日・フィリピン首脳会談
2017/1/12 外務省
本12日,午後3時50分(12日午後4時50分(日本時間))から約40分間,フィリピンを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ロドリゴ・
ドゥテルテ・フィリピン共和国大統領(H.E.Mr. Rodrigo R. Duterte, President of the Republic of the Philippines)と,マニラ
のマラカニアン宮殿において,日・フィリピン首脳会談を実施したところ,概要は以下のとおりです。会談には,萩生田光一内閣官房副
長官及び河井克行内閣総理大臣補佐官他が同席しました。
(1)冒頭,ドゥテルテ大統領から,このたびの安倍総理の訪日を歓迎し,ドゥテルテ政権発足後,初めての外国首脳の訪問であり,大
変光栄に思う,安倍総理と協力して,日・フィリピン両国の戦略的なパートナーシップを強化したい,昨年10月に日本を訪問したこと
は,両国の協力強化の進展を図る機会となったが,今次訪問における安倍総理との生産的な会談を通じ,幅広い分野において更なる
関係強化を図る機会となることを期待する旨述べました。
(2)これに対して,安倍総理大臣から,今回の訪問がドゥテルテ大統領にとって初めての外国首脳としての訪問であり光栄に思う,昨
年10月に東京でお会いし,時をおかずしてマニラで再会でき,嬉しく思う,さらに,明日,大統領の地元であるダバオを訪問できること
を嬉しく思うと述べました。また,安倍総理大臣から,今年最初の訪問先としてフィリピンを訪れたのは,フィリピンとの関係を一番重視
していることの表れである,大統領はASEAN議長を務められるので,ASEAN関連会合及び東アジアサミットの成功に向けて,全面的
に支援したい旨述べました。
(3)また,安倍総理大臣から,ODA及び民間投資を含め,今後5年間で1兆円規模の支援を行う,この支援のため,「経済協力インフ
ラ合同委員会」を設置し,国造りに対する官民を挙げた協力を着実に実施していく,さらに「国家経済開発庁」に専門家を派遣する旨述
べました。
続いて,安倍総理大臣から,日本の技術と知見を活用してインフラ整備に貢献したい,具体的には,首都圏交通ロードマップのレ
ビュー及び全国高速道路マスタープラン策定支援を決定した,電力分野のアクションプランを3月までにとりまとめたい,マニラ地下鉄
事業の早期実施に向け,日本の技術と知見を積極的に活用し協力したい,「クラーク・グリーン・シティ構想」の実現のため,マロロス・
クラーク間の鉄道の調査を我が国の海外都市交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が実施中であり,3月中にとりまとめる旨述べまし
た。
さらに,安倍総理大臣から,「経済協力インフラ合同委員会」の議論も通じ,ミンダナオの平和と開発に引き続き貢献する,ダバオ市の
都市開発や洪水対策の支援調査の開始を決定した,バンサモロの灌漑・道路整備調査,電力配電網整備や衛生・教育環境改善支援
を近く決定する旨述べました。
安倍総理大臣から,違法薬物対策に関し,フィリピンと手を携え,一緒になって有意義な支援策を考えていきたい。日本は,民間の知
見も活用してオールジャパンで協力する,まずは,2月以降,関係省庁の高官を日本に招聘する,その後,治療施設の整備,治療プロ
グラムの策定,人材育成・啓発活動に対する支援を行う,コロンボプランと連携した更生支援も実施する旨述べました。
安倍総理大臣から,治安・テロ対策では,高速小型艇等供与の交換公文締結を歓迎する,更なる警備関連機材の支援を早急に決定
する旨述べました。
安倍総理大臣から,巡視船供与や人材育成等,更なる海洋能力向上を支援する,海自航空機に係るパイロット教育を現在日本で実
施している,本年の米比共同訓練バリカタンには自衛隊も参加予定である,能力構築支援,防衛装備協力や訓練・演習等,様々な分
野で防衛協力を推進したい旨述べました。
さらに安倍総理大臣から,地デジに関する覚書及び二国間クレジット制度構築に関する二国間文書の今般の署名を歓迎する旨述べま
した。
(4)これに対し,ドゥテルテ大統領は,海上安全保障・テロ対策の分野における対策能力の向上に向けた日本からの支援,特に,巡視
船や小型高速艇の供与,及び海自航空機TC-90の貸与に感謝する,農業分野,インフラ分野におけるミンダナオ開発に関する日本
の貢献を高く評価し,今後も支援を継続していただきたい旨発言し,日本の支援に対する深甚なる謝意を表明しました。また,ドゥテル
テ大統領は,日本からの貿易・投資は既に活発であるが,更なる経済関係の拡大を期待しており,ビジネス環境を向上させていきたい
旨述べました。
(5)また,安倍総理大臣から,ASEAN議長国であるフィリピンと,地域の課題についても積極的に協力したい,ASEANの一体性・中
心性を強化し,自由で開かれた共同体として発展させていくことが重要である,その観点から,フィリピンを,最大限支援したい旨述べ
ました。また, 安倍総理大臣から,RCEPについては,フィリピンと緊密に連携し,質の高い協定の早期妥結を目指したい,さらに,日
本はTPPの発効を引き続き目指していく旨述べました。さらに,安倍総理大臣から,ASEANとの防衛協力を強化するとともに,金融
セーフティネット整備についても万全を期す旨述べました。
(6)また,安倍総理大臣は,南シナ海情勢について,仲裁判断を踏まえ,法の支配や紛争の平和的解決の重要性を強調しました。さ
らに,北朝鮮問題について,安倍総理大臣は,北朝鮮の核・ミサイル開発に関し,新たな決議を含む関連安保理決議の厳格な履行,
及び拉致問題の早期解決に向けてフィリピンと連携していきたい旨述べました。これを受け,ドゥテルテ大統領は,フィリピンと日本の
両国は,これまで60年間,友好関係を発展させてきた,今後もさらに強固な関係となるよう発展させていきたい,あらゆる分野で日本
を支持する旨述べました。
署名・文書交換式
(ア)経済社会開発計画に関する交換公文(ODA(テロ対策))署名
(イ)二国間クレジット制度の構築に関する二国間文書 署名
(ウ)日本国海上保安庁とフィリピン共和国沿岸警備隊との間の協力覚書 文書交換
(エ)総務省とフィリピン大統領府広報部(PCOO),国営放送(PTV)との間の覚書 文書交換
(オ)アグリビジネス振興・平和構築・経済成長促進計画に係る借款契約 文書交換
歓迎式典
晩餐会
2日目
平成29年1月13日(現地時間)、安倍総理は、フィリピン共和国のダバオを訪問しました。
総理は、ドゥテルテ大統領主催の朝食会に出席した後、ビジネス会合に立ち寄りました。続いて、少人数会合に出席した後、
フィリピン鷲命名式に出席し、さらに、ミンダナオ国際大学を視察しました。
ダバオで凄い歓迎
ドゥテルテ大統領主催の朝食会 ドゥテルテ大統領自宅
ビジネス会合
少人数会合
フィリピン鷲命名式に出席
ミンダナオ国際大学を視察
中国との外交戦争ですね。
ODA及び民間投資を含め,今後5年間で1兆円規模の支援です。
支援しても肝心な時には知らんふりをする日本と嘘をつく韓国、いつ手のひら返すか判らないロシア。そこに支援するより支援のし甲斐
がありますね。
ちゃんと感謝をしてくれます。
最近お金使いすぎかな?の懸念も少しあります。
そして早速中国が
安倍氏が東南アジアを再訪、3枚のカードで各国を抱き込み
日本の安倍晋三首相は12日より、フィリピン、豪州、インドネシア、ベトナムの4カ国を歴訪し、各国首脳と会談を開く。
日本メディアによると、安倍首相は訪問中、フィリピンの大規模な経済援助を発表し、さらに豪州の首相と物品役務相互提供協定(ACSA)を締結する見通しだ。安倍首相は今年も政治・経済・安保で各国を抱き込み、中国けん制を試み、南中国海事業に介入し続ける。
【政治のカード】
安倍首相の2017年初の外遊は、過密スケジュールだ。12日午後にフィリピンに到着し、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領とマニラで会談すると、ドゥテルテ大統領の故郷であるダバオを訪問する。13日には豪シドニーに向かい、14日にマルコム・ターンブル首相と会談する。15日にインドネシアを訪問しジョコ・ウィドド大統領と会談し、16日にベトナムでグエン・フー・チョン・ベトナム共産党中央委員会総書記らと会談する。
この4カ国のうち、フィリピンは今年のASEAN議長国で、ベトナムはアジア太平洋経済協力会議(APEC)議長国だ。12日付日本経済新聞によると、安倍首相はこの両国との関係の強化を重視している。そのため新年初の訪問先をフィリピンとし、さらにドゥテルテ大統領が22年間市長を務めた故郷のダバオを訪問することになった。
外国首脳との個人的な関係の構築は、安倍首相の外交の一貫した手法だ。外務省によると、安倍首相はダバオを初めて訪問する外国首脳で、これによりドゥテルテ大統領との信頼関係を構築しようとしているという。
しかし法政大学の趙宏偉教授は「安倍首相はフィリピンとベトナムを重視しているが、これは今年のASEAN首脳会議とAPEC首脳会議で南中国海の話題を取り上げ、中国をけん制するためだ」と指摘した。12日付毎日新聞によると、安倍首相は年初の外遊により、南中国海など今年の国際社会で扱われる議題を主導しようとしている。
日本、フィリピン、豪州はいずれも米国の同盟国だ。しかしドゥテルテ大統領は昨年6月末の就任後、対外政策を大幅に調整し、米国を遠ざける姿勢を示した。ドゥテルテ大統領が昨年10月に初めて訪日した際に、安倍首相は間に立つことで、フィリピンを米日の陣営に引き戻そうと試みた。共同通信によると、安倍首相は今回の訪問で、米国のアジア太平洋事業への参与の重要な意義を、両国で確認しようとしている。
【経済のカード】
日本経済新聞によると、安倍首相はフィリピンで、政府開発援助(ODA)や民間投資をあわせて今後5年間で1兆円規模を支援することを表明する。政府高官によると、これは日本が単一の国に対して提供する最大規模の経済援助だ。昨年ミャンマーに対して、5年間で8000億円規模を提供するとしたが、それを上回る規模となる。
日本はフィリピンの地下鉄建設を支援し、地方都市への電力供給システムの整備を支援する。両国はさらにインフラ整備を効率的に進めるため、自国の関係省庁幹部からなる会議体も新設する。日本はさらにドゥテルテ大統領の麻薬撲滅キャンペーンにも協力し、更生保護施設の整備を支援する。日本経済新聞によると、これはいずれも「フィリピンと中国の歩み寄りをけん制」するためだ。
ドナルド・トランプ次期米大統領は、就任初日に環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱を宣言すると表明したが、日本はTPP推進を諦めていない。12日付毎日新聞によると、安倍首相は各国と自由貿易体制の重要性を確認し、地域包括的経済連携(RCEP)とTPPの締結・発効を同時推進することになる。
日本は近年、東南アジアでの経済活動範囲を拡大し続けており、東南アジア市場に進出する中小企業が増えている。日本貿易振興機構が2015年に行った調査によると、日本企業が事業規模の拡大を目指す国は、中国、タイ、米国、ベトナムの順となった。ミャンマーとフィリピンも15位以内に入った。
【安保のカード】
毎日新聞によると、安倍首相は14日にターンブル首相と会談する際に、日豪ACSAを締結する見通しだ。同協定により、日豪間の弾薬相互提供が可能になる。
海上保安庁は今年、東南アジア諸国の海上保安機関と連携し、海上安保の経験を伝授し能力を高めるため、新部門を設立する。また日本政府は各国に、積極的に中古巡視船を提供する。日本政府はフィリピンに対して、全長40メートルの巡視船10隻、全長90メートルの大型巡視船2隻を供与することを約束している。インドネシアの海上保安機関には巡視船3隻を、ベトナム海上警察には巡視船6隻を提供する。この数字はさらに増加する。
趙氏は「安倍首相が東南アジア諸国を抱き込むためには、莫大な資金が必要だ。しかし各国の地域での利益を考えると、安倍首相の願いどおりにはならなそうだ。金を出さないわけにはいかないが、出しても裏切られる可能性がある」と指摘した。