Googleの従業員、中国での“検閲版”検索サービス「Dragonfly」反対署名運動
2018年08月17日 09時33分 ITmedia NEWS
米Googleが中国で検索サービス再開プロジェクト「Dragonfly(コードネーム)」を秘密裏に進めているという
8月1日の報道を受け、同社従業員がこのプロジェクトに反対する署名を集めていると、米New York Timesが
8月16日(現地時間)、入手した幹部宛書簡と匿名の従業員の話に基づいて報じた。
Dragonflyは、2017年春に立ち上げられ、12月にスンダー・ピチャイCEOの訪中の際、中国政府と会談してから
加速したプロジェクトといわれる。中国のいわゆる「グレートファイアウォール」に対応するため、中国政府の
検閲済みの検索結果しか表示されないという。
幹部宛書簡
New York Timesによると、既に1400人以上の従業員が幹部宛の書簡に署名したという。この書簡の出だしは
「Googler(Google従業員)は倫理的な選択をするために、自分たちが何を構築しているかを知る必要がある。
今現在、われわれは知らないことがある。そこで文末に署名したわれわれは、Googleの倫理および透明性についての
コードイエローを要請する」となっている。
コードイエローとは、医療業界ではスタットコールの1つで、緊急事態発生などを知らせるもの。
Google社内では、複数のチームに影響する危機的な問題発生に対処するためのプロセスを指し、担当幹部による
説明も含まれる。
Googleでは毎週木曜日にスタッフミーティングを開催しており、そこでの質問リクエストは社内サービス
「Dory」に登録されるようになっている。水曜の時点で「Googleは倫理の羅針盤を失ったのか?」という
質問が多かったという。
Googleは6月には、米国防総省(DoD)にAI技術を提供する契約「Project Maven」について、従業員からの批判の
高まりを受け、契約を更新しないと約束した。
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Google、中国向けに検閲された情報だけを検索するサービスを開発中。危惧する内部スタッフがリーク
- 2018.08.03 19:00 Gizmodo
Google、検閲に反対じゃなかったの?
テクノロジー国家として猛烈な勢いで台頭している中国ですが、同時に政府によるネット検閲が行われている
国家でもあります。中国で仕事をしたことがある方、旅行に行ったことがある方はFacebook(フェイスブック)や
Google(グーグル)といった大手オンラインサービスに中国からはアクセスできなかった経験があるのでは
ないでしょうか。そんな中、Googleは中国進出に向けて「検閲されたバージョンの検索エンジンとアプリ」を
提供しようと取り組んでいるようです。
検閲版検索エンジンのコードネームは「Dragonfly」
InterceptのRyan Gallagher記者はGoogle内部の極秘文書を入手したとして報じています。
社内のコードネームは「Dragonfly」だそうです。Dragonflyはすでに開発が始まってから1年がたっており、
中国政府へのプレゼンテーションも行われているようです。
このAndroid向けの新しい検索エンジンやアプリを使うと、中国政府が許可しない情報を除いた状態で
Google検索ができるとのこと。つまり検閲後のインターネットを検索できるというわけです。
GoogleによるAndroidはすでに中国のOS市場で最大のシェアを握っており、中国のデバイスの51%を
占めているとのこと。
GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏は昨年12月に中国を訪れており、中国におけるGoogleの未来について
カンファレンスで話し合っています。報道によると、それと同時に検閲版の検索エンジンのプロジェクトも
加速したようです。もちろん、ローンチするまでには中国政府からの最終承認を得ることが必要とのこと。
Googleは言論の自由を捨ててしまうのか
政府に異議を唱えるような性質の言葉やフレーズを禁止している中国政府の検閲ですが、中にはオルダス・ハクスリー
による「すばらしい新世界」や、漫画キャラクターのPeppa Pig、さらにはくまのプーさんなども検閲対象に含まれて
います。くまのプーさんが検閲?と首をかしげたくなりますが、これは2013年に中国大統領である習近平が
オバマ大統領と歩いている姿が、くまのプーさんにたとえられたのがきっかけとなっています。
ディズニーは中国にもテーマパークを持っているため、複雑な検閲状況となっているようです。
Interceptに情報をリークした内部の関係者は、Googleが中国政府と協働して情報の制限に取り組んでいることに
懸念を持っています。中国の世界への影響はますます大きくなってきています。
たとえばホテル企業であるマリオットは中国が批判をした後にチベットに関するツイートに「いいね!」をしたことを
理由に、ソーシャルメディアのマネージャーたちを解雇しています。
収益に結びつくのであれば、原理原則は無視してきたのがシリコンバレー。GoogleやFacebookといったテックの
大企業たちはリベラルな民主主義、言論の自由が非常に重要であると掲げてはいますが、これでは収益のことしか
考えていないように見えます。AmazonやMicrosoftといった企業も、トランプ政権の下で子どもたちに対する
非人道的な扱いを継続している米国移民関連の省庁と、引き続き業務を続けていることで批判を集めています。
Googleは米Gizmodoからの質問に対して、次のように回答しています。
我々は中国において、Google翻訳やFiles Goといったモバイル向けアプリを多数提供しています。またJD.comといった中国企業に対して
多額の投資を行い、中国のディベロッパーたちを助けてきました。しかし将来の計画に関する推測についてはコメントをいたしません。
なんとも分かりやすい「否定はしてないコメント」の典型ですね。果たして検閲に加担するサービスを
Googleが実際にローンチするのでしょうか...