コラム:フェイスブック個人情報流出、ユーザー離れ加速か
2018年3月20日 / 11:21 / REUTERS
[ニューヨーク 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - フェイスブック(FB.O)のユーザー離れに追い打ちをかける要因がまた
1つ増えた。米大統領選でトランプ陣営が契約した英データ会社が、フェイスブック利用者5000万人以上の個人情報を収集した
との新聞報道だ。既にユーザーの利用時間は減っているが、これをきっかけに利用を一切止めてしまう人が増える恐れもある。
19日の米株式市場でフェイスブック株は急落し、時価総額350億ドル以上が吹き飛んだ。米ニューヨーク・タイムズ紙と
英オブザーバー紙によると、英データ会社ケンブリッジ・アナリティカはフェイスブックのデータを無許可で入手し、2016年の
米大統領選を含む選挙で有権者に影響を及ぼすソフトウエアを構築していた。
これを受け、米欧の複数の当局が調査に乗り出した。フェイスブックはただでさえ、偽ニュースと広告視聴時間の算出を巡る不備の
問題と格闘している。こうした過去の問題はまだ広告業界からの信頼を揺るがすには至っておらず、フェイスブックの昨年の
収入は47%増えて410億ドルに達した。
しかしこうした問題は、別の方面から業績に影響を及ぼし始めているようだ。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は最新の
四半期決算の発表時、ユーザーの利用時間が1日合計5000万時間ほど減少していることを明らかにした。広告主は視聴時間に
照らして広告掲載を判断することが多い。
第4・四半期の世界の1日当たりアクティブ・ユーザー数は前年同期比14%増の14億人に増えたが、主要市場ではほころびが
見え始めている。米国とカナダの登録者数は前年同期比100万人減の1億8400万人となり、欧州では登録者数の伸びが著しく
鈍っている。これらの地域は収入の75%近くを占める。
SNSの先駆けだったマイスペースを見れば分かる通り、フェイスブックが長期にわたって支配的な地位を維持できるという保証は
まったくない。調査会社イーマーケターの推計では、ユーザーの伸び鈍化と広告価格の頭打ちが影響し、米デジタル広告市場に
占めるフェイスブックのシェアは、向こう2年間でわずかに減る見通しだ。個人情報保護の問題が加わったことで、この凋落は
加速するかもしれない。
背景となるニュース
*フェイスブック株は19日、約7%下落した。米大統領選でトランプ氏陣営が契約した英データ会社が、フェイスブック利用者5000万人以上の個人情報を収集したとの新聞報道がきっかけ。
*欧州連合(EU)の議員らは19日、この問題を調査すると述べた。米上院ではジョン・ケニー(共和党)、エーミー・クロブシャー(民主党)両議員がザッカーバーグCEOのほか、グーグルの親会社アルファベットとツイッターのトップによる議会証言を要請した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。