人類が2018年に直面する脅威とは?
23日にスイス東部ダボスで開幕した第48回世界経済フォーラム(WEF)年次総会のテーマは「分断された世界における共通の
未来の創造」だ。WEFは開催を前に毎年発表する「グローバルリスク報告書」の2018年度版を公表した。
リスクの内容は極めて多様。第一に異常気象、自然災害、食糧不足、疾病の流行、テロリズム、移民など。気候変動、サイバー空間
への依存、収入水準による階層化、進み行く社会の格差などの問題で世界を脅かすグローバルな傾向も多々ある。
異常気象や自然災害、政治的不安定、軍事行動その他の要因は農業地域で深刻な不作に繋がる恐れがある。
さらに、ある国での食糧不足は隣国の情勢を急速に不安定化する可能性もある。すでに現在、幾つかの地域では水や肥沃な土地を
争って境界争いに発展しており、これは完全な戦争になる可能性がある。こうなれば、食料品の世界的な価格上昇や制御不能な
インフレ、新たな移民の波に繋がる。
まだあまり具体的な形を取っていないリスクとして、グローバリゼーションという思想の侵食と保護主義敵潮流の増大が挙げられた。
こうした状況では大型国際協力プロジェクトは地質学的緊張を和らげるどころか、世界規模の衝突の源にもなりうる。
例えば、中国が掲げる「一帯一路」構想は、60カ国以上の政府の参加を目指し、計1兆ドル(約109兆円)規模の拠出が行われる。
だが、統一貿易空間に参加する2国間の争いはいかなるものでも、すぐにその他参加国にとっての問題となり、全生産システムと
輸送網が麻痺する可能性がある。
予測不可能な結末を伴うもう1つの要因にはサイバー攻撃が挙げられた。攻撃速度の発達は、敵の認識の発達より速い。何らかの政府インフラへの
サイバー攻撃は報復措置を引き起こすが、全く間違った相手に向けられる可能性もある。この場合、新たなアクターが衝突に急速に巻き込まれ、
衝突が「熱い」段階に移行する前提条件が生まれる。これは全て、軍事的緊張、経済や貿易の混乱、国際関係の不安定化といった新たな危険をもたらす。
やや重要度が劣る世界の傾向には進む都市化、高齢化、ナショナリズム的風潮の進行、経済・文化・技術的変化の圧力のもとでの民主主義システムの
不安定化が挙げられる。例えば、何らかの国で全社会にとって根本的に重要な問題に対してほぼ半分に意見が分かれれば、議論と対話の代わりに
武装衝突すら起きる可能性がある。治安維持のため、当局は武力を用いざるを得なくなり、それは市民の自由の制限と民主主義的制度への不審につながる。
総じて、報告書の考えによると、世界は新たな波乱に飛んだ地政学的フェーズに入り、世界は多極的であるだけでなく、多概念的となる。
何らかの規範や基準が存在し、そこに向かい徐々に全ての先進国が進み、他国がそれに続くという考えは、もはや自明の理とは考えられない。
何らかの潜在的な問題への対処法を報告書は含んでいない。これは世界の専門家コミュニティを対象にした調査結果であり、危機管理の手引書ではない。
しかし、報告書によると人類は通常の「一次元的」危機的状況への対処法を習得した。だが、この報告書で問題になっているリスクは複合的なもので、
環境や気候から経済や人工知能といった相互に結びついた要素や多くの人々を含む複雑なシステムを脅かしている。