米軍機、シリア政府軍機を撃墜。 クルド人部隊への攻撃受け
2017 年 6 月 19 日 12:45 JST THE WALL STREET JOURNAL
米軍は18日、シリア政府軍の戦闘機「SU-22」を撃墜したことを明らかにした。過激派組織「イスラム国(IS)」が首都
と位置づけるラッカの制圧を指揮するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の戦闘員が、政府軍によって2度
にわたり攻撃を受けたためだという。
米軍はこの攻撃により、IS掃討に向け米国主導の有志連合に参加するクルド系とアラブ系の連合勢力を守るために
シリア政府軍機を標的にする意向があることを明確にした。
米軍によると、シリア軍がラッカ近郊でSDFを攻撃し、負傷した戦闘員が撤退を余儀なくされた18日午後に衝突が始
まった。米軍は詳細を明かしていないものの、「力の誇示」によって政府軍の前進を阻んだという。
米国はその後、戦闘を停止させるためにロシアとの間で開設されていた「衝突予防ライン」を用いたことを明らかにし
た。シリア側の最初の攻撃から約2時間後、同じ地域の米国が支援する部隊に向けSU-22が爆弾を投下したという。
ロシア、シリア西部飛ぶ米軍機は「標的」 衝突回避措置を停止
2017.06.20 Tue posted at 20:01 JST CNN
モスクワ(CNN) 米軍主導の有志連合がシリア政権軍機を撃墜したことに対し、アサド・シリア政権を支援するロシアが
強い反発を示している。ロシア国防省は、シリア上空で米軍との衝突を回避するために設けていた通信回線を遮断した
と宣言した。
ロシア国防省は、米軍によるシリア機撃墜を「シリアの主権をあざ笑う侵害行為」「軍事的侵略」と非難した。
そのうえで、ロシア軍機が戦闘任務に当たっているユーフラテス川から西側の上空では今後、有志連合の無人機を含
むあらゆる航空機を「標的」とみなすとの方針を示した。
ロシアのリャブコフ外務次官も19日、「米国は敵と称するテロリストを支援している」「米国が国際法を公然と無視してる
ことを改めて示す行為だ」と述べていた。
有志連合側の報道官はロシア側の声明から数時間後、部隊の安全を確保しながら過激派組織「イラク・シリア・イスラム
国(ISIS)」の掃討作戦を継続できるよう、有志連合機の配置を変更したと発表した。
一方、米国防総省のダンフォード統合参謀本部議長は、米ロ間の通信が途絶えたわけではないと強調。米国は外交、
軍事の両面で衝突回避措置の回復を図っていると述べ、「大げさな対応が一番いけない」と指摘した。
米ロ両国はいずれもISIS掃討を掲げてきたが、アサド政権を支援するロシアに対し、米軍主導の有志連合は反体制派
と連携している。両国は昨年、シリア上空での衝突を回避する目的で緩衝ゾーンや専用の通信回線を設けていた。
今年4月には、米軍によるシリア軍基地へのミサイル攻撃を受て、ロシアが衝突回避措置を停止すると宣言し、一時的
に緊張が高まっていた。