米アラスカやカナダ、シベリアなどの北極圏で前例のない規模の山火事が発生している/Pierre Markuse/Creative Commons
(CNN) グリーンランドやシベリア、アラスカなどの北極圏で、山火事の発生が相次いでいる。
6月以来の発生件数は100件を超え、専門家は「前例のない異常事態」と指摘した。
このほど撮影された衛星写真は、グリーンランドやシベリアの無人地帯、およびアラスカの一部から
巨大な煙が立ち上る様子をとらえている。
6月は世界で観測史上最高の暑さを観測した。欧州や米国を熱波が襲う中、7月の気温も記録を
更新する見通しだ。
大気の状態に関するデータを提供しているコペルニクス大気監視サービス(CAMS)では、
6月初め以来、北極圏で100件以上の大規模な山火事を観測した。
専門家によれば、北極圏の火災は過去にも発生しているが、これほどの規模になることはなかったという。
北極圏の気温は世界平均を上回るペースで上昇し、山火事が広がる条件がそろっている。
CAMSの専門家は、山火事の件数についても規模についても「前例のない異常事態」と位置付ける。
世界気象機関(WMO)の専門家によると、シベリアの6月の平均気温は、1981~2010年の
平均気温を10度近く上回った。シベリアとカナダおよびアラスカを覆う熱波の影響で、山火事は
さらに増える見通しだ。
こうした山火事そのものも、地球温暖化に拍車をかける一因となる。
CAMSによれば、6月1日~7月21日にかけて大気中に放出された二酸化炭素は100メガトンと
推定され、ベルギーの2017年の1年間の排出量にほぼ匹敵する。
山火事によって大気汚染物質が雪や氷の上に降り注げば、太陽光が反射されずに吸収され、北極圏の
温暖化がさらに加速する恐れもある。