の何十倍も教育費がかかる」と猛反対。校舎の建材にシックハウス症候群の原因の

一つとされるホルムアルデヒドが使われていたことも親の怒りをかき立てた。


 親たち約六百人は一日、市政府庁舎前に集まり、「公立学校で勉強させろ」などと書かれた横断幕を掲げて抗議。

夜には公安局前に集結し、警官に瓶や石を投げつけ、警官三十人余りが負傷した。デモ隊は二日未明になって

強制的に解散させられた。中国では学校の大人数クラスの解消が教育課題の一つとなっており、耒陽市では年内に

六十六人以上のクラスをゼロにすることを目指していた。

2018年9月4日    東京新聞