不法移民の親子引き離し、政策変更で現場は大混乱
【トルニーヨ(米テキサス州)】ドナルド・トランプ米大統領は不法移民の親子を引き離す政策を撤回したが、
ワシントンからメキシコ国境に至るまで、様々な現場が手続きを巡り大混乱に陥っている。
当局者によると、子どもと2人以上の成人が一緒に不法入国した場合、犯罪歴がない限りは成人1人だけを起訴し、
特に男性を優先的に起訴するようにとの指示が現地時間21日午前に出された。だが同日午後になってまた方針が
変えられたという。当局者は具体的な変更内容には触れなかった。
別の当局者は、テキサス州マッカレンにある連邦地方裁判所で、午前中に起訴される不法移民者の名簿から
子どもを持つ17人が外されたと明らかにした。
トランプ政権は21日、政策を変更していることを否定した。トランプ氏は20日、親子の引き離しをやめる大統領令に
署名したが、不寛容政策は継続する考えを示していた。
トランプ氏は、従来の政策が続くのか尋ねる記者の質問に直接は答えず、「不寛容政策をやめると、われわれが
圧倒されてしまう。(中略)誰も過去に見たことがないほど(移民が)この国に押し寄せるだろう」と述べた。
ホワイトハウス関係者は、トランプ氏のこうした発言が政策に何らかの変更があったことを否定するものだと語った。
司法省は、成人の不法入国者の起訴を停止することはないとし、今年始まった不寛容政策は継続されると述べた。
国土安全保障省は政策やその変更に関する問い合わせに回答していない。
ワシントン・ポスト紙は先に、子どもを連れた親を起訴目的で裁判所へ送ることをやめるよう国境警備隊に
指示が下ったと報じていた。
トランプ氏は20日、難民としての保護を申請する家族について、親子を一緒に収容するよう指示した。
それまでは何週間にもわたり、不法入国した親子を引き離すことが避けられないと主張していた。
20日の大統領令には不寛容政策の継続も明記された。
不法移民の親子分離停止、トランプ大統領が署名 / メラニア夫人、不法移民の親子分断は「見るのがつらい」
大統領令を巡っては、迅速に家族全員を収容できる施設を見つけることができるかといった問題や、
既に親から引き離された2300人余りの子どもの処遇に関する疑問も持ち上がっている。
トランプ氏は21日、「国境手続き期間中、不法移民の家族が一緒にとどまれるようにし、既に引き離された
グループは再び引き合わせる」ことを当局に指示したと述べた。
メラニア・トランプ大統領夫人も事前発表なしにメキシコとの国境を訪れ、同じコメントをしている。
だが2人とも、当局者間で異なる見解に翻弄(ほんろう)されている子どもたちにどう対応するのか、
明確な説明は提供しなかった。
トランプ氏が大統領令に署名してから間もなく、未成年の移民を保護する団体としてニューヨーク最大の
規模を誇るカユガ・センターが、里親候補者向けの説明会を開いた。
スペイン語で開かれたこの説明会に出席した人物によると、カユガ・センターは現在引き受けている230人余りの
子どものために新たな受け入れ家庭を必要としている。
現時点では5人以上の里子を預かっている家庭があるものの、1つの家庭で4人を上限とするよう割り振りを
見直す公算が大きいという。
カユガ・センターの代表者はコメントの要請に応じなかった。