中国、4カ国会談へ調整本格化 北に1億8000万円医療支援へ
2018.7.31 23:59 産経新聞
【北京】中国の習近平政権が朝鮮半島情勢をめぐり、外交トップの楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)
共産党政治局員を非公式に韓国に派遣するなど、中国、米国、韓国、北朝鮮4カ国による対話の枠組み構築に向けた
調整を本格化させている。北朝鮮や韓国に影響力を行使すれば、中国主導で朝鮮半島の新たな安全保障体制を
整備できるとの読みがある。
また、聯合ニュースは31日、中国側が北朝鮮向けに約1100万元(約1億8千万円)相当の医療支援を
実施することが決まったと報じた。対北経済制裁の緩和が実現しない中、中国としては北朝鮮にアメを与えるためにも、
国連決議に抵触しないレベルで支援を進めていく意向とみられる。
中国外務省などによると、楊氏は7月中旬、釜山で韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と
会談した。北朝鮮が求める朝鮮戦争の終戦宣言などの調整が行われたとの見方が一般的だ。中韓経済協力について
協議されたとの情報もある。
韓国と北朝鮮は4月の首脳会談で、朝鮮戦争の終戦を宣言し休戦協定を平和協定に転換するため、米朝韓3カ国、
または中国を加えた4カ国会談を推進することで合意した。北朝鮮はまず、体制保証の一環として早期の終戦宣言を
要求しているが、米国は北朝鮮の非核化が進まない中で宣言を行うことに難色を示している。
一方、中国は米朝韓3カ国で終戦宣言を行う動きを警戒。「戦争状態の終結や休戦から平和メカニズムへの
転換のために相応の役割を果たしたい」(外務省報道官)として、4カ国による終戦宣言や会談実現に向けた
調整を進めている。
楊氏とともに訪韓したとみられる中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)外務次官は7月下旬に北朝鮮を訪問し、
李容浩(リ・ヨンホ)外相らと会談している。韓国側との調整内容を伝えたもようだ。